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BALMUDA The Brew正式発表:

バルミューダついにコーヒーメーカー発表「家で飲めるレベルじゃない」

2021年09月08日 13時00分更新

文● 盛田 諒 編集● ASCII

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バルミューダが普通であってはいけない

 コンセプトは確かに挑戦的ですが、5万9400円という価格も挑戦的です。社長自身は「激高(げきたか)ですよね、コーヒーメーカーとしては」と認めた上、「デザインの価値と味わいを両立させて一番コンパクトにしたのがこの価格。これ以上は1円も下げられなかった」とも語りました。

 「普通だったら削るんですよ。もうちょっと丸くする。 丸くして、お客さんに届けやすい商品にするためにいろんな調整をかける。当然今回もそうしようとしたんですが、最初に原案として出された味とデザインがすごく良かったんです。それを丸くしたいとも思ったが、できなかった。言い方は悪いですが、一番角が立った商品になりました。一番エッジー(とがっている)だと」(寺尾社長)

 原案とは、デザイナーが「バルミューダがコーヒーメーカーを出すならこの形状じゃないですか」と開発前に持ってきたモックアップ。あまりに出来がよく、「この味にこのデザインだったら出す価値がある」ということで、原案の姿をめざすことが最終的な目標になったのだそうです。

 そのため社長も値下げを指示してはいたものの、現場から上がってきた「ステンレスのパーツをやめていいか」「メッキをやめてもいいか」などの提案はすべて却下。胸の中では、原案をめざすという方針を貫けるならむしろ10万円になっても作ってやるというくらいの気持ちでいたといいます。

 そうまでしてエッジにこだわるのは「普通ではいけない」という思いから。

 「味だけキープしてデザインを丸くして出せばいいじゃんと言うことは正直できましたが、それをやっていったら普通になっちゃうと。これまで(商品を)丸くもしてきましたが、社会一般からすればとがったものにしたつもり。それが上場してもっと丸くしたら、普通の会社になっちゃう。バルミューダに投資するというのは、ある程度勇敢な行動、人がやらないことをやるということを求めてくれていると、我々は勝手にそう解釈しているんです。我々がステークホルダーに対してどんな責任を持っているのかと言うと、それはキレのある行動に対してなんじゃないかなと」(寺尾社長)

 寺尾社長はそう言ったあと、「世界最大の会社もかつてはそうだったじゃないですか」とアップルのことをほのめかしていました。株主が見ているのは行動ではなく結果では? とは思うものの、バルミューダが上場して丸くなったら終わりというのはよくわかります。ただ、普通の人がここまで普通ではないものを買うのかは正直わかりません。ポップな味わいだと言いながら、価格的には全自動コーヒーメーカーよりも高く、エスプレッソメーカーにさえ手が届くほど。しかもできるのがコーヒーのお湯割りだと言われたら「???」という顔をする人も多いのではないでしょうか。

 それでも実際に使ってみると、味、設置のしやすさ、デザイン、質感を含めた総合的な印象から「まあ6万なら」と納得させられる恐ろしさがありました。失礼ながらバルミューダのキッチンシリーズは近年あまりピンと来ていなかったものの、今回の破壊力は別ものでした。バルミューダは世界観で殴ってくるところがありますが、その真骨頂と言えます。社長は「間違ってヒットしたらいいなと思ってます」と冗談めかして言いましたが、間違いが起きてもおかしくありません。

 6年前、青山の製品発表会でBALMUDA The Toasterを初めて見たときの得体の知れない興奮をふたたび味わったような気もしました。一般的な評価はわからないが、この世界に魅了される人は確実にいるだろうというもの。上場後初にしてバルミューダの集大成のようなこの製品が一体どうなっていくのか。なぜかこっちが緊張しはじめた傍ら、社長は6年前よりもなお熱っぽく語っていました。

 「我々はここからいかに強く光るかと言うフェーズに入っていると思うんです。鈍く光っていてもしょうがないので」

 

「BALMUDA The Brew」主な仕様
サイズ 幅140×奥行き297×高さ379mm
抽出量 1〜3杯(1杯あたり約120ml)
モード REGULAR、STRONG、ICED
サーバー素材 ステンレス、PP
抽出時間 約4〜7分
本体重量 約3.4kg
カラー ブラック
コード長 1.0m

 

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※お詫びと訂正:初出時、発売日を2021年9月8日としていましたが、2021年10月7日の誤りです。関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことをお詫びするとともに訂正します。(9月8日 15:50)

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