スイッチボックスの中はサビサビ
上から見るときれいなんだけど、ブレーキレバーやライトスイッチの裏側がホコリと油で真っ黒だったモトコンポ。掃除しようにも油汚れだからなかなか落ちないし、細かい隙間はウェスで拭くのも難しいし、なにより裏側だからそもそも掃除がしにくいことこの上ありません。イライラッとなったあげく、いっそバラしてしまえと分解を始めました。
スイッチボックスを開けてみると思ったより汚れてはいないものの、真っ茶色になってました。うすうす勘づいてはいましたが、サビまくっててヤバい感じです。
見なかったことにしてソッと閉じてもいいんですけど、見ちゃったらやっぱり何とかしたくなってしまいます。今のうちに何とかしないと取り返しがつかないことになっちゃいそうですし。
というわけで錆び取りをしてみました。
ネジを外すときは潤滑剤を使います
スイッチボックス内にあるウインカーレバーを外してみると、接触していた面はまだサビが進行していませんでした。せめてこのぐらいの状態に戻したいところです。
レバーが固定されていた部分は金属のプレートで、2本のネジで固定されていました。このネジも当然のように錆びついていて、そのままでは回る気配がありません。
こういう時は愛用している浸透防錆潤滑剤、和光ケミカルの「ワコーズ ラスペネ」の出番です。錆びたネジにシュシュッと吹き付けて待つこと数分。ドライバーをグッと押し付けながらゆっくり力をかけていくと、たいていのネジは外すことができます。
サビによるダメージって凄くて、M151A2っていう軍用車に乗っていたころ、アンテナブラケットを固定している直径1cmぐらいあるボルトをねじ切ってしまったことがあるんですよね。
ボックスレンチを使ってたんですけど、それまで回らなかったのが突然ぐにゃっとした手応えになり、外れたかな? と思ったら途中で千切れてたっていう。ましてやこんな細いネジなんてひとたまりもありません。あわてて無理に外そうとせず、潤滑剤をしっかり浸透させるのが吉です。
スイッチもバラバラにして掃除します
金属プレートを外すと配線が見えてきました。ウインカーとホーンの配線です。
サビだけで汚れは少ないかと思ったんですが、そんなことないですね。中はだいぶ汚れてます。特にホーンボタンのところがひどく、綿ゴミみたいな物が引っかっていました。
ホーンボタンの基板をラジオペンチで引っ張り、ウインカースイッチと一緒に取り出してみます。
配線が錆びていたら切ってハンダ付けし直さないといけないところですが、そこまでひどくはなさそうです。
ウインカーのスイッチの中には金属プレートがはめ込まれた白い部品が入っていました。反対側にはウインカーレバーの差し込み口があり、レバーを左右に動かすとこの部品が左右に動いて、中央と左右の端子をショートさせてウインカーが動作するようになっています。
この白い部品の下のあたりをよく見ると、ケースに3つのV字の溝があるのがわかります。白い部品にはスプリングで押されている金属ボールが組み込まれていて、この溝にカチカチとはまることで左右と中央にピッタリと止まるという仕組みです。真ん中の溝が大きいので、左右より強力に止まります。
バラすときはボールが飛んでいってしまわないように要注意。ワタシは何の気なしに引き抜いてしまったので、まんまと落っことしました。
スイッチの接点も黒くなっていました
白いスライド部品に付いている金属プレートは、後ろからスプリングで押されていました。接点に押し付けている感じです。
このスプリングが入っている穴は貫通していて、反対側にはさっきのカチカチ動く金属ボール。1本のスプリングで両方を押すようになっていました。合理的ですね。
ケース側の端子は3つあり、左右はウインカーランプ、真ん中はウインカーリレーにつながっています。奥に見えるスリットからレバーが差し込まれ、レバーで動かされた金属プレートがランプとリレーをショートさせることでウインカーが動作します。
スイッチまで分解するつもりはなかったんですけど、中は結構汚れていて接点も黒ずんでいるので、バラして正解だったかもしれません。接点のサビは紙やすりで磨いて接点復活剤を吹いておきます。
スイッチボックスはブレーキクリーナーで洗います
スイッチボックスの上半分は思ったよりキレイでしたが、下半分は結構汚れていました。
左下や右の方の乾いている部分は茶色いので、黒っぽく見えるのはさっき吹き付けた潤滑剤で湿っているせいですね。茶色いのはホコリなのかな。レバーなどから出たサビも混ざっていそうですね。
ボックス自体は錆びてはいませんが、レバーが擦れるところはサビが移って真っ茶色になっています。
ボックスの上半分を磨くときに使ったブレーキクリーナーを吹き付け、汚れをブラシや綿棒などでこすり落とします。ある程度キレイになったらブレーキクリーナーが流れ落ちるぐらいシューシューと吹き付けてチェック。それを数回繰り返したらだいぶキレイになりました。
そのあと外側も同様にして汚れを落としていきます。
レバーやネジには錆び取り剤を使います
ウインカーレバーやレバーを固定していた金属プレート、ネジ類はサビが酷いので、エンジニアというメーカーの「ネジザウルスリキッド」という錆び取り剤で錆び落とし。
うちにあるネジザウルスリキッドは、ネジを取り付けたままでも使いやすい泡タイプ。今回は部品をバラしたので、ビーカーに部品を入れて全体に行き渡るぐらいシューシューと吹き付けます。
主成分はチオグリコール酸アンモニウムで、酸化鉄であるサビを還元して酸素を奪い、鉄粉として分離させます。サビと反応するとめっちゃ濃い紫色になるしアンモニア臭がしますが、pHがほぼ7の中性なので肌にはやさしいです。
反応時間はちょっとしたサビなら10秒ほどで十分。ひどいサビの時は数十分漬け込んでおきます。やりすぎるとせっかくサビが落ちても黒っぽく染まってしまうので、ある程度のところでやめて水で洗い流し、そのままではまた錆びてしまうのでラスペネを吹き付けておきます。
ネジのような入り組んだ部分のサビ取りはこれで完了。ネジの頭やレバーなどの平らな部品はさらにインパクトドライバーの錆び落としツールでギューンと磨きました。
キレイになった部品を再度組み立て
最初に外したリアブレーキをかけたままロックするためのレバーもネジザウルスリキッドにドボン。
これらも数分待って水洗いすると、見違えるように輝きを取り戻しました。特にナットやEリングは新品と変わらないほどに。あとは組み直せばお掃除完了です。
完璧にピカピカとはいきませんでしたが、最初の状態に比べたらかなりマシになったと思います。また錆びないようにラスペネを吹き付けておきました。あとは時々ウインカーレバーの隙間から吹き付けてあげるといいのかもしれません。
全体がくすんでるし汚れが落ちていないところもありますけど、これが限界でした。発売から40年も経つバイクなのでもう廃盤になってしまっている部品も多いですけど、新品が手に入る部品は新品に交換してあげたいなぁ。
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