暗号資産XRPを“仲立ち役”とした高速&低コストな海外送金サービス
SBIレミット、XRP国際送金サービスをフィリピン向けに開始 RippleのODLを利用
2021年08月03日 08時00分更新
国際送金サービス事業を手がけるSBIレミットは7月28日、SBI VCトレード、Ripple Labs(以下、米リップル社)との提携を通じて、ODLを用いることにより日本で初めて暗号資産XRPを利用した国際送金サービスをフィリピン向けに開始した。
ODLとは「On Demand Liquidity」の略称で、暗号資産XRPを活用した国際送金サービスのこと。金融機関が顧客から送金を受け付ける前に、送金先の現地通貨の調達が不要になる。送金手数料を削減し、短時間での決済が可能となるサービスである。
ODLは、米Ripple社が手がける「RippleNet」という送金基盤上の機能でもある。このRippleNetが持つ、毎秒1500件の送金処理性能と、数秒で送金が完了するメリットが、国際送金サービスに役立っている。
送金の仕組みは以下のとおり。
・暗号資産XRPを使った送金基盤をSBI VCトレードが提供。
・送金サービスを手掛けるSBIレミット社がこの基盤を用いて、顧客の国際送金リクエストを送信する。
・暗号資産XRPが送金先であるフィリピンのパートナー企業Betur Inc.に送付され、現地でフィリピンペソに交換する。
・受取顧客はフィリピンペソを受け取れる。
・暗号資産XRPが送金の仲立ち役として機能している。このような通貨を「ブリッジ通貨」という。
暗号資産が送金インフラの高度デジタル化に貢献している
海外送金には1回当たり数千円程度のコストがかかるのが一般的です。「SWIFT」という国際送金インフラがあるものの、送金処理に時間がかかる課題があります。日本円などの法定通貨の代わりに、暗号資産を直接取引相手に送付すれば、取引時間やコストが節約できるのですが、暗号資産には各国の金融当局の規制が異なるなどの課題もあります。
そこで暗号資産の良いとこ取りをしたのが、米リップル社が手がけるRippleNetによる送金基盤です。暗号資産XRPを送金業者間のみに使うことで、2国間のそれぞれで暗号資産交換業者の仲介が必要になるとはいえ、規制の影響を抑えながら高速度・低コストな海外送金を実現しています。(ASCII FinTech記者 久我 吉史)