意外とオトクに建てられる充電設備
Looopの担当者によると、電力小売りのほか電気自動車用充電器の設置工事も承っているそうで、そのニーズは年々高まっているとのこと。ここではLooopでんきにすべてをまるっとお願いする方法で話を進めます。
まず、最も安価な充電設備からご紹介しましょう。それは商用200Vの電源を、そのまま利用するというもの。写真のパナソニック製コンセント(WK4322S)の場合、施工料含めて8万7780円とのこと。この場合、3kWの交流ですので、10時間近い充電時間がかかります。ですから「帰宅して夜寝ている間に充電。朝になったらバッテリー満タン」という場合は、こちらでOK。実は取材日があいにくの空模様で、雨がしとしと。「電気を扱うのに、水に濡れたら感電するのでは?」とドキドキしたのですが、もちろんそのような事はありませんでした。
「いや、帰宅するのは遅いし、朝も早いから10時間なんて待てない」という方もいらっしゃるかと思います。そんな方にはV2H(Vehicle to Home)型の充電器がオススメとのこと。この機械を使うと、直流6kW未満で充電ができるので、充電時間は単純に半分の5時間となります。ちなみに価格はニチコン製のEVパワーステーションスタンダードモデルが79万3100円から、プレミアムモデルが123万6400円からとなっています。「そんな高い機械、買えるわけがない」と思いましたが、なんと補助金の対象だそうで、半分は国が負担してくれます! ざっくり40万円で充電時間が半分になる、というわけです。
ここで気になるのは電気料金。Looopでんきの場合、使った分だけ支払うわけですから、通常充電と料金はほとんど変わらないとのこと(実際は交流から直流の変換によるロスが発生するため、少し金額が上がる)。これが他社になると、必要とする出力によって基本料金などが変わってくる場合があり、急速充電にした途端、値段が一気に上がる可能性があるそうです。
よって電気自動車を購入し自宅で充電する場合、設置する機械に費用だけでなく、電気事業者の料金体系をきちんと確認しないと「想像と違った」ということが起こりえるというわけです。クルマを買ったら家の電気の事も見直す時代が来ている、というわけですね。
家の電気をEVの電力でまかなう
V2H機器のメリットは、それだけではありません。クルマに貯めた電気を家電に使うことができるのです。近年、台風などの自然災害でライフラインの1つである電力が途絶し、長期間にわたって停電したというニュースを目にします。ですがV2Hの機械があれば、クルマに蓄えた電力を家で使うことができます。
やり方はカンタンで、まずEVパワーステーションに12Vを給電します。というのも停電によりEVパワーステーションが動かないから。これはクルマのアクセサリーソケットとEVパワーステーションをつなげればOKでしょう。続いて車両側の電源をオンにして、EVパワーステーションとつなげるだけ。あとは家に戻って、配電盤を切り替えれば、普段通りに電気が使えるというわけです。
「クルマに100Vコンセントがあって、1500Wの電力が取れるから、それでいいのでは?」と思われますが、それではエアコンをはじめとする200V家電を動かすことはできません。ちなみにHonda eの場合、バッテリー容量の80%にあたる28.4kWhを蓄電池として利用できるので、季節差はありますが、平均的な4人暮らしの場合13.1kWh/日にということから、2日分の電力をまかなうことができます。実際停電中は節電するでしょうから、もっと長期間電力を使うことができるでしょう。
というわけで、Honda eの電力を使い、ホットプレートで焼肉パーティーを開催。被災中にこんな事をしたら、ご近所から何を思われるか……ですが、エアコン付けて照明をつけて焼肉食べても、電力量に余裕はありあり。ちなみにスマホで電力量を見ることもできますから、外に出なくても安心です。
このやり方を拡大解釈すれば、たとえば電気利用の少ない夜間に充電し、日中はクルマの電気を使う、という効率的なエネルギーマネージメントが可能となります。また後述しますが、日中は太陽光パネルの電力でクルマを充電、夜はクルマの電力で生活をすれば、エコな暮らしが実現するというわけです