M.2接続SSDをポータブルSSD化する、ADATAのエンクロージャーをPS5で使うと何ができるか試した
ソニー・インタラクティブエンタテインメントのPlayStation 5(PS5)は、発売以来品薄が続いているが、徐々にながら入手できた人も増えてきているようだ。ところがPS5を入手した方にとっての懸念材料の1つがストレージ容量だろう。
PS5は標準ストレージとして825GBのSSDを搭載するが、PS5用のゲームは1タイトルで数十GB以上の容量があるものが多いため、825GBでもとても十分とは言いがたい。そこで追加用のM.2スロットを搭載して、ユーザーによる増設ができるようにしているほか、機能的な制限こそあるもののUSB接続の外付けストレージ(USB拡張ストレージ)も利用できるようにしている。
今回はADATAのM.2 SSDと外付けSSDケースを組み合わせて、PS5で外付けSSDがどのように活用できるのかを紹介していこう。
PS5でも使えるUSB接続の外付けストレージ、その条件は?
PS5で利用できる外付けストレージの要件については、公式サイト(https://www.playstation.com/ja-jp/support/hardware/ps5-extended-storage/#requirements)で詳しい内容が記載されている。
SuperSpeed USB 5Gbps(USB 3.2 Gen 1)以上でデュアルレーン動作には非対応(デュアルレーン機器もシングルレーンで動作)、容量は250GB以上8TB以下。USBハブ経由は非対応、複数台の同時利用には非対応(複数接続しても使用できるのは1台のみ)といった内容だ。
字面だけ見るとややこしく見えるが、予防線がたくさん張られているだけであり、乱暴に言ってしまえば、一般的に普及しているUSB 3.0以降に対応した外付けSSDであれば、ほぼ利用できると言っていい。
少し補足しておくと、SIEではUSB接続の外付けストレージのことを「USB拡張ストレージ」と読んでいる。SSDとは限定しておらず、転送速度の規定(インターフェース速度の規定はある)は特にない。
そして、記載にある「SuperSpeed USB 5Gbps」というのはUSBの仕様書に記載されている転送モードの名称。USB 3.xでは、USB 2.0でサポートしていた各種モードに「SuperSpeedモード」を追加する形で拡張し、大幅な高速化を実現している。要するに、USB 3.0から追加された5Gbpsの転送モードをより正確に示した言葉であり、一般に「USB 3.2 Gen 1」「USB 3.0」「USB 3.2(5Gbps)」などとして認識されているものと同じことだ。
また、「デュアルレーン」とはUSB 3.2以降で追加された動作モードのことで、リザーブの信号線を使ってそれまで1系統であった5Gbpsあるいは10Gbpsのレーンを2系統にすることで、それぞれ2倍の転送速度を実現している。現時点ではごく少数の対応製品があるのみであり、乱暴にいえば「対応していないのが普通」。デュアルレーン対応機器も通常のシングルレーン動作で利用できる。
PS5に外付けSSDを接続してできること
PS5のゲームは直接起動できないが、保存は可能
PS5に接続した外付けSSDはどう活用できるのだろうか。これも公式サイトにあるが、できることは以下のとおりである。
・PS5とPS4のゲームプログラムを保存できる
・PS4のゲームは直接起動してプレイ可能
・PS5のゲームは直接起動してのプレイは不可
・外付けSSDにあるPS5ゲームは、実際にプレイする前に本体ストレージへの「コピー」または「移動」が必要
・PS4のゲームは直接インストール先として指定可能
PS5では、PS5用のゲームタイトルのほかにPS4用のゲームタイトルも基本的にプレイ可能だ。PS4のゲームであれば、本体ストレージと同様に保存だけでなく、直接起動してプレイもできる。一方、PS5のゲームについては、外付けSSDにゲームは保存こそできるが、そこから直接ゲームを起動してプレイすることはできないという形になっている。
外付けSSDに保存したPS5ゲームをプレイするためには、外付けSSDから本体ストレージへ「コピー」または「移動」する必要がある。「移動」は、外付けSSD内のデータが削除され、「コピー」の場合は外付けSSD側のデータは削除されないという違いがある。通常の場合は「コピー」でいいだろう。頻繁にはプレイしないが、再度のインストールやダウンロードは面倒というゲームを一旦外付けSDDに移すことで、本体ストレージに空きを作れるというわけだ。
M.2 SSDを外付けSSDにする
コンパクトなSSDエンクロージャー「EC700G」
→Amazon.co.jpへのリンク(ADATA EC700G)
さて、今回利用した外付けSSDケースとSSDを紹介しよう。SSDケースはADATA「EC700G」。M.2(2280)対応のSSDが1基入るポケットサイズのコンパクトなSSDエンクロージャーだ。
PCやPS5との接続インターフェースはUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)に対応。Type-CとType-A両方のケーブルがそれぞれ付属している。SSDのインターフェースとしては、PCI Express(NVMe)だけでなくSATAもサポート。内蔵型のSSDを手軽に外付けSSDとして活用でき、取り外すのも簡単だ。
今回はADATAのメインストリームSSD「LEGEND 840」を組み合わせた
今回EC700Gと組み合わせるSSDとして利用したのが、同じくADATAの「LEGEND 840」だ。PCI Express 4.0x4インターフェイスに対応したメインストリームモデルで、DRAMキャッシュを省いてコストダウンしつつ、システムメモリーからキャッシュとして利用することで、高性能、耐久性を両立するHMB(Host Memory Buffer)を採用している。
また、LEGEND 840はADATAによるPS5での動作確認もなされている。公式スペックとしてPS5装着時のシーケンシャルリード5000MB/sという数値を公表しており、PS5に増設するSSDとしても利用可能だ。
もちろん外付けSSDとして使うだけならばLEGEND 840ほど高性能である必要はない。USB 3.2 Gen 2(10Gbps)の理論転送速度は約1200MB/s程度なので、内蔵するSSDはPCI Express(NVMe)対応SSDであれば、あまり大差ないと思われる。よりリーズナブルなLEGEND 740などエントリークラスのモデルや、最新モデルと換装して余ったSSDを流用するのも良いだろう。
→Amazon.co.jpへのリンク(ADATA LEGEND840 1TBモデル)
→Amazon.co.jpへのリンク(ADATA LEGEND740 500GBモデル)
Legend 840 | Legend 740 | |
---|---|---|
PCI Express 4.0x4 | PCI Express 3.0x4 | |
SLCキャッシュ | 搭載 | 非公開 |
DRAMキャッシュ | 非搭載(HMB) | 非搭載(HMB) |
コントローラー | Innogrit IG5220 | 非公開 |
最大シーケンシャルリード | 5000MB/s | 2500MB/s |
最大シーケンシャルライト | 4500MB/s | 2000MB/s |
PS5シーケンシャルリード | 5000MB/s | ― |
最大ランダムリード | 650K IOPS | 180K IOPS |
最大ランダムライト | 600K IOPS | 200K IOPS |
ヒートシンク | 添付 | 添付 |
サイズ | 80×22×2.15mm (ヒートシンク装着時3.13mm) |
80×22×2.15mm (ヒートシンク装着時3.13mm) |
TBW | 650TB(1TBモデル) | 600TB(1TBモデル) |
バリエーション | 512GB、1TB | 250GB、512GB、1TB |
保証期間 | 5年間 | 5年間 |