ビジネス向け「Expertシリーズ」のフラッグシップモデル
ASUS 「ExpertBook B9」実機レビュー = 速くて軽くて頑丈で個人利用にも超おススメだ!
ASUSが発表したビジネス向けの新製品「Expertシリーズ」のノートPCは「ExpertBook」という名前で、シリーズとしては3機種で、ボディデザインでいうと5機種ある。
「ExpertBook B9」は14型のプレミアムノートで、13型モバイルの「B5」はクラムシェルとフリップの2スタイル、標準ノートの「B1」は14と15型の2デザインだ。ここでは注目のフラッグシップ・モバイルPCの「B9」を試用してみた。
高性能+超薄型の14型プレミアム・モバイルノート
狭額縁で底面積もスリム
B9は薄型軽量設計、急速充電、長時間稼働をめざした、持ち歩くためのモバイルPCである。狭額縁により、従来の13型ボディサイズに、14インチ液晶が搭載されている。
ボディは天板と底面がマグネシウム・リチウム合金で、キーボード面はマグネシウム・アルミニウム合金という贅沢さ。重量約1キロ、薄さ14.9ミリというスリム&軽量ボディを実現している。実際手にすると、サイズのわりに軽い印象ながら、剛性はきちんと保たれており、米国防総省MIL規格に沿った堅牢性、安全性を確保しているのが伝わってくる。
細かい型番でいうと、「B9400CEA」は2モデルで、CPUはi7-1165G7またはi5-1135G7で、メインメモリは16/8GB、SSDは1TB/512GBを内蔵する。ディスプレイは14インチのTFT液晶でフルHD解像度、ノンタッチのノングレア。価格は21万8900円と19万1400円で、9月下旬以降発売予定である。
ボディサイズは320×203×14.9ミリで、ちょうど14インチディスプレイに合わせてあり、上部・左右はもちろん、ディスプレー下部にも余白がなく、画面占有率94%という、美しいデザインとなっている。
画面上部のカメラは92万画素で、物理的なシャッター(プライバシーシールド)があり、ノッチを右にスライドすればカメラに蓋がされる安心設計である。
さらにIRカメラにより、Windows Helloによる顔認証が可能で、キーボード右手前の指紋認証とあわせて、ダブルで自動ログインができるので、外出先でマスクをつけているときは指紋で、自宅ではカメラで自動ログインといった使い分けができるのは便利だ。
さらに近接センサーも搭載していて、「MyASUS」ユーティリティーで設定すれば、離席時を感知して自動でログイン画面にしてくれる「ウォーク・アウェイ・ロック」、戻った時にコンピュータを起動してくれる「ウェイク・オン・リターン」などが指定できる。オフィスでも出先でも、もちろん家庭内でも安心だ。
フルサイズHDMIにType-AのUSB端子も搭載
超小型ACアダプターも付属なのがウレシイ
ボディの左右のインターフェイスは、Thunderbolt 4のType-C×2に、USB 3.2 Gen2のType-A、標準のHDMIとマイクロHDMI、コンボジャックを搭載している。Type-Cの一つは電源入力に使っても、これだけ揃っていれば不便はない。とくにType-Aが付いていると、USBメモリーを挿すにも、マウスを繋ぐにもストレスがない。
マイクロHDMI端子には、付属のアダプターを挿せば、有線LAN端子が生まれる仕組みで、10/100/1000BASEでの直結ができる。いまどき無線LANがあればと思うが、重要な会議や大量データの上げ下げには、すぐに有線が使えるというのは安心だし、USB端子を消費しないのもとてもいい工夫である。
キーボードは日本語配列の86キーで、バックライト内蔵だ。アルファベットが大きく印字されているので視認性もよく、キーストロークはスリムPCとしては深めで、なおかつ無音なので、会議中にゲーム、いやメモを取るのも気後れしない。
キーボード全体の横幅は27センチとちょっと狭いので、メインキーのキーピッチは18.8ミリ(実測)である。左右の余白いっぱいにしていただけると、日本語キー([、]、¥)が幅寄せされずに済むだろう。カーソルキーはきちんと凸型に配置されていて、とても使いやすい。
タッチパッドはおなじみテンキーにも変身するNumberPadを搭載している。サイズは縦が66ミリで横が130ミリと、横長で十分に広く、ポインティングはとてもラクだ。クリックは浅めで、素早い操作が可能である。右上のテンキーマークを1秒間押すと、NumberPadが起動して数字と演算記号が表示される。
左上のマークは押すとNumberPadの明るさが明暗2段階で変化するほか、スワイプすると、Windowsの標準電卓が起動して、すぐに計算ができるという仕組みだ。
B9はインテルのEVO認証を受けており、急速充電や高速起動が期待できる。カタログではバッテリーの充電時間は2.5時間で、駆動時間はJEITA2.0基準で16.7時間となっている。
うれしい付属品として、小型のACアダプターがある。「ASUS 65W USB Type-C ウルトラミニ・ユニバーサルアダプター」という名前で、65Wという標準ACアダプターと同じ出力ながら、サイズは30×30×60ミリで、重量は100グラム、Type-Cケーブル込みでも150グラムしかない。いまどき、GaN(窒化ガリウム)半導体により小型化したアダプターが販売されているが、最初から付属するのはとてもうれしいのだ。
標準サイズのACアダプターも付属するので、自宅ではそれを使って、外出するカバンには小型のほうを常時入れておく。もちろん、スマホやタブレットやデジカメの充電にも使えるからとてもも便利だ。
モバイルノートとして最高クラスの速度、SSDは1TBが速い
ベンチマークテストを実施してみた。CPUはi7-1165G7で、メインメモリは16GB、SSDは1TBの上位モデルである。
ちなみにMyASUSには、バッテリーのいたわり設定や、冷却ファンの動作設定もあり、テストはフル充電でファンは最速のパフォーマンスモード、バッテリーメーターの設定も「最も高いパフォーマンス」で実施している。
CPUの回り具合はCINEBENCHで、R15、20、23がそれぞれ899、2163、5622と高い値だった。同社のZenBook Duo 14では同じCPUで872、570、1463だったので、それを上回っている。
グラフィックスのほうは3DMARKで、TimeSpyが1854、FireStrikeが5236、WildLifeが13509、NightRaidが18008と、こちらもi7-1165G7搭載のモバイルノートとしては最高レベルの値である。ちなみにDuo 14では1839、5283、12295、17888だったので、よくこの薄型ボディで回しているなという速度だ。
SSDはPCIe 3.0 x 4が使われているが、ベンチマークではマルチシーケンシャルの読み込みが3563MB/s、書き込みが3021MB/sと、きちんとスピードが出ていた。512GBモデルはPCIe 3.0 x2なので、これよりも遅くなる可能性がある。
バッテリーベンチは、速度計測と同様の最高速設定で、ディスプレーも最高輝度でBBenchで計測したが、3時間43分動作した。これは同CPU搭載のモバイルノートでは最長の部類である。バッテリー容量が66Whと大容量なこともあるが、持ち歩き時もとても安心である。
充電時間は同条件でマシンを動作させながらで、容量50%までが45分、70%までが67分、90%までが102分と、標準的な値だったが、66Whの容量を考えると、高速充電といってもいい速度である。
ビジネスだけでなくパーソナルノートとしてもお買い得なマシン
MyASUSでは、AIノイズリダクションもマイクとスピーカー設定もでき、自宅やオフィス、カフェ、どこでもテレビ会議や通話を快適に行える。ディスプレーの彩度や色味、ブルーライト軽減の指定や、Wi-Fiのスマートコネクトなど、細かい設定ががすべてこのアプリでできるのはとても便利だ。
ExpertBook B9は、薄型・軽量に堅牢性も高く、キーボード、タッチパッドも工夫がこらされた、非常にクオリティーの高いモバイルノートである。ビジネス用として発売となるが、個人のモバイルノートとしてもおススメの逸品だ。