新たな挑戦が、農業用ドローンである。
クボタは早い時期から農業用ドローンに着目。DJIからOEM供給を受け、クボタの技術を組み合わせることで、2017年からクボタブランドのドローンの販売を開始。現在は、年間800台の農業用ドローンを販売。累計出荷台数は2000台に到達しているという。
水田農家にとって、暑い時期の防除や除草は最も辛い作業のひとつだ。ドローンによって、重たい動力噴霧器を持ったり、長時間噴霧したりといった作業から解放され、さらに、ドローンであれば、高価なヘリコプターとは異なり、自ら所有できるため、誰もが適した時期に防除、除草の作業が行えるというわけだ。ドローンは、「農作業における産業革命である」との指摘もあり、これも新たな常識になろうとしている。
クボタの営農支援システム
新たな農業を支えるのが、クボタの営農支援システム「KSAS(クボタ スマートアグリシステム)」である。
KSASは、2014年6月から開始したクラウドサービス。農業機械とICTを利用して、作業や作物情報を収集し、活用することで、儲かる農業の実現を支援している。
インターネットの地図情報を活用し、圃場管理や作付計画、作業指示、作業記録を簡単に行えるほか、農機とKSASの連動で、作物の収量や品質向上などに必要なデータを管理。食味を改善したり、収量を拡大したりといった手を打てるようになる。もちろん、農機の管理も可能であり、安定した農機の利用を実現する。
2021年3月には、新KSASに進化。スマートフォンの機能が大幅に強化しており、現場での使いやすさを向上したほか、スマホとパソコンの操作感を統一して、より直感的に利用できるようにした。また、KSAS対応農機も拡大しており、農業用ドローンでは、散布情報などの送信機に保存されたデータを、日誌作成機能で自動記録。作業軌跡再生機能ではアニメーションで散布実績を表示することで、請負作業のエビデンスとしても利用できる。
今後、クボタでは、2030年を目標に、完全自動運転が可能なスマート農機を開発し、人への負担が可能な限り軽減させた農業の実現を目指す。
2017年から、クボタのブランドパートナーを務めている長澤まさみさんは、クボタの自動運転トラクターに乗った経験を振り返り、「CMのなかでは、未来が見える女性という設定だが、自動運転のトラクターに乗車して、すでに、未来がやってきていることを感じた」と語る。
また、クボタ農業情報プラットフォームの構築により、データ共有が可能な環境を整備する計画も掲げている。北尾社長は、「食料の生産現場から、お客様に届けるまでの間を、ITでつなぐ農業情報プラットフォームにより、必要なものが、必要な時に、必要な量だけ届けることができるようになる。これによって、フードロスをなくし、地球環境問題やカーボンニュートラルにも貢献したい」とする。
クボタが目指すスマート農業では、穀物や野菜、果樹の収量拡大のほか、作物品質の向上、生産性向上のためのセンシング技術や分析システムの提供、自動運転技術を取り入れた自動作業機械の開発に加えて、新たなAI自動管理システムを提供することで、高齢化の進展などによって、就労人口の減少といった課題に対応。さらに、データを活用することで、市場で求められる作物を、適切な時期に、適切な量だけ生産して、フードロス削減にも寄与するほか、作業の効率化や収量アップにより、農地拡大を抑制することでCO2排出量を削減するとともに、森林伐採の抑制に貢献することも目指すという。
そして、誰もが高品質で、高収量となる農業や、誰もが参入しやすい農業の実現に向けて、スマート農業ビレッジ構想も打ち出している。
日本の農業の課題は、農家戸数の減少、高齢化によって、後継者不足や担い手不足が生まれている点である。その解決のためには、農業機械による省力化、自動化が必要になり、新規参入者に対しても、データを活用して、儲かる農業を実現するスマート農業を提案していく必要がある。日本の農業を支えている『GROUNDBREAKERS』の挑戦を支える存在として選ばれる企業になるため、課題に真摯に向き合い、ソリューションを開発、提供していく。未来の農業を考えていきたい」と述べた。
クボタは、土と作物に向き合い、新たな農業に挑み続け、農業を支える人たちをGROUNDBREAKERSと呼ぶ。GROUNDBREAKERSには、先駆者という意味がある。
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