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最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE/iPad Air登場! 2022年春のApple Event 第41回

事実上現行最上位のMac! 「Mac Studio Ultra」の実力はMaxの2倍!?

2022年05月28日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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ベンチマーク専用アプリの結果

Ultraの実力はMaxの2倍!?

 前置きが長くなったが、今回の本題であるM1 Ultraのパフォーマンスを評価していこう。すでに述べた通り、簡単に言えば、M1 Maxを2つくっつけたものがM1 Ultraだ。ということは、Ultraのパフォーマンスの期待値は最大でMaxの2倍となる。実際の性能は、どこまでそこに迫ることができるのか、いくつかのテストで確かめてみよう。

 いつものように、ベンチマーク専用アプリと、一般的なアプリの大きく2つに分けてベンチマークテストを実施した。前者の専用アプリとしてGeekbench(5.4.4)、Cinebenth R23(R23.200)、JetStream 2を使っている。後者のアプリによる評価は、Finderによるフォルダーコピー、XIPファイルの展開、iMovieとFinalcut Proによるエンコード出力、XcodeにるiOSアプリのプロジェクトのビルドに要する時間を、各々ストップウォッチで計測して比較した。

 今回は、M1チップのラインナップが揃うように、2020年発売のM1搭載Mac mini(8コア/8GB)、2021年発売のM1 Pro搭載のMacBook 14インチ(10コア/16GB)、同年のM1 Max搭載のMacBook Pro 16インチ(10コア/64GB)、2022年発売のM1 Max搭載のMac Studio(10コア/64GB)、そして今回のMac Studio Ultra(20コア/128GB)の5機種で比較した。なお、MacBook Proについては、エネルギーモードを「自動」に設定した場合の結果を取り上げている。

 はじめに、ベンチマーク専用アプリの結果を一覧表で確認しておこう。

 以下にそれぞれのテスト結果について順に考察する。

・Geekbench 5
 まずCPUテストでは、いずれもM1チップだけに、1つのコアだけを使うSingleでは、ほとんど差が見られない。しかし、複数のコアを使うMultiの結果には、コア数の違いが顕著に表れている。ざっと言えば、UltraはProやMaxのほぼ2倍、素のM1の3倍という性能を示した。UltraはMaxの2倍弱となっていて、マルチコアの効率はかなり高いと言える。

 次にCompute性能を見てみよう。これはGPUによる数値計算のパフォーマンスを評価するもの。使用するAPIによって、業界標準的なOpenCLとアップルならではのMetalのテストがある。より高性能を示すMetalで素のM1を基準に比較すると、Proは素のM1の2倍弱、Maxは3倍強、Ultraは約4.6倍という結果となった。UltraはMaxの1.5倍弱となっていて、CPUテストに比べると多コア化の効率はやや劣る。

・Cinebench
 Cinebenchは、CPUを使って精密な3Dグラフィックのレンダリング処理にかかる時間を計測するテスト。Geekbenchの単純な数値計算に比べると、より現実的なアプリに近い結果と考えられる。ざっと言えば、マルチコアでは、ProとMaxは素のM1の約1.6倍、Ultraは約2.4倍となった。UltraはMaxの約1.5倍を示している。実用的なアプリでも、1.5倍程度のパフォーマンス向上が期待できると考えられる。

・JetStream 2
 ブラウザー上で動作するJetStream 2(https://browserbench.org)は、JavaScriptとWebAssemblyによって、主に数値計算の実行速度を評価する。ここでは、Safariでテストした。この結果では、他のテストほど大きな差が現れていない。この場合、動作環境のマルチコアを活かせていないものと考えられる。なおこのテストでは、あらかじめ必要なデータやプログラムを読み込んでからスタートするので、インターネットの通信速度は影響しない。

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