独自のデータ仮想化技術と論理データファブリックで成長に自信、急成長に向けた取り組みを説明
データファブリックのDenodo、CEOが「50%成長を維持する」ための戦略を語る
2022年03月07日 07時00分更新
データ統合/管理ソフトウェアを提供するDenodo Technologies(デノードテクノロジーズ)は2022年3月4日、創設者兼CEOのアンヘル・ヴィーニャ氏が出席して事業ビジョンや戦略を語る記者説明会を開催した。
多数のデータソースを論理的に統合する「Denodo Platform」
「Denodoは優れたテクノロジーを持ち、市場で急成長を遂げている。また、非常に良いカスタマーベースを急拡大させている企業だ」(ヴィーニャ氏)
Denodoは、独自のデータ仮想化テクノロジーを中核に据えた論理データファブリック「Denodo Platform」や、同プラットフォーム上でセルフサービス型のデータカタログ、APIといったサービス群を提供するソフトウェアベンダーである。
Denodo Platformは、企業がオンプレミス/クラウドに持つさまざまなデータソースからデータを仮想的に集約して、一元的な管理と利用を可能にするデータファブリックだ。データをデータソースから移動(コピー)することなく「仮想的に」集約する仕組みであり、データ移動にかかる時間やリソース、コストの無駄を抑えつつ、柔軟なデータ活用を実現する。
「たとえばアナリティクスの場合、ほかのベンダー製品ではアナリティクス用のリポジトリにデータを収集してから処理を行うが、Denodoはすべてのデータソースをまたぐ抽象化レイヤー(データ仮想化レイヤー)を備えているため、その必要はない。また、社内の誰もがデータを使える“データの民主化”を実現するうえでも、Denodoの論理的アプローチは、ガバナンス、セキュリティ、セルフサービスのすべてで優れている」(ヴィーニャ氏)
こうした技術力とプラットフォームの構築によって、「Gartner Magic Quadrant」や「Forrester Wave」のデータ統合、データファブリック、データ仮想化でリーダーポジションに位置づけられている。今年1月に発表された「Gartner Peer Insights」の顧客評価調査(データ統合ツール分野)でも、総合評価は3番目に高い4.4点を記録している。
Denodoは現在、日本を含む20カ国に25の拠点を展開しており、従業員は500名以上。「Fortune 500」や「Global 2000」企業を含むエンタープライズ1000社以上で導入されており、グローバルのアクティブパートナー数も250社以上を数える。
財務状況は、最大50%に及ぶ高い成長率をここ数年間継続しており、リテンションレート(顧客保持率)は108%、解約率は4%と順調だとヴィーニャ氏は説明する。2021年夏にガートナーが発表したデータ統合ソフトウェア市場のトップ10ベンダーランキング(2020年版)では、2番目に高い収益成長率を記録した。
Denodo製品が市場から高い評価を受けている理由について、ヴィーニャ氏は「Forrester Tortal Economic Impact」(データ仮想化分野)による調査結果の数字に基づいて説明した。同調査によると、Denodo Platformを導入した企業では収益化までの時間が83%削減され、データ準備(データプレパレーション)の工数は67%削減、またETLを介した配信にかかる時間よりも65%も短い時間でデータが配信できると結論づけている。その結果として、顧客は6カ月未満で投資回収が可能になるという。
「こうした数字を見ると、企業がデータ管理プラットフォームの最新化を検討する際に、(Denodoの)論理データプラットフォームのアプローチを取ればどれだけのメリットが享受できるのかがわかるだろう」(ヴィーニャ氏)
高い成長率の維持に自信、国内でもDX/データ活用需要に応える
ヴィーニャ氏は、Denodoのグローバルビジネス戦略について「50%以上の成長率を継続し、市場におけるリーダーポジションを維持していく」と明言した。Denodo製品はデータ統合だけでなくiPaaS(クラウド)、データ管理、そしてデータファブリックの機能まで、顧客がデータ統合/管理のジャーニー(道のり)で必要とする機能を網羅しており、大きな市場性を持つというのがヴィーニャ氏の見方だ。
高い成長率を維持するために、大規模な研究開発投資を続けてDenodo Platformをさらに進化させる、オンプレミスも引き続きサポートしつつ特にPaaS(iPaaS)/SaaSを中心としてクラウドへの浸透を図る、グローバルのカスタマーベースの拡大、収益性を維持しながら人員を増加させる、といった戦略をとると説明する。
製品においては、小さな部門レベルのプロジェクトからスタートし、ユースケースを拡大しつつ段階的にエンタープライズ全域に展開を広げていけるように、4つのパッケージを用意していることを紹介した。
日本法人 営業本部長の中山尚美氏は、日本市場におけるビジネス戦略について紹介した。2021年は10社以上の新規顧客を獲得し、売上は前年比2.7倍と大きく伸びている。3社の新規パートナーを迎え、さらに現在契約手続き中のパートナーが複数社いることも明らかにした。日本法人は社員を1.5倍に増員し、日本語対応のユーザーマニュアルやトレーニングなどローカライゼーションにも力を入れている。
2022年は、データ活用の高度化を図りビジネス変革につなげたい新規顧客を獲得していくとともに、既存顧客へも積極的な支援強化を図ると述べた。後者についてはカスタマーサクセスチームを強化し、導入後の顧客サポートを積極化していくという。
中山氏は、日本国内のユースケースも簡単に紹介した。国内企業からよく相談される内容としては、データ活用を進めるうえで障壁となっている「部署の縦割り」「グループ企業間の分断」を解消すること、さらに複数のクラウド(ハイブリッド/マルチクラウド)に散在するデータを集約することなく統合して利用可能にすること、などだと説明した。