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完成度を高めて捲土重来:

バルミューダ、苦戦した掃除機に再挑戦「BALMUDA The Cleaner Lite」

2022年05月19日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集● ASCII.jp

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BALMUDA The Cleaner Lite
発売日 2022年5月19日
実売価格 6万4900円
バルミューダ

https://www.balmuda.com/jp/cleaner-lite/

 「バルミューダがまた掃除機出したよ」と妻に言ったところ、「前も掃除機なんて出してたの?」と言われました。家で試してたのに気付かなかったんかい。でも世間的にはそんなものかも。

 というわけで、バルミューダが5月18日に新型掃除機を出しました。その名も「BALMUDA The Cleaner Lite」。Liteと言っても2.2kgあり、3.1kgの従来機よりも軽くなったということです。

小型軽量化で使いやすくなった

 本体こそ小型化・軽量化していますが、ゴミを集める性能そのものはむしろ42%上がっています。

 本体に合わせて小型化したモーターの出力が下がったので吸引力は落ちているものの、小型軽量化したヘッドの改善が効いているという話。具体的にはブラシに新搭載したゴム製のブレードフィンがカーペットの綿ごみをよく吸うようになったと話していました。

小型軽量化したBALMUDA The Cleaner Lite 左=従来機、右=Lite(以下同)

 形はすっきりスリムになり、従来機でごちゃついていた本体とヘッドの継ぎ目もきれいに処理されました。充電時の姿が美しくリビングでも映えるという設計は従来から継承しています。

胴体部分がすらりとスリムになった

ごみをためるダストケースとサイクロン機構も小型化した

半ば機構むきだしだった従来機

デザイン処理を施したLite

 ハンドルにわずかなカーブを入れて握りを良くしているのもいいですね。従来よりも道具然としたたたずまいになりました。

 実際にLiteと従来機を持ち比べてみるとまったく違います。

 従来機が重いモップとしたら、Liteはほうきの軽さ。従来機を持って階段を昇り降りするのは苦行でしたが、Liteなら普通にいけそうです。

 スティックも短くなり、背が低めの人でも持ちやすくなっています。

 電源を入れて動かしてみると横に動かしたときの軽さがまったく違いました。従来はウリャーと声を出すほどだったのですが、Liteはどう動かしてもすべるようになめらか。ホバークラフトのようにスムーズに動くという「ホバーテクノロジー」の面目躍如です。

 ヘッドも5cmから4cmに薄型化して使いやすくなりました。

大きかったヘッドが小型薄型化したのはメリットが大きい

ヘッドが大きかった従来機

ヘッドが小さくなりブラシを改良したLite

 従来機では大きすぎてつっかえてしまったキッチンの下などにもちゃんと入り、椅子の足などの間もすべらせやすくなっています。

従来機はキッチンの下に引っかかることがあった

Liteならすべりこませられる

椅子の脚なども比較的くぐりやすくなった

 ヘッドの曲がりもよくなって寝かせられるようになりました。

90度とはいかないがかなりの角度まで寝かせられる

 従来機はソファの下に入れるとヘッドが持ちあがって吸えなくなっていましたが、Liteは比較的スムーズに入れられそうです。

 ヘッドで面白かったのは前後ではなくヨコから吸ったときのほうがよく吸うこと。ダブルブラシ機構ならではですね。

 細かいところではローラーに糸や髪がからんだとき取り外して取り除けるようになりました。外すときにひと手間ありますが大事ですね。

 ヘッドの幅があるので相変わらず隙間には弱いのですが、それ以外はよく改善されていました。

 ハンディクリーナーとして使うときハンドルとノズルをつけるという若干面倒な機構は従来同様。モーターが小さいぶん吸引力は落ちますが、軽くなったので従来よりは相当使いやすくなりました。

ハンディクリーナーに変形させたときも軽量に。やや面倒な変形機構は変わらず

 従来機でネジどめされていたバッテリーはボタンひとつで取りはずせるようになり、交換しやすくなりました。バッテリーは小型化して容量が落ちましたが、モーターの消費電力が落ちたこともあり、稼働時間は従来同様に最長約30分。バッテリー単体の価格は1万780円です。

従来機はバッテリーがネジ止めされていて外しにくかった

Liteはボタン1つで簡単に取り外して交換ができる

 付属品はハンディハンドル、隙間用ノズル、メンテナンスブラシの3点。充電台の脇に付属品を入れておくためのケースもつけました。

充電台に付属品や掃除用品をまとめてつっこんでおける

 単なるベルト付きのプラケースなので、充電台ではなくそのへんの棚や収納にぶらさげておくこともできます。

ベルト付きなので棚や壁に引っかけておける

これがBALMUDA The Cleaner本来の姿?

 バルミューダにとって掃除機はかなり苦戦を強いられた製品です。

 従来機は2020年10月発売。2021年12月期決算資料によれば、掃除機などを示すその他カテゴリーの売上は25億4000万円で、2021年2月時点の修正前業績予想51億9000万円に比べると約半分という結果になってしまいました。

掃除機などを示す「その他」カテゴリーの売上だけが業績予想を大幅に下回った

 完全な新ジャンルであるスマホが多少ばたつくのは仕方がないとしても、同社の柱である家電の新カテゴリーの不調はやや心配でした。

 従来機は特徴であるホバーテクノロジーの体験そのものは楽しかったものの、全体に大きく重いことが災いして掃除がしにくいという掃除機として残念なところが残っていました。

 Liteは小型軽量化でそのネックを着実に改善してきた製品で、従来機の未完成だった部分が完成した印象を持ちました。これがBALMUDA The Cleaener本来の姿だったのではないかとも感じます。

 LiteのミッションはBALMUDA The Cleanerの「素晴らしい体験価値をより多くの人に伝える」ことだと言い、初代機発売当初の目標販売台数と同じくらいは売りたいという意思があるそうです。

 ただし、円安と原価高の影響で売価は従来機より1万円上がりました。

 このくらいの価格帯なら1万円の差はそれほど大きな問題ではないのかもしれませんが、物価高の嵐が吹き荒れる中、値上げして再挑戦というのはなかなか高いハードルを設定したなと感じます。

 これをどう売っていくのかというと、まずは使ってもらう機会を増やすために30日間の全額返金保証キャンペーンを実施するということ。サンプリングキャンペーンみたいなものですね。

 他社製品との叩きあいになってしまう売り場ではなく、あくまでも自社の土俵で認知を取りに行くところがバルミューダらしいと感じます。どれくらいの効果が出るのか気になります。

捲土重来、私の好きな言葉です

 これからバルミューダの掃除機はどうなるのか。バルミューダのスマホは「ネバーギブアップ」で機能改善を進めるという方針でしたが、掃除機の行方はLiteの動き次第で変わってきそうです。

 妻みたいに「掃除機なんて出してたの?」という人もいると考えれば、むしろ前回は試験販売で今回が一般発売くらいの感覚で売っていけたらいいのかもしれません。いずれにせよ市場がどう反応するかが楽しみになりました。捲土重来(けんどじゅうらい)、私の好きな言葉です。

 

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