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業界人の《ことば》から 第441回

日本オラクルと三島市がスマートシティで協力

2021年07月12日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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2019年12月にスマート市役所宣言、デジタルファースト戦略を柱に

 静岡県の東部、富士山のふもとに位置する三島市は、富士、箱根、伊豆の玄関口の役割を果たすとともに、東京・品川まで新幹線で37 分と首都圏へのアクセスにも便利な場所だ。人口は約10 万9000人で、「元気・安心・希望あふれる三島」をスローガンに、まちづくりを進めている。

 また、三島市では、2019年12月にスマート市役所宣言を行い、市民サービス、行政運営、まちづくりの3つのデジタルファースト戦略を柱に、便利で質の高い市民サービスの提供、生産性の高い行政運営に挑戦しているところだ。

 一方、三島市スマートシティ推進協議会には、三島商工会議所や市内企業、観光関連団体、IT企業などが参加。産官学民が連携してデータ利活用によるスマートシティを推進。行政をはじめ各団体が保有するデータを共有、活用する情報プラットフォームの構築や、会員相互のデータ利活用、AIやIOTなどの先端技術の活用について調査研究を行うことになる。

 三島の伝統的なまち並みや、重要資源である富士山から届けられる湧水の恵み、自然、農産物など既存の良さを活かした「ブラウンフィールド」領域と、三島駅前の再開発のような新しいまちに合わせた「グリーンフィールド」領域を持つことを強みに、産官学民が協働。会員相互のネットワークづくりとともに、データの収集と分析によって、新たなサービス創出や産業の活性化などにつなげるとともに、地域の課題解決を検討し、都市OS基盤の構築に関わる実証実験なども行っていくという。現在、3つのワーキンググループがアイデアの掘り起こしをしており、今後、実証実験などに取り組むことになるという。

クラウドを使えば、スモールスタートで試行錯誤できる

 日本オラクルと三島市は、2020年末から、スマート市役所の実現や、スマートシティの推進に向けた話し合いを定期的に行っており、2021年4月~5月にかけては、ICTを利用した市民サービス向上や業務改善に対して強い意欲を持っている23人の市職員が参加したワークショップを開催。日本オラクルの社員がファシリテータとして参加したという。

 「テクノロジーを生かした三島市のまちづくりにおいて、取り組むべきテーマの洗い出しや、とりまとめてなどをしてもらった。日本オラクルとは、こうした活動を通じて、これまでに信頼関係を築いてきた経緯があり、この協定により、深い技術力を持つ日本オラクルとともに、まちづくりに取り組むことができる。官民でAI、IoTなどのデジタル技術やデータを活用し、社会全体の高度化、効率化を急速に進めていくことになる」(三島市の豊岡市長)

日本オラクルの三澤智光社長

 一方、日本オラクルの三澤智光社長は、「オラクルのミッションは、人々が新たな方法でデータを理解し、本質を見極め、無限の可能性を解き放てるように支援していくことである。そのために、トラステッドテクノロジーアドバイザーになることを目指している」と前置きし、「三島市のスマートシティの実現に向けて、データを活用した住民サービスを支援していく。強固な連携を通じて、データを利活用したDXを実現したいと考えている」とする。

 また、三澤社長は、「スマートシティが目指すところは、突き詰めると、データを活用して、住民のみなさんに安全、便利で豊かな生活を実現することである」とし、「データ活用の際には、データの使いやすさと、データを守ることを、高度な水準で両立する必要がある。ここにオラクルが創業以来磨き続けてきた技術を使うことができ、安心、安全なスマートシティの実現に貢献できる」とした。

 そして、「かつてはスマートシティのプロジェクトを実施するとなると、コスト、期間ともに壮大な規模が必要だったが、クラウド技術により、スモールスタートで試行錯誤ができ、クラウドは日本全国のどこでも利用できる。今後、スマートシティ推進の流れは、より加速するだろう。スマートシティの実現で、社会課題、地域課題の解決が期待され、三島市のスマートシティの取り組みが、住民の生活を豊かにし、まちを元気にするサービスになるように支援する。日本オラクルはそこにコミットしたい」と述べた。

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