最高峰性能の小型マシン「Mac Studio」に新iPhone SE／iPad Air登場！ 2022年春のApple Event 第30回

このパワーは正直欲しくなるMac StudioとStudio Display【石川 温】

アップルの新製品「Mac Studio」と「Studio Display」。3月18日に発売を開始する

　アップルの新製品「Mac Studio」と「Studio Display」を試用する機会を得た。Mac Studioは実にコンパクトでMac miniを2.5台ほど兼ねた、重箱ぐらいの大きさだ。

Mac Studioのサイズは、高さ9.5×幅19.7×奥行き19.7cm。重量はM1 Maxが2.7kg、M1 Ultraが3.6kgだ

　これまでのMac Proは巨大で仕事部屋に置くと相当な圧迫感がありそうであったが、Mac Studioであれば自宅のデスクの上に余裕で置けるサイズ感となっている。27インチのStudio Displayと一緒においても、スペースに余裕を感じる。

背面には4つのThunderbolt 4ポートのほかコネクター類が豊富だ

前面にはSDカードスロット

　背面にはコネクター類が豊富にあり、前面にもSDカードスロットが備わっている。普段、デジカメからSDカード経由でデータを吸い上げることが多いので、こうした配置はありがたい。これまでiMacを使っていたが、ディスプレイ部分の背面にUSB-Cポートがあり、そこにケーブルを挿して、SDカードのデータを抜き出すのが面倒であった。Mac Studioであればそうした不便さからは解放される。

　Mac Studioの最大の特徴は、M1シリーズの最高峰「M1 Ultra」が搭載されている点だ。実際にそのパワーはいかほどなのか。

　iPad Air（第5世代）に搭載のM1の実力を試すため、先日公開の記事でGeekBench5でベンチマークを取ったのだが、実は同じタイミングでMac Studioでもベンチマークをとっていた。その比較が別表になるのだが、Single-Coreの数値は他と大差ないが、Multi-Coreの数値が段違いなのがよくわかる。M1 UltraはM1 Maxを2枚、くっつけたものとなっているが、Multi-Coreの数値が、M1 Maxのほぼ2倍となっているのがおもしろい。

 

	SOC	Single-Core	Multi-Core	動画書き出し
iPad Air（第5世代）	M1	1711	7272	9分 18秒
iPad Pro（第3世代）	M1	1719	7277	9分 16秒
iMac	M1	1706	7580	9分 15秒
MacBook Pro	M1 Max	1770	12424	9分 4秒
Mac Studio	M1 Ultra	1778	23751	5分 24秒

 

　また、1時間の動画ファイルをアドビ・Premiere Rushで書き出してみたが、M1やM1 Max搭載機種が9分台だったのに対して（これでも速いが）、Mac Studioは5分24秒で書き出してしまった。動画編集を職業としている人やYouTuberはMac Studioを導入することで、編集の時間が劇的に短くなるのではないだろうか。Mac Studioはクリエイターに「時短営業」をもたらしてくれることだろう。

　たかだか、1時間程度のフルHD動画を編集して書き出すなんて、M1 Ultraのポテンシャルを全く生かせてないような気がする。

　M1 Ultraはもっと重たい処理をこなす実力を持っている。実際、アップルがデモ用コンテンツとして用意していたのが、8Kの動画が18本、寄せ集められた動画だ。Final Cut Proでの編集が可能となっており、8Kの動画が18本、同時に再生されるだけでなく、8Kの動画に編集や装飾を施しても、一瞬で処理が終わってしまうのだった。

筐体の後部と底部の穴により、空気を内部の部品へと導き、高性能チップの冷却を手助けする

　Mac Studioは8K動画をまるで赤子の手をひねるように軽々と扱えるのだ。なかなか、8K動画を18本も一気に扱う仕事もないだろうが、このパワーを手にすると、正直、Mac Studioが欲しくなってしまうのだった。しかも、こうした作業をしても、ファンがブン回る感じはせずに実に静かに稼働している。そもそも、あまりファンは回らないようだが、回ったとしてもとても静かだ。