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第5回 and SORACOM

人手不足を解消するロボット誕生の秘話とこだわり

清掃、警備、案内までこなす複合型ロボット「Toritoss」とSORACOM

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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ショッピングモールや百貨店で複合型ロボットに関心を持つ背景

 約1年をかけた実証実験を終え、Toritossのサービス提供を正式に開始したのは2021年11月。一番の売りは、ユーザー側の作業負荷が低いことだ。「営業時間中の施設内で、一般のお客様にぶつからずに動作し、充電も自動でできます。ゴミを捨てる以外は、ロボットに触れる必要がありません」とアピールする。実際、本格導入が決まったら、導入ガイダンスを経て、地図作成とスケジュール設定を行ない、あとは基本的にユーザー自身の運用に移れるという。

 当初は、スーパーマーケットのほか、ビル・オフィスの管理会社、不動産デベロッパーなどをターゲットにしていたが、実際はショッピングモールや百貨店など大規模な商業施設の方が関心が高いという。事例としては、大手百貨店のマルイが新宿、有楽町、北千住、なんばなどで導入を進めている。

 商業施設がToritossに興味を示すのは、複合型ならではのメリットをもっとも見込めるからだ。「ビル・オフィス管理会社からすると清掃・警備は必要だけど、広告は使い道が少ない。逆に、スーパーマーケットは動くサイネージとして広告機能は有効ですが、逆に警備については万引き抑止効果でロス削減に繋がるもののその効果の実証が難しい。結果として、施設規模が大きく、清掃、警備、広告の3つを使い切れる商業施設の引き合いがもっとも多いですね」と澤村氏は分析する。

清掃、警備、広告の3つを使い切れる商業施設の引き合いがもっとも多い(澤村氏)

 導入の追い風としては、人手不足という要因に加え、昨今の「DXブーム」もある。「現時点ではトントンの費用対効果だとしても、早めに使って現場に慣れさせたいという事情もあるようです」と澤村氏は語る。オムロングループ内に社会インフラのメンテナンス体制を構築していることもあり、サポートも手厚い。

課題はエレベーターの乗り降り? 今後も機能強化は続く

 リリースまでは仕様書をベースにしたウォーターフォール型の開発だったが、リリース以降は体制をアジャイル型に変え、顧客の要望をよりダイレクトに反映できるようにしているという。

 現在、実証実験で課題になっているのは、エレベーターを用いた他の階への移動だ。横に広いショッピングモールではともかく、都市部の商業施設やオフィスビルではどうしても上下の移動が発生する。これに対してエレベーターの場所を特定し、乗り降りすることまではできるが、エレベーター側の改造も必要になる。「エレベーターメーカーごとに指示の規格が違うし、そもそもエレベーター自体に手を入れるのも大変。Toritossもエレベーターと通信して乗降できる機能を搭載していますが、エレベーターが対応していない建物の場合は、清掃員さん、警備員さんがロボットを連れてフロアを移動するという運用でカバーして頂いています」(澤村氏)。

 将来的な展望について澤村氏は、「現時点でも事故は全然ないですが、場所によってはぎこちない時があるので安定して走行できるようにする。個人的には警備だと不審者を見つけて通知するなどより警備員さんに近い機能、広告だとただサイネージとして使うだけでなく売場まで先導して案内するような機能を追加していきたいです。そして、将来の人手不足をToritossが補って安心安全快適な施設を実現したいと考えています」と語る。

(提供:ソラコム)

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