名古屋大学、理化学研究所、公立陶生病院の研究グループは、CT画像と診療情報から「特発性肺線維症」を診断する人工知能(AI)モデルを開発した。特発性肺線維症は、肺が侵されて呼吸不全に至る進行性の肺疾患である間質性肺炎の一種で、専門医でも鑑別が難しいとされる。
名古屋大学、理化学研究所、公立陶生病院の研究グループは、CT画像と診療情報から「特発性肺線維症」を診断する人工知能(AI)モデルを開発した。特発性肺線維症は、肺が侵されて呼吸不全に至る進行性の肺疾患である間質性肺炎の一種で、専門医でも鑑別が難しいとされる。 研究チームは間質性肺炎の診療で国際的な実績を持つ公立陶生病院の診療データのうち、患者の胸部CT画像65万枚と、血液検査の結果を組み合わせてAIに学習させた。その結果、胸部CT画像上の病変を正しく認識する精度は96.1%、特発性肺線維症の診断精度は83.6%と高い値を示した。さらに、間質性肺炎の専門医が特発性肺線維症ではないと判断しても、AIが特発性肺線維症と判断した場合は、より死亡率が高いことも明らかになった。 研究成果は6月13日、レスピロロジー(Respirology)誌にオンライン掲載された。研究チームは今回の成果から、開発したAIモデルを有用なスクリーニングツールと位置付け、各地の医療機関で診断できる仕組みを構築していくとしている。(笹田)