iOSやmacOSの進化が見えた! 「WWDC21」特集 第11回
空間オーディオでApple Musicの何が変わるのか〜All About Apple Music
アップルがハイレゾより空間オーディオを推す理由
2021年06月10日 12時00分更新
かつてのマルチチャンネルオーディオとの違い
立体音響技術を音楽コンテンツで活用する試みは、これまでも幾度となく行われてきた。古くはアナログレコードで4チャンネル再生を実現する技術が流行ったことがあり、またSACDやDVD-Audioには5.1チャンネルオーディオの規格があった。ブルーレイをオーディオ向けに応用する試みもあった。
しかし、どれも長続きしないか、あるいは小さな市場にとどまった。理由は製作コストなどの問題もあったが、聴ける環境が限られていることに加えて、肝心のアーティストや製作関係者の意欲を高めるほどの魅力がなかったというのが大きいだろう。
だが、今回はある程度、普及するのではないかと期待している。
空間オーディオと同様のアプローチをソニーが360 Reality Audioで数年にわたって培ってきた下地もあるのだろうが、サラウンドにミックスするというよりも、録音トラックやサウンドエフェクトを三次元空間に配置しながら、アーティスト自身が音場デザインを作品の一部としていく方向なのが新しい。
実際に配信されている楽曲も、ヘッドホンでの視聴を意識しているためだろう。無理に音場を広く聴かせるのではなく、自分自身が演奏チームの中に入り込んで体感するようなアレンジや、さまざまな音が自分を取り囲み、左右の広がりだけではなく、音源への距離や上下の角度を工夫しながらデザインされている楽曲が多かった。
またクラシック音源では、オーケストラの指揮者の位置に立っているように感じさせるものもある。スピーカーでの視聴だけでなく、ヘッドホンでの視聴が増えている昨今のトレンドを考えれば、新しい表現方法としてどこまでアーティストが関心を持つのか。しばらく様子を見ながら楽しんでいきたい。 なにしろ追加料金は無料なのだから。
この連載の記事
-
第22回
Apple
仕事&エンタメに無双の活躍!macOS Montereyパブリックベータを試す -
第21回
Apple
iPadとMacの境界がさらに曖昧になる「iPadOS 15」パブリックベータの注目点 -
第20回
Apple
アップル次期macOS「Monterey」成熟が楽しみなパブリックベータ注目ポイント -
第19回
Apple
アップル「iPadOS 15」は日本語の手書き文字認識に対応で、仕事にも勉強にも便利 -
第18回
Apple
iPhone「iOS 15」パブリックベータを体験! 即戦力になる機能はこれだ -
第17回
Apple
Apple Watch「新watchOS 8」パブリックベータ、集中モードやマインドフルネス試した -
第16回
iPhone
iOS 15のパブリックベータが広くインストール可に 新機能「集中モード」に注目 -
第15回
iPhone
iOS 15/iPadOS 15のパブリックベータが登場 -
第14回
Apple
アップル担当者に聞くwatchOS 8に初搭載「マインドフルネス」アプリの効果 -
第13回
Apple
WWDC2021 トピックの時間配分から浮かび上がるアップルのプライオリティ -
第12回
Apple
Apple Musicに「空間オーディオ」登場! 楽しむ方法を徹底解説 - この連載の一覧へ