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GIGAスクール構想についてのデジタル庁アンケートから見えること

子どもに1人1台配ったタブレット、本当に使ってる?

2021年09月28日 11時00分更新

文● 高橋暁子 編集●ASCII

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子どもとGIGAスクール構想
オンライン授業の現在を知る

 2021年9月に発足したデジタル庁では、GIGAスクール構想など教育のデジタル化に向けて、2つの大規模なアンケート調査「GIGAスクール構想に関する教育関係者の皆様へのアンケート(教育関係者向け)」および「タブレットについてのアンケート(児童・生徒向け)」を実施、約26万件の回答が集まった。

 アンケート結果では、教育のデジタル化の目的は、「加速度的に変化する社会の創り手となる子供達の可能性を解き放ち、多様な子供達1人1人のニーズに合った教育を提供する」ことであり、現在のコロナ禍においてICTを活用した遠隔・オンライン授業は「非常時であっても子供達の学びを止めない」ために極めて重要である旨が明記されている。

 一方、児童生徒・教職員・保護者は、それぞれ課題を感じている実態があるようだ。そこで今回は、9月に発表されたアンケート結果の紹介とそこから見えてきた諸々の課題について、筆者が知る情報も交えてお伝えしたい。

アンケート回答数はおよそ26万件。対象者は小中高生と教育関係者

発達段階・利用状況に応じた利用ができていない現状

 まずは当事者である、子どもの問題意識を見てみよう。

 小学生はまだキーボードの利用に慣れておらず、ローマ字やパスワードなどが上手く入力できずに困っていることが多い。そもそもローマ字を学ぶのは小学3年生だ。つまり、低学年ではまだローマ字について習っていないため難易度が高くなってしまっているというわけだ。低学年の子どもには、発達段階に応じた利用をさせるべきだろう。

 一方、中高生になると、アクセス制限で見たいサイトが見られないことや、インターネット回線が遅いことによる使い勝手の悪さに困っていることが多い。中高生になると自分のスマホを持っていることも多く、検索サービスを使ったり、学習などに積極的に使ったりしたいと考える生徒も多いだろう。そのような年齢の子どもたちにとっては、制限内容を見直すことも必要になりそうだ。

 なお活用に関しては、子どもたち全体がルールを守る大切さを感じている。たとえ「失敗から学ぶ」「自主性に任せる」という方針だとしても、まだ適切に利用できない子どもたちにとって、ルールや見守りは必須となる。教員がルールを伝えるほか、子どもたちでルールを話し合って決めることも効果があるのではないか。

 アンケート結果からは全体的に、まだ最適化できていない様子が伺える。子どもの発達段階や利用状況に応じた適切な機能・使い方ができるよう、改善を期待したい。

小学生は操作法などリテラシー面、中高生はネット環境に課題を感じているようだ

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