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サイコムが掲げる「クラフトマンシップ」に込められた想いとは?

BTO PCメーカーとしての新しい方向性! 今後の新モデル情報まで聞いてきた

2021年07月27日 12時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ASCII

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さらなる静音PCの登場も!? 今後の予定を聞いてみた

 現状でもこだわりの強いラインナップとなっているが、今後、更に新しいモデルを追加する予定がないのかと聞いたところ、検討中の段階ではあるものの、いくつか考えているとのことだった。

 最も実現が早そうなのが、G-Master Hydroの強化。

 G-Master Hydroで行っているビデオカードの水冷化は、基本的にGPUを水冷クーラーで冷却し、メモリーや電源は、元々カードに装着されていたクーラーで冷やすというもの。最大の熱源であるGPUを冷やさなくてよくなるためファンの回転数も低くなり、静音化が実現できてたわけだ。

 しかし、GeForce RTX 30シリーズの上位モデル、とくに3080以上に関してはメモリーの発熱を更に改善した方が、より良いパフォーマンスが望める可能性があるということが判明。現在の受注がGeForce RTX 3070までとなっているのは、この熱対策を行っているからに他ならない。

 世界中のメーカーからビデオカードを取り寄せたり、金属加工業者に協力をお願いしたりと、様々な手段で試行錯誤中とのことなので、熱対策が強化された新モデルを期待して待ちたいところだ。

 もうひとつ気になる情報は、ファンレスCPUクーラーを使ったモデルを検討していることだろう。静音はすでにSilent-Master NEOシリーズがあるが、これとは別に考えているとのこと。

 「先日発売された、NoctuaのNH-P1。ファンレスのバカでかいCPUクーラーなんですが、これを使って組みたいなと考えてます。当然電源もファンレスにします。ただ、ビデオカードはファンレスにしちゃうと性能が低くなるため、ここは普通のモデルにしますが……それでも、極力静かなモデルを厳選して搭載したいところです。CPUの冷却がエアフロー頼みとなりますから、ケースやケースファン、そして組み立てをどうするのかなど、試すことはいっぱいあります。実用というよりロマンに近いですね」(山田氏)

 もちろん、スペックや価格でPCを選ぶ人にとっては価値がわからないだろうし、製品化されても「誰が買うの?」と言われてしまうようなニッチな製品だとは思うが、PCに詳しい人ほどワクワクするのもまた事実。まさにサイコムらしさのある企画だ。

 ノートPCや小型PCの展開を聞いてみたところ、個性が出しにくいため、なかなか思うようにはできないとの回答だった。

 「ノートPCは昔からやりたいと思ってるのですが、どうせやるなら、尖った製品をやりたいわけです。例えばビルの10階から落としても壊れないノートPC、みたいな。ただ実際問題として、ある程度の数が見込めないと作れないため、ウチのような規模だと難しくなっちゃいますね。
 小型PCは個性を出しづらく、普通のPCになっています。他社さんと比べると高くなっていますし、正直、ウチから買う必要性がありません。それでも、サイコムのサポートや品質を信頼し、そこを重視してウチを選んでくれているお客様もいますから、そこは全力で期待に応えられるようにしていきたいと思います」(河野氏)

 インタビュー中に何度か出てきたキーワードが、「PCメーカーのパガーニを目指す」というもの。パガーニは年間生産台数が数十台というスーパーカーメーカー。億単位の超高級車を生産するメーカーだが、サイコムが何億円とか何千万円というPCを作りたい……という話ではない。

 一般ウケするPCに注力し、生産台数を増やして事業規模を拡大すれば、会社としては大きくなるだろうが、そのぶん個性は薄まってしまう。そうではなく、多様化するニーズに寄り添い、たとえニッチでも良いと思ったものは作る、ということを大事にしていきたいとのことだった。

 先にも少し触れたが、河野氏は「弊社は売り上げを追い求めません。販売台数の増加にも挑みません。また、事業規模の拡大も目指してはおりません」と掲載しているのを「ちょっとカッコつけてしまった」と笑っていたが、この話を聞き、この言葉に込められた気持ちが少し分かったような気持ちになった。

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