遠藤諭のプログラミング+日記 第99回
ブロックdeガジェット by 遠藤諭 011/難易度★
Raspberry PiとArduinoがボクらにくれたものはなにか?
2021年09月02日 09時00分更新
2000年代に入っていきなり電子工作のブームがやってくると予測できた人っているのだろうか? 「100個も売れれば」と考えて作られたというArduinoが、世界的にヒット商品になるとは! Raspberry Piという小さな基板むきだしのコンピューターが、これも教育分野だけでなくIoTで世界を変えるほどのものになるとは!
私がブロックでデジタルの製品たちを作る「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」の#11は、そのArduinoとRaspberry Piだ。もともと、小さなカードほどの基板を、ひと山が約4ミリ✕4ミリほどのブロックでどんなふうに作ったのか以下の動画をご覧いただきたい。
ちょうどArduinoが登場してきた頃に、米国では、オライリーが『Make』を創刊。自分の手でモノを作ることは楽しく、さらにコンピューターを組み合わるともっと楽しくなるというムーブメントを育てていくことになる。日本でだって、その頃にPICを使った電子工作本の企画なんかもあがってきていたのに、きちんとアスキーでキャッチアップできなかったのはちょっとくやしい出来事だった。
Raspberry Piが出てきた頃には、そのオライリーの仕事をしていたKさんからお声がけいただいて『Make』の編集長にインタビューさせてもらった。「Makeの編集長ってさぞかしコテコテの電子工作野郎だろうな」と思ってたら、私と同じハンダゴテもやらないという人物だった。その一方、彼自身は、いまも「boing boing」(もともと1980年代から紙で刊行している)ZINEカルチャーっぽいサイトをやっている。
個人的には、ArduinoやRaspberry Piで電子工作的な何かを作ることって、同人誌とかメディアで発信していくことと地続きだと思っている。これらをやるときには、脳みその中の同じところが使われていると思う。基板むき出しのコンピューターによって、人々は、原始時代に戻ったかのように、なにかを探索してつくったり、誰かが作ったものを受け入れたりするようになったのが楽しい。
実は、今年のMaker Faire Tokyoの会場で、私のブロックdeガジェットの作品を並べたいと思っていたのだが、なんとオンラインだけの開催になったとのこと。これは1年間の余裕ができたと思って 来年に向けて何かをはじめよう!!
■ 「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」:https://youtu.be/E34-nojIG9o
■再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PLZRpVgG187CvTxcZbuZvHA1V87Qjl2gyB
■ 「in64blocks」:https://www.instagram.com/in64blocks/
遠藤諭(えんどうさとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。
Twitter:@hortense667Facebook:https://www.facebook.com/satoshi.endo.773

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