横浜市の山手地区にある聖光学院 中学校・高等学校(以下、聖光学院)が年に一度開催する学園祭「聖光祭」。開催すら危ぶまれた聖光祭をやりきることができたのは、運営メンバーのチームワークとその連携を支えるトランシーバーアプリ「Buddycom」だった。学園祭の運営メンバー5人にBuddycomの導入経緯やメリット、学園祭での活用、コロナ禍での苦労などを聞いてみた。(以下、敬称略 インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)
緊急事態宣言解除の直後、フルスペックの聖光祭を開催
コロナ禍の緊急事態宣言下で学校行事の中止が相次いだ。他県への移動を伴う修学旅行や三密となる可能性の高い運動会や学園祭は軒並み中止となり、楽しみにしていた子供たちや保護者は大きな心痛を受けている。そんなコロナウイルスの感染が一段落し、緊急事態宣言が解除になった10月初めての土曜日、ようやく開催にこぎつけたのが横浜市の聖光学院の学園祭である「聖光祭」だ。
今年の聖光祭は、緊急事態宣言の解除直後でありながら、コロナ前と同じフルスペックでの開催を実現した。いくつかの制限はあるものの、外部からの入場者の受け入れや食品提供など、コロナ禍で難しかったプログラムも大胆に実施した。もちろん、今できるコロナウイルスの対応はすべて行なった上、QRコードを用いた入場制限や現金のやりとりが発生しないキャッシュレス決済など新しいテクノロジーも導入し、楽しさと安全性の両立を実現した。これを生徒自らが自主的にやっているところがなんともすごい。
そして、この聖光祭の運営に大きく寄与したのが、サイエンスアーツのトランシーバーアプリ「Buddycom」だ。Buddycomはスマホで一斉音声配信やチャットのやりとりができるほか、音声の書き起こしや動画をメンバーにシェアするライブキャストなどユニークな機能を持つ法人向けアプリ(関連記事:ビッグネームを惹きつけるBuddycom IPトランシーバーにとどまらない魅力)。開発元のサイエンスアーツは、運営メンバーのアカウントを無償提供し、対面や集合が難しい中、イベント準備や当日のオペレーションに最大限活用したという。
今回は聖光学院とサイエンスアーツの協力の下、実行委員会委員長の大下さん、技術部門の李さん、三枝さん、外務部門の神林さん、生徒会長の石動谷さんの5人を取材。聖光祭当日の忙しい最中、BuddycomやITの活用、コロナ禍での学園祭、チームワークの重要さについて聞いた。
トランシーバーの悩みを解消できないか? Buddycomに至るまで
大谷:まずはBuddycomをどれくらいの規模で使っているのか教えてください。
李:聖光祭の運営は、全部で10ほどの部門から成り立っています。その部門にはそれぞれ部門長と、その配下に副部門長と幹部がいます。今回、Buddycomは部門間の調整や連携の用途で、部門長、副部門長、そして幹部に使ってもらっています。
神林:私が所属している外務部門は、お客さまと直接やりとりするので、トラブルが発生しやすいという特徴があります。そのため、来年の幹部候補生である高1生にも使ってもらって、校内のいろいろなところから情報を収集してもらい、幹部としてどう動くかを学んでもらっています。
大谷:そもそも聖光祭でBuddycomを導入した背景を教えてください。昨年の聖光祭から利用し始めたと聞いていますが……。
大下:はい。もともとは専用トランシーバーを使っていました。でも、人数分の台数を用意するのも大変だし、故障すると台数が減ってしまい、連絡が取れないということが起こっていました。
あと、トランシーバーは距離が離れると電波が届かなくなるので、学校の外に買い出しにいく際は会話ができなくて不便でした。音質もよくなかったので、話の内容を漏らすこともありました。一応、学校の放送も使えるんですけど、雑音にかき消されてしまいます。
李:こうした課題に対して、1つ上の学年である齋藤先輩がBuddycomを見つけて、サイエンスアーツさんに学祭で使えないか持ちかけたのがきっかけです。
僕たちはそれを受け継いだわけですが、ユーザーインターフェイスの素晴らしさ、文字起こしや翻訳など機能の豊富さ、他社サービスとの連携のしやすさなどを実感しています。