東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部(旧 次世代通信推進課note)連動企画 第34回

【連載】MaaSの実証を行ないました

文●次世代通信推進課

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※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。

新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

 東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部です。(旧 次世代通信推進課note)。デジタルサービス局は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たに設置した組織です。その中で、ネットワーク推進課は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。

 都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。

 前回の紹介記事はこちら。

【連載】「デジタルサービス局」になりました」

※過去の連載記事はこちら:東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部ネットワーク推進室(旧 次世代通信推進課note)連動企画

 皆さんこんにちは。

 今回と次回の2回に分けて、昨年度実施したMaaSの実証実験についてご紹介させていただきます。

 最近様々なところでMaaSという言葉を聞くと思います。公共交通による移動がアプリで便利になる仕組みで、今は様々なところでMaaSの取組が行なわれています。このMaaSについて、東京都では、都内の様々なフィールドで、3つのプロジェクトの実証に取り組みました。

地域の交通不便をいかに持続的に解決するか

 地域によって具体的な課題は様々ですが、東京も例外でなく、高齢化や交通不便は大きな課題です。

 3プロジェクトのうち、2つは、東京都の多摩地域で実施したのですが、高齢化や交通不便が課題として存在するエリアで、どのようなMaaSが実現しうるのか、挑戦しました。

小田急電鉄株式会社を中心とした町田市内の実証

 東京都町田市内には、公共交通が十分でないエリアが存在しています。そのエリアに対して、より高い利便性の公共交通を提供するとともに、鉄道・バスのリアルタイムデータを用いて、遅れを加味した経路案内サービスを提供することで、対象地域居住者の公共交通による外出を容易にし、人々の暮らしやすさと健康を促進すると共に、地域全体を活性化させることを目指し、小田急電鉄株式会社と東日本旅客鉄道株式会社を中心に様々な主体が協働して実証を行ないました。

 まず、東京都町田市山崎町付近で26箇所の乗降ポイントを設けてオンデマンド交通「E-バス」を運行しました。地域内の医療施設や商業施設ご利用の方を中心に、幅広い年代の地域住民の方々に利用していただきました。

 また、JR東日本が有する「リアルタイム経路検索」機能を活用したサービス「リアルタイム経路検索」を、小田急電鉄の公式アプリ「EMot」とJR東日本の公式アプリ「JR東日本アプリ」で提供し、サービス利便性向上を検証しました。

 「リアルタイム経路検索」では、対象路線を含む経路を検索すると、遅れが生じている場合にはその遅れを加味した検索結果を表示します。アンケートでは、継続利用意向が95%であるなど、高い評価を頂きました。

京王電鉄株式会社を中心とした多摩市内の実証

 京王電鉄の路線は新宿から東京西部にある多摩エリアを結んでおります。この多摩エリアは山坂が多く、さらには居住者の高齢化など課題を抱えている地域でもあります。

 今回これらの課題を解決するための1つの施策として、東京西部多摩エリアの聖蹟桜ヶ丘や高尾山を中心に、京王電鉄株式会社等と協働して、MaaSの実証実験『TAMa-GO』を実施しました。

 『TAMa-GO』はスマートフォン専用のウェブサイトを通じて、交通や各種サービスを提供するものです。

※新型コロナウイルスの影響により、一部実証を縮小して実施いたしました。

 まず、ひとつめとして、エリア内の移動手段として「ドアtoドア」に近い形でのサービスの提供のために、タクシー車両を利用した相乗り型輸送を多摩市の聖蹟桜ヶ丘駅と山坂の多い駅南東部を結ぶ形で行ないました。知人・友人同士ではなく、目指す方向が近い知らない人同士がシステムを利用してマッチング「相乗り」をして運賃負担を下げたタクシーというイメージです。また、スマートフォンが使えないという方にもご利用いただけるよう、京王ストアのカウンターで予約を代行するサービスも行ないました。

 ご利用者の9割以上はタクシーの相乗りサービスにご満足いただいており、今後もサービスを使いたい、とのお声までいただくことができました。

 2つめの施策として、チケットのデジタル販売などを活用した交通と各種サービス連携を行ないました。例えば、ショッピングセンターの買い物券とタクシーの相乗り券をセットにしてウェブチケットで販売したり、さらに5000円分のお買い物をしたら、そこまでの移動に係る運賃は無料にしたりするサービスを提供しました。これらにより、利用者にとっての移動・お買い物をする際の利便性を高めていきたいという試みになります。

 利用者からは、「会計がスムーズになった」などの利便性が向上したというお声だけでなく、「行ったことのないお店に行ってみたくなった」という購買意欲の向上を図ることができました。また、店舗のスタッフからも、「キャッシュレスなので会計業務が楽になった」「プラスで商品を購入していただけた」などの他に、「現金やクレジットカードの受け渡しがないのでコロナ禍でも安心だった」などのように、コロナ禍でも安心してご利用いただくことができました。

 加えて、新型コロナによって人々のライフスタイル、特に通勤のスタイルが変わっていることから、今回の実証実験では、バスのIC定期券をお持ちの方に一定金額を追加でご負担いただくとサテライトオフィス・シェアサイクル・駐車場がIC定期券ひとつで利用できるサービスも実施しました。今回、IC定期券ひとつで生活スタイルにマッチした様々なサービスを受けられるといったシステム面での技術的な検証を行なうことができたので、今後のサービス拡大が検討されています。

 今回の実証実験で得られた、「良かったこと」「悪かったこと」などを精査して、『TAMa-GO』は「今の生活をより便利にするサービス」として、拡大が期待されます。

 これらの実証により多摩エリアでの交通不便解消に向けたMaaSの取組を進めることができました。

 次回については、臨海エリアの実証についてご紹介します。

◆この記事は、下記より転載しています
 https://note.com/smart_tokyo