ごきげんよう、アスキーの呑んべろ記者ナベコです。最近はなかなか外には飲みに行きづらく“家呑み”に勤しんでいる方も多いのでは。そこで家でも簡単に作れる「ぽん酢サワー」をご紹介。え、ポン酢? と、驚いた人もいると思います。柑橘果汁に醤油を加えた濃い色の味付けポン酢を想像していませんか? ぽん酢サワーで使用するのは色が薄いミツカンの「ぽん酢」。「味ぽん」とは異なる見た目から“白ぽん”なんて呼ばれたりもします。
ぽん酢は、醤油を加えていない柑橘果汁と酢の調味料で、ミツカンの「味ぽん」の前身となる「ミツカンぽん酢(味つけ)」を発売したのは1964年(昭和39年)のところ、「ぽん酢」は1960年(昭和35年)に発売されています。今ではミツカンだけでなく、醤油を加えた味付けポン酢がメジャーになっていますが、もともと醤油を加えていないものが原型なんですね。
ぽん酢は鍋料理をはじめ、湯豆腐、フライにも使えます。オリーブオイルと混ぜてサラダにも使うにも便利。また、後から醤油を加えることでオリジナルの濃い味付けポン酢にもできるので、使い方さえおさえるとけっこう万能です。
では気になる「ぽん酢サワー」の作り方はこちら。ミツカンに書かれているレシピを参考にすると、①グラスに氷を入れぽん酢、焼酎を注ぐ。②[1]に静かに炭酸水を注ぎ入れ、軽く混ぜる。これで完成。なお、ぽん酢:焼酎:炭酸水の割合は2:3:7がおすすめだそうです。
焼酎サワーに柑橘果汁や酢の酸味が加わって、非常に爽やかに飲めます。醤油の味がしないため、調味料を加えた感覚は一切なく、ほんのりとビネガーのツンとした刺激が加わったオシャレな感じのサワー。“ビネガー柑橘割り”といった名前で出されたら、まさかぽん酢を使用しているとは思わないでしょう。
爽やかなので暑さが残る日やじめじめする日にオススメです。感覚的にレモンサワーとも近く、料理との相性もよくて、揚げ物や焼き肉のお供に飲むと口の中がさっぱりします。
また、お酒に限らずミツカンでは「ぽん酢スカッシュ」なんてレシピも公式サイトに掲載しています。作り方は、グラスに氷とぽん酢を入れ、炭酸水またはサイダーを静かに注ぎ入れ、軽く混ぜる、以上。つまり、炭酸水にぽん酢を入れるだけ。試してみると、酢と柑橘果汁が炭酸に加わって、眠気覚ましにもなる爽快さ。在宅ワークの気分転換にもぴったりです。
実は10年くらい前からじわじわと人気
このぽん酢サワー、実は都内を中心とした一部居酒屋さんでローカルメニュー的に扱われてきました。10年くらい前に都内のとある串カツ屋の店主が味ぽんと間違えてぽん酢を発注してしまい、なんとか活用しようと焼酎サワーに加えたのが知られるようになったキッカケ。調味料を割材に使うという意外性がありつつも、おいしいと評判になりじわじわと広まったそうです。
ミツカンではただ今、店舗向けにぽん酢サワー用のグラスを作って販促活動をしたり、InstagramなどSNSで情報発信したり、ぽん酢サワーの魅力を発信するプロジェクトを展開中。最初は東京ローカルの一部店舗のメニューでしたが、現在は、北は北海道、南は沖縄まで、全国で600店舗以上の店舗がぽん酢サワーを取り扱うまでになりました。特に沖縄のお店さんから評判がよく引き合いが強いそうです。ぽん酢サワーが全国的に広がっていてメジャーになりつつあるとは、ちょっと驚きではないですか。
ただ今、ぽん酢サワープロジェクトを展開
ミツカンのぽん酢サワープロジェクトの中心人物は入社5年目の若手社員である香川さん。ぽん酢サワーは大衆酒場のイメージがあるから、若い方が推進していると聞いてこれもびっくり。
香川さんは入社3年目に商品企画部新規開発課に配属され、商品軸ではなく“サービス”や“こと”による新しい価値を生み出す企画に奮闘。入社4年目の昨年に配属されたメディアコミュニケーション課の㏚題材として、ぽん酢サワーに目をつけました。ところが最初「ぽん酢サワーをアピールしたい」と言っても、社内ではあまり反応がよろしくなかったそうです。というのも「ぽん酢は飲み物の割材として使える」という意外性がある事実を、すでに社内では周知していて、だからこそ「あまり新しくない」と見過ごされていたのです。そこに香川さんが光を当てました。
「ぽん酢サワーは、長く販売しているぽん酢という商品の魅力を、視点を変えることで広げられて、まさに“もの”ではなく“こと”としてのアプローチ。自分は、お酒がすごく得意なわけではないので大衆酒場文化もそれまで詳しくなかったけれど、ぽん酢サワーがあるのを知っておもしろいなと思ったし、今は大衆酒場のレトロな雰囲気が若い人に受けているというのもあるから、幅広い年代に興味をもってもらえると思ったんです」と香川さん。
香川さんがデザイン企画に携わったぽん酢サワー専用のグラスは、大衆酒場に古くから愛されているメーカーのデザインなども参考にしながら、長く使ってもらえるシンプルなデザインに徹したそうです。「一過性のトレンドではなく、ぽん酢サワーが定着してほしいので、酒場で愛されているジョッキなどを研究しながら、ひと目でぽん酢サワーと分かる“まるぽ”のロゴを入れて飽きのこないシンプルなデザインにしました」とのこと。
大衆酒場の雰囲気を自宅で味わってみては
ぽん酢サワーが生まれたのは大衆的な飲食店。実はお店によってもぽん酢サワーは様々。ベースとなるお酒の決まりはないし、割り方の配合やトッピングの有無でも雰囲気は変わってきます。お店ごとに異なる“アジ”が楽しめるのが魅力。香川さんによると「ぽん酢サワーに関しては、メーカーからの一方的な発信じゃなくて、飲食店の取り組みを紹介するなど、お店さんと一緒できる取り組みも今後模索していきたく考えています」とのことでした。
今はなかなか外食したり、外でお酒を飲んだりしづらい事情もありますが、家でぽん酢サワーを飲んで大衆酒場に想いを馳せてみるのも楽しみ方のひとつではないでしょうか。
ナベコ
酒好きライター、編集者。酒活動しています。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に参戦するなど。ホットカーペットが気持ちよすぎて床で寝おちして朝陽で気が付く日々。せっかく年始におろしたパジャマを着ないと……。
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