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IoT・ウェアラブルデバイスの接続性・連携性に革新をもたらす「センサ信号のコンテナフォーマット」の国際標準化へ審議開始

公立大学法人広島市立大学大学院 情報科学研究科
2022年03月24日

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公立大学法人広島市立大学大学院 情報科学研究科
公立大学法人広島市立大学、TIS株式会社、株式会社エー・アンド・デイ、帝人株式会社の4者が中心となり「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマット(※1)」に関する国際標準規格の提案を行い、IEC(※2)において、2021年12月に承認されました。今後は、IEC 63430として2023年度の発行を目指して規格文書の完成度を上げる作業と審議を行っていきます。 また、これを機に、ウェアラブルデバイスを始めとする広範なIoT・サービスに係る事業者・関係者と幅広く連携し、今後の普及拡大に向け様々な施策を推進していきます。


【概要、背景】
近年、日常生活での体調管理や運動時の活動測定などを目的としたIoT・ウェアラブルデバイスの普及・利活用が急速に拡大しています。一方で、取り扱う信号の形式などがメーカーや機器ごとに異なるため、"メーカーA社とメーカーB社の機器を同時に接続できず、データ連携や共有がしづらい"など、利便性に多くの課題を抱えています。

4者は、経済産業省公募(※3)による「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」の採択を契機として、ウェアラブルデバイスでの上位レイヤーから下位レイヤーまでのセンサ信号を共通的に処理できるよう、信号のやり取りを「コンテナ」化する技術仕様一連の標準化準備(国際標準規格案策定)作業を行ってきました。そして2021年10月に、IECのTC100(※4)に対し、新規国際標準規格として「ウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術」の提案を行い、同年12月に承認されました。

コンテナフォーマット技術によって標準化されたセンサ信号が流通することで、様々なIoT・ウェアラブルデバイス間の接続性が高まり、測定したデータを容易に共有・連携することが可能となります。4者は、国内外のエキスパート・専門家と議論しながら、引き続き国際標準発行に向け活動していきます。

【ウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術概要】
「コンテナフォーマット」は、ウェアラブルセンサ信号に係る互換性や5Gシステムと連携するIoTへの適応性を高め、データの共有・利活用を柔軟に行える、標準化の核となる技術です。



(図1)ウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術 概念図

【利活用分野・領域】
多様なIoTサービスやウェアラブルデバイスと親和性の高いウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術は、先ず「ヘルスケア・医療」領域での活用を想定しています。

Society5.0で目指す超スマート社会の実現には、"高齢者対策に資するサービスの開発やニーズの掘り起こし"が重要課題と目されており、AAL(※6)の重要性が一層高まると予想されます。しかし一方で、AALに係るセンサやデバイスのメーカー・システム開発企業が各々別個に開発を進め、ソリューション・サービス事業者も各々への個別適応に終始する取り組みのままでは、実現スピードが遅滞し早期の事業規模拡大への懸念も生じかねません。

国際標準規格を採用することで、自社の製品やサービスと他社との連携において迅速かつ主導的な展開が図れるとともに、国内はもとより海外と共通のデバイス、システムやサービスを構築することができ、国内で成功したモデルをグローバルに展開することが容易になります。

標準化されたウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術は、製造、流通、金融、建設、運輸、サービス、エネルギー、公共など社会の様々な分野・領域への適用が可能であり、「スマートシティ」実現のキーテクノロジーの一つとして広範に普及活用されることによって、事業の競争力強化や新たな市場の創造が実現するものと考えます。
(図2)ウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術が拓く未来像

【今後の展望】
今後は、2023年の国際規格発行に向けた諸活動と並行して、リファレンス・システム(※7)の開発を計画しています。
さらに、デバイスをはじめプラットフォーム、ソリューションなどウェアラブルセンサ信号を利活用しうるユーザー・関係諸団体など幅広い層の参画を念頭に、ウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術の普及に向けた組織の設立を検討していきます。

IoT・ウェアラブルデバイスの接続性・連携性に革新をもたらし、日本発の新たな事業・産業の創出に道を拓く「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマット」の国際標準化に、ぜひご注目ください。

※1 Data Container format for wearable sensor
※2 IEC:International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)
※3 (経済産業省:令和2年度 募省13)省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業「ウェアラブルセンサ信号のコンテナフォーマットに関する国際標準化」(令和2年度から3年間)
※4 IEC TC(Technical Committee)100:オーディオ、ビデオ、マルチメディアシステムおよび機器の技術分野に関連する国際標準化を担当する技術委員会
※5 BAN:Body Area Networkは、人体の周囲にネットワークを構築することで、バイタルサイン等データ測定適所に装着した複数センサの計測情報を集約する近距離無線通信技術です。
代表的な規格として「SmartBAN(スマートバン)」が挙げられます。
SmartBANは、複数センサを連携させ情報を統合する「高精度な時間同期」のほか、医療・ヘルスケア用途での信頼性の高い通信に不可欠な、生体情報に応じた許容誤り率での「最適伝送」、生体の異常に係る緊急信号の「低遅延伝送」、混信など他人との「干渉回避」、充電を削減し長時間使用できる「低消費電力化」、スイッチを入れると直ぐに使用できる「短時間での初期接続」 など数々の特長を有している『次世代ボディエリアネットワーク無線通信規格』です。
なおSmartBANは、2015年にETSI(欧州電気通信標準化機構)で標準規格化されており、IECにおいてもIEC 63203-801-1およびIEC 63203-801-2として2022年中に規格書発行予定です。
※6 AAL:Active Assisted Living(自立生活支援)
※7 リファレンス・システム:考案したウェアラブルセンサ信号コンテナフォーマット技術の機能や実装の検証用システム


公立大学法人広島市立大学 大学院 情報科学研究科 医用情報通信研究室
Body Area Network(BAN)を用いた医療・ヘルスケア・介護クラウドシステム、生体センサシステムによる医療・ヘルスケアシステム及び多機能ウェアラブルバイタルセンサとウェアラブルマルチ伝送システム、及び無線通信技術とデータ解析技術等の研究と開発等を行っており、情報通信技術と医療・医学との融合による新たなワイヤレス医療ヘルスケアの創生を目指しています。
[研究室長]田中 宏和(教授)
[所在地]〒731-3194 広島市安佐南区大塚東三丁目4番1号
[研究室サイト]http://www.mict.info.hiroshima-cu.ac.jp/

TIS株式会社
TISインテックグループのTISは、金融、産業、公共、流通サービス分野など多様な業種3,000社以上のビジネスパートナーとして、お客様のあらゆる経営課題に向き合い、「成長戦略を支えるためのIT」を提供しています。50年以上にわたり培ってきた業界知識やIT構築力で、日本・ASEAN地域の社会・お客様と共創するITサービスを提供し、豊かな社会の実現を目指しています。
[代表者]岡本 安史(代表取締役社長)
[所在地]〒160-0023 東京都新宿区西新宿8丁目17番1号
[企業サイト]https://www.tis.co.jp/

株式会社エー・アンド・デイ
エー・アンド・デイは、アナログとデジタルの変換技術を基幹技術として、「電子計測機器」の開発・製造・販売を手掛け、「計測・計量機器」「医療・健康機器」等の幅広い製品を世界市場に提供しております。医療健康分野では、遠隔医療・リモート診断の体制構築に寄与することにより、健康長寿社会実現へ貢献いたします。
[代表者]森島 泰信(代表取締役)
[所在地]〒170-0013 東京都豊島区東池袋三丁目23番14号
[企業サイト]https://www.aandd.co.jp/

帝人株式会社
帝人グループは、1918 年に日本初のレーヨンメーカーとして発足し、100年以上にわたり、絶え間なく企業変革を続けてきました。「マテリアル」「ヘルスケア」「IT」という3つの異なる領域で事業を展開するユニークな企業体として、社員の多様性を活かし、社会が必要とする新たな価値を創造し続け、未来の社会を支える会社になることを目指しています。
[代表者]鈴木 純(代表取締役社長執行役員)
[所在地]〒100-8585 東京都千代田区霞が関三丁目2番1号 霞が関コモンゲート西館
[企業サイト]https://www.teijin.co.jp/

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