
東北大学の研究チームは、インフルエンザRNAの特定構造に強く選択的に結合する蛍光性分子プローブを開発した。ウイルスRNAと混ぜて即時検出できる診断技術への応用が期待されるほか、薬剤耐性インフルエンザウイルスに有効な新規抗ウイルス剤の開発にも有用だという。
東北大学の研究チームは、インフルエンザRNAの特定構造に強く選択的に結合する蛍光性分子プローブを開発した。ウイルスRNAと混ぜて即時検出できる診断技術への応用が期待されるほか、薬剤耐性インフルエンザウイルスに有効な新規抗ウイルス剤の開発にも有用だという。 インフルエンザ・ウイルスが持つゲノムRNAにおいて「プロモーター領域」と呼ばれる領域は、遺伝子変異のリスクが低いため、診断および薬剤における重要な標的として注目されている。だが、同領域はインターナルループ構造と複数のミスマッチ塩基対を含む二重鎖構造を取ることが知られており、こうした複雑な高次構造を認識するための有効な分子設計はほとんど確立されていない。 東北大学の研究チームはこれまで、RNA二重鎖と三重鎖構造を形成し蛍光応答を示すチアゾール・オレンジ(Thiazole Orange)擬塩基含有ペプチド核酸(tFIT)の開発を進めてきた。今回は、同核酸にインターナルループ構造を認識する小分子(DPQ)を連結させた「コンジュゲート型分子(tFIT-DPQ)」が、生理条件下においてプロモーター領域を強くかつ選択的に認識し、蛍光強度が著しく大きくなることを発見。同分子のDPQ部位をアンカーとして機能させることで、中性ピーエイチ(pH)においても十分に有用なプローブ機能を果たすことを示した。 研究成果は、2022年5月23日に米国化学会(ACS)が出版するアナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)誌にオンライン掲載された。(中條)
