サイズも音も規格外、クリアで爽快な鳴りっぷりに感激
ゼンハイザー初のスピーカーで360 Reality Audioにも対応した「AMBEO Soundbar」を聴く
2021年06月29日 15時30分更新
規格外という表現が思い浮かぶ外観と素晴らしいサウンド
外観もまた規格外だ。合計13基の自社開発ドライバーを250WのClass-Dアンプで駆動する本体は、77インチの有機ELテレビと比べても引けを取らない存在感。サイズは幅126.5×高さ13.5×奥行き17.1cmで、重量はなんと約18.5kgもある。自宅にあるポピュラーなサウンドバー(ソニーの「HT-X8500」)と比べてみると、大きさの違いが分かる。
特に重量は一人ではちょっと動かしたくないほどだが、内容を聞くとこのサイズであるのも納得だ。まず、フロント部に設けられた9基のドライバーはサウンドバーとしてはかなりの大口径。しかも一本バータイプの製品には珍しく30Hzまでの低域が再生できるという。これに加えサイドと斜め上に2基のツィーターと2基のトップファイヤリングユニットを備えている。
これらのユニットはビームフォーミング技術などを活用して駆動。信号処理を駆使して、広がりある音場と明確な定位が得られるようコントロールされる。部屋の形状や置き場所に合わせて適切な音にするための補正機能も装備。初回起動時に専用のマイクを接続して、計測と演算処理が実行される。ソファーの上などリスニング位置に専用マイクを置き、計測をスタートするとだいたい3分ほどで済む。フロント部の2.5mm端子はこのマイクを接続するためのものだ。
対応フォーマットも多彩で、一般的な5.1chサラウンドはもちろん、ドルビーアトモスやDTS:X、そしてMPEG-H(360 Reality Audio)など最新の3Dオーディオ再生が体験できる。UHD BDのロスレス/非圧縮系サラウンド信号にも対応。さらにネットワーク経由でDSD再生やハイレゾ再生もでき、高品位な音楽再生用スピーカーとしても利用できる。
入力端子も多くちょっとしたAVアンプに匹敵する機能を持つ製品とも言える。本体には3つのHDMI入力と、eARC対応のHDMI出力を装備。さらに光オーディオデジタル入力やアナログステレオ入力(RCA)、サブウーファー出力を装備。さらに有線/無線LAN接続が可能で、NASに保存したハイレゾ音源の再生やChromecastを利用したストリーミング再生、Bluetoothなど必要なものは全部詰め込んだといってもいい仕様になっている。
すでに市場にはドルビーアトモス対応をうたうサウンドバーが数多くあるが、そのどれとも違った個性を持つ。高価で巨大だが、爽快で没頭できる体験が得られる。
サウンドバーは映画を楽しむものと考えられがちだが、最初に述べたように音の良さはちょっとした単品コンポのシステムをしのぐものだ。AMBEO Soundbarはゼンハイザーが初めて手掛けたスピーカー製品だそうだが、そうは思えないほど完成度の高いサウンドだ。実際、同じ部屋に置いてある、ペア30万円台後半ぐらいのスピーカーと比べても遜色ないと思えたほどだ。