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Adobe CPOに聞く、「Adobe Creative Cloud Web」提供の背景

2021年11月03日 09時00分更新

文● 太田百合子 編集●飯島恵里子/ASCII

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 Adobeは10月27日、28日の2日間に渡り、クリエイター向けの年次イベント「Adobe MAX 2021」をオンライン開催した。キーノートにも登壇したCreative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のスコット・ベルスキー氏が日本メディアのグループインタビューに応じ、コロナ禍がクリエイティブにもたらした変化や、イベント内で発表された新サービスについて語った。

Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のスコット・ベルスキー氏

――COVID-19を受けて、2021年のクリエイター市場にどのような変化があったのか教えてください。

 COVID-19はクリエイティビティにも影響を与えました。非常に興味深いトレンドが、様々な媒体においてありました。例えば写真は普段ならロケに行ったり、スタジオを使ったりしなければなりませんが、それができなかったので大きな成長はありませんでした。

 一方で大きく成長したのが、ビデオや3Dといったイマーシブなクリエーションです。多くの企業やブランドが、顧客にとって魅力的な動画コンテンツを作る必要性に気づき、様々なソーシャルプラットフォームで動画が活用されるようになりました。また以前はスタジオで製品を撮影していた多くの企業が、それらを3Dオブジェクトとして、レンダリングするようになりました。

――確かに3Dを使うシーンは増えています。今後Adobeとして3Dのオブジェクトや背景などを扱う、クリエイティビティのためのツールについてどのように考えていますか?

 今はまだ黎明期で、多くは消費者はまだ実際には3Dなどイマーシブなクリエイティブを体験していません。しかし今後、私たちは拡張現実の世界で生活をし、そこで多くのエンターテインメントが消費されることになるでしょう。

 バーチャルの世界では、すべてのプロクリエイターが3Dのようなイマーシブだったり、インタラクティブな体験を創造しなければなりません。私たちがメタバースとも呼ばれる、そんな世界に住むことになれば、それにあわせてファッションだったりアクセサリーだったり、3Dの場所も欲しくなるでしょう。

 ですから「Adobe Substance 3D Collection」(Adobeが提供する、初心者からプロまでを対象にした3DCGクリエイションツール)を構築し、クリエイターがバーチャルの世界でも活躍できるようにすることはとても重要だと考えています。またPhotoshopやIllustratorなどの製品にも、3Dの機能の多くを導入していきます。

――キーノートでは「Adobe Creative Cloud(Adobe CC)」のユーザーに向けた新しいサービスとして、ブラウザから利用でき、オンラインでのコラボレーションを容易にする「Adobe Creative Cloud Web」が発表されました。その背景には、COVID-19でクリエイターの働き方が変わったことがあるのでしょうか?

 この2年、私達はお客様の様々な課題に耳を傾けてきました。多くのお客様が分散したリモート環境で、協力をしてクリエイティブな作業を進めるために、より簡単でより良い方法を求めています。COVID-19はコラボレーションの機能に関する、ロードマップ上での優先順位に影響を与えました。(「Adobe Creative Cloud Web」での提供を発表した)「Creative Cloudスペース」や「Creative Cloudカンバス」は、その取り組みの最初の成果です。

Creative Cloudスペース

 また私たちは「Creative Cloud ライブラリ」にも多くの時間を費やし、あらゆる規模のチームに対応できるようにしてきました。しかしこの2年間は大変厳しいものでした。2年の間に私たちの活動や共同作業の方法は大きく変わり、またツールの種類も変わりました。

――「Adobe Creative Cloud Web」では、Adobe CCのメンバーではない外部のユーザーも招待できます。このような仕様にした理由を教えてください。

 今、クリエイティビティはより包括的なものになってきています。最近ではより多くの人々が、クリエイティビティに関わっています。たとえばエグゼクティブであったり、コピーライターであったり、マーケッターであったり、多くのステークホルダーがいます。ですのでそれぞれの関係者、ステークホルダーに対して、必要なものを提供できるベストな形をWebアプリケーションで作ることにしたのです。

――「Adobe Creative Cloud Web」では、「Photoshop」と「Illustrator」のWeb版も提供されます。これはクラウドドキュメント(編集部注:互換性のあるどのアプリ、デバイスからも編集ができ、作業内容が常に記録されるクラウド対応のファイル)がなければ提供できなかったと思いますが、(クラウドドキュメントが最初に導入された)iPad版のときから構想はあったのでしょうか?それともパンデミックが加速させたのでしょうか?

 クラウドドキュメントは、私たちにとって長い旅のようなものです。私たちは最終的には全ての製品を、クラウド化したいと考えていました。それは私たちの製品をどこからでも利用したいというお客様の要望があったからです。iPadでPhotoshopが使えれば、どこにいても仕事ができます。Web上で使えれば、コラボレーションがより簡単にできます。しかしローカルにファイルを保存する、デスクトップ製品に慣れ親しんできたAdobeにとって、これを実現するのは難しいことでした。

 クラウドドキュメントはとても大きな変革でした。私たちはクラウドドキュメントを活用してウェブアプリケーションを実現しようと計画していましたが、おっしゃるとおりCOVID-19がそれを加速させました。

PhotoshopのWeb版の発表は、注目を集めた

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