2021年12月10日、「HHKBユーザーミートアップ Vol.5」が開催された。HHKBはご存じPFUから発売されている最高級キーボードシリーズ。ユーザー交流会となるミートアップ第1回目は2017年に、秋葉原のUDX NEXT-2で開催された。この時も取材している(当時の様子は「Happy Hacking Keyboardイベント開催で開発秘話から裏話まで連発!」を参照)。
今回も昨年に引き続き、コロナ禍のためにオンライン開催となった。プレゼントコーナーに参加できるZoomは500名まで募集しており、制限なく視聴できるYouTube Liveでも配信された。
筆者は別の仕事の兼ね合いもあり、ミートアップの配信現場に入って取材することができたので、今回はその様子をレポートする。
HHKBの生みの親・和田英一先生がその耐久性に太鼓判
まずはHHKBの生みの親である東京大学名誉教授の和田英一先生がZoomで参加してくれた。毎回参加してメッセージを送ってくれるのだが、今回はなんと寿命の話。和田先生は今年でなんと御年90歳になった。
1931年生まれで、同年満州事変が始まり、1945年に第二次世界大戦が終わるままでの15年間は和田先生にとって「戦争の時代」だったそう。そこから、75年は「平和と開発の時代」「技術革新の時代」とのこと。そして、その後半3分の1(25年間)をHHKBの歴史と重なっているということは凄い寿命だ、と和田先生。
そこで、寿命とHHKBの話をしたいとスライドを画面共有。なかなかZoomで共有できず、参加者全員が息を呑んで見守っていたのが、和田先生やHHKBが愛されているなーと感じた。
「2017年、人生100年時代という言葉が流行りました。ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットという人が『The 100-Year Life : Living and Working in an Age of Longevity』という本を書きました。その中で、現在の平均余命の傾向が続く場合、今日、豊かな国で生まれた赤ちゃんの半数以上が100歳まで生きるでしょう、と言っています」(和田先生)
一方、HHKBのキーボードはキーの寿命は3000万回以上となっている。だいたい1日に1万タイピングして、よく使うキーが10個あるとすれば3000万回叩くのに100年かかるという計算を披露してくれた。よく使うキーが20個あるなら200年かかる。和田先生は、人生を100年としても、HHKBの寿命はそれを上回る、と結論づけた。
筆者は貧乏暇なしで休みなくたくさんの原稿を書いているので、1日に約2万7000タイピング以上叩いている。この10年間でもっとも叩いたのが「A」キーで、約860万回。3000万回を超えるなら、筆者のペースでも、あと25年以上必要になる。想像を絶する耐久性と言える。
「皆さんも長生きして欲しいし、HHKBも長い間使っていただきたいです」と和田先生は締めた。
HHKB累計販売台数60万台突破! 10月には雪モデルも登場
続いてPFU スキャン事業部シニアディレクター 山口篤氏からHHKBのオーバービューが発表された。
HHKBの累計出荷台数は60万台突破。販売データを見ると、去年と同じくハイエンドモデルとなる「HHKB HYBRID Type-S」がもっとも売れている。カラーは相変わらず墨が人気だが、昨年よりも白が増えて38%になった。
配列は日本語配列が増え、無刻印がダウン。キーボードマニアだけでなく、一般ユーザーにも浸透していることが伺える。年齢も20代が8%から17%にアップ、30代が17%から23%にアップした。そんなに若いのに、こんなに高いキーボードを使う人が増えているのがスゴイ。女性ユーザーは2.9%から3.5%に増えたもののやはり男性が多い。
25周年を記念し、いろいろな企画が行なわれたのだが、その中で純白のHHKBを発売した。「雪」モデルと名付けられ、従来の白よりももっと真っ白なキーボードとなっている。さらに、無刻印ファンのために刻印もないキートップも用意したのだが、日本語配列と英語配列の無刻印キーキャップ1250台ずつが即売り切れ。
そこで雪の無刻印キートップのみ、限定で300個ずつ販売することになった。その内の200個ずつはユーザー登録済みの人への優先販売となる。そして、こちらも瞬殺で200人を超えて抽選となった。ユーザー登録をしていない人や抽選に漏れた人は2022年1月5日11時からの一般販売で手に入れよう。こちらは100個ずつなので、11時にアタックした方がいいと思う。
筆者が経営する原価BARも紹介された。
「タッチアンドトライと言えば、原価BAR。もともと五反田にあったんですけど、移転して三田になりました。三田もかなり広くて、お洒落なバーになっております。HHKBEERはここでしか飲めませんので、ぜひ三田のバーにも通っていただきたいと思っています」と山口氏。
HHKBエバンジェリストも落合陽一氏をはじめ13名が増えて、合計37名になった。