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小嶌不二夫(ピリカ)

2021年11月25日 00時00分更新

文● MIT Technology Review Japan

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ごみ拾いSNSを通じ、ビジネスとして「ごみの自然界流出」問題の解決を図る。

ポイ捨て・不法投棄されたプラスチック製品ごみの行き着く先のほとんどは、海である。人間社会で発生したごみが適切に処理されないまま自然界へと流出し、生態系に悪影響を与える問題は海洋プラスチック問題として近年、世界的な関心が高まっている。

小嶌不二夫は京都大学大学院エネルギー科学研究科在学中の2010年、世界へ放浪の旅に出た。子どもの頃から関心を抱いていた環境問題の解決にどこから着手すべきか、自分の目で世界を見て決めるためだ。およそ3カ月で18カ国を訪れた小嶌は、すべての国で大きな問題となりつつあった「ごみの自然界流出」に着目し、帰国後はごみ拾いSNS「ピリカ」の開発に着手。2011年に大学院を中退してピリカを創業した。

ごみ拾いSNS「ピリカ」は、ごみ拾い活動の様子をテキストと写真、位置情報と共に投稿するSNSだ。世界中で行なわれているボランティアでのごみ拾い活動を可視化し、同じ問題意識を持って活動する仲間とつながれる。世界の100を超える国で利用され、これまでに約100万人が活動に参加、累計でおよそ2億個のごみが回収されている。個人向けには無料で提供しているが、同時に自治体や企業に有償でサービスを提供することで収益を上げている。

ピリカはSNSのほかに、スマートフォンで撮影した路上の動画からポイ捨てごみの数や種類を読み取って分布図・レポートを作成する調査サービス「タカノメ」と、河川や港湾に浮遊するマイクロプラスチックを採取してプラスチックの流出品目や流出源を特定する調査サービス「アルバトロス」を展開。自治体や企業からの依頼に応え、SNSを含むすべてのサービスの事業化にも成功した。

ピリカの優位性は、これらの調査サービスを通じて集められたデータから現状を把握して問題を発見するだけでなく、その先に打つべき解決策を研究開発し、提言するところにある。ビジネスとして社会解決の道を追究する小嶌の活動は、サーキュラー・エコノミーにおけるリデュースと物質循環への拡張に期待がかかる。

(畑邊康浩)

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