新横浜ラーメン博物館のウラ話 第4回

【連載】ラー博の何故? 第4話~ どうやってラーメン店を選んでいるのか?

文●中野正博

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 みなさんこんにちは。

 突然ですが、ベジタブルラーメンと聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか? 多くの方は物足りないというイメージをお持ちではないでしょうか? 当館では2004年ごろからベジタブルラーメンの提供を始めました。最初のころは確かに物足りなさがあったのですが、いろいろと研究を重ねることにより、言われないとわからないほどクオリティが上がっております。先日、熊本「こむらさき」では、さらにバージョンアップしたベジタブルラーメンをリリースしました。写真を見てもどちらがベジタブルラーメンかわからないほどです。しかもこちらのラーメンはビーガン対応です。だまされたと思って、ぜひ一度食べてみてください!

 詳しくはこちら→https://www.raumen.co.jp/information/news_001162.html

 少し間が空いてしまいましたのでこの連載について簡単にご説明させていただきます。

 この連載は「ラー博の何故?」と題して、これまで多くの方々からご質問をいただく何故についてお話をさせていただいております。初めて読まれる方はバックナンバーの順に読んでいただけるとわかりやすいかと思います。

 第1話 何故新横浜に作ったのか?

 第2話 どのような経緯でラーメン博物館を作ったのか?

 第3話~ 何故?昭和33年の街並みなのか?

 そして第4話の今回は、「どうやってラーメン店を選んでいるのか?」についてお話させていただきます。

 ※過去の連載記事はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話!

 当館では、これまで27年間(2021年8月現在)で50店舗のお店を紹介してきました。 選定基準について、誤解を招いたりすると全国のラーメン店さんにご迷惑がかかると思い、今まではあまり公表しておりませんでしたが、今回私たちの想いとしてお話させていただきます。

 ラー博のプロジェクトを始めたころ、関わったスタッフはラーメンについてまったまったくの素人でした。全国にどのようなラーメンが存在するのだろう?というワクワク感を持ち、そして実際に食べ歩いてお店の人に取材をして、私たちなりの紹介の基準が生まれました。

 日本という国は縦長の島国で、四季や風土・気候によって異なった食文化が存在します。郷土料理などはその例で、ラーメンも同じように郷土色を持っていると私たちは感じました。そして私たちはそのさまざまな地域において地元に根付き、その地域でさまざまな影響を与え、長い間支持されているお店を中心に皆様にご紹介していきたいと思いました。

 おいしい・おいしくないという判断基準は、あくまでも主観的な考えで、私たちは主観的な基準でお店を選んでおりません。ただ、地元の人々に支持されているということは裏を返せば、大多数の客観的な意見でもあります。また、郷土料理としてのラーメンという切り口以外にも、ラーメン業界で影響を与えたお店や今後の業界を見据えたうえで行なう企画店なども実施しています。

 これまでお話したお店の選び方をまとめ、これまでご出店いただいたお店をあてはめると次のような形になります。

1-ご当地において礎となり影響を与え、地元から愛され今なお繁盛しているお店

 東京「春木屋」、和歌山「井出商店」、旭川「蜂屋」、山形赤湯「龍上海本店」、徳島「いのたに」・・・

(左から)東京「春木屋」、和歌山「井出商店」、山形赤湯「龍上海本店」

2-ご当地においてのラーメン文化に影響を与えたお店 

 札幌「すみれ」、博多「一風堂」、博多「ふくちゃんラーメン」、 函館「マメさん」、札幌「けやき」・・・

(左から)札幌「すみれ」、札幌「けやき」、博多「ふくちゃんラーメン」

3-ラーメンの歴史・業界において影響を与えた人のお店 

 「支那そばや」(横浜)、「げんこつ屋」(東京)、「らーめんの駅」(札幌)、「頑者」(川越)・・・・

(左から)「支那そばや」、「らーめんの駅」、「頑者」

4-確立したスタイルはないが、地元において長い間絶大な支持を受けているお店

 岩手久慈「らーめんの千草」、福井敦賀「一力」、笠岡「中華そば坂本」、 福島会津「牛乳屋食堂」・・・・

(左から)福井敦賀「一力」、 福島会津「牛乳屋食堂」、笠岡「中華そば坂本」

5-日本にはなく、海外で誕生したラーメン店(逆輸入ラーメン)

 アメリカ「IKEMEN HOLLYWOOD」、ドイツ「無垢ツヴァイテ」、 イタリア「CASA LUCA」、カナダ「RYUS NOODLE BAR」・・・・

(左から)ドイツ「無垢ツヴァイテ」、アメリカ「YUJI RAMEN」、イタリア「CASA LUCA」

6-「新横浜ラーメン博物館」が今後の業界を見据えて行う企画により選出されたお店・人

 新ご当地ラーメン創生計画(「通堂」、「大陸」、「むらまさ」)、 ラーメン登竜門(「あまからや」)銘店復活プロジェクト(「谷口食堂」、「淺草 來々軒」)・・・

(左から)琉球新麺「通堂」、高知須崎「谷口食堂」、「淺草 來々軒」

 これらの基準をもとに「飛行機に乗らずに全国+海外の銘店の味が味わえる」という私どものコンセプトにのっとり、本店およびその周辺にしかないお店を紹介しております。食文化ですので創業年数なども重要視しております。また今後7番目以降の基準も生まれてくるかもしれません。

 選定基準に正解はありませんが、私たちはこのような考えのもと、全世界を食べ歩き、お声がけし、紹介させていただいております。

 これからも皆様に驚き、感動、楽しさ、満足をお届けできるよう調査と誘致を行っていきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

新横浜ラーメン博物館公式HP
https://www.raumen.co.jp/

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文/中野正博

プロフィール
1974年生まれ。海外留学をきっかけに日本の食文化を海外に発信する仕事に就きたいと思い、1998年に新横浜ラーメン博物館に入社。日本の食文化としてのラーメンを世界に広げるべく、将来の夢は五大陸にラーメン博物館を立ち上げること。