名古屋市立大学と岡山大学の研究チームは、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」の探査対象であった小惑星リュウグウの形成過程を理論的にモデル化。リュウグウの特徴やはやぶさ2が持ち帰った小惑星物質の分析結果とモデルを比較することで、リュウグウがかつて彗星であった可能性を指摘した。
名古屋市立大学と岡山大学の研究チームは、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」の探査対象であった小惑星リュウグウの形成過程を理論的にモデル化。リュウグウの特徴やはやぶさ2が持ち帰った小惑星物質の分析結果とモデルを比較することで、リュウグウがかつて彗星であった可能性を指摘した。 研究チームは、小惑星リュウグウがかつて彗星であったとする「彗星起源説」に着目し、主に水の氷からなる彗星の核から氷が昇華して小惑星へと至る一連の過程をモデル化した。その結果、(1)岩石の塊が弱く集合した多孔質な内部構造、(2)高速自転による変形を示唆するコマ型の形状、(3)有機物に富む組成、というリュウグウの特徴を、同モデルで説明できることを示した。 本研究成果は、アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)に2022年1月31日に掲載された。小惑星物質が過去どのような物理的・化学的環境に置かれていたのかを推測する筋道を提示することで、太陽系における物質進化過程の解明につながる可能性がある。(中條)