中小で注目度の高い「テレワーク環境整備」「セキュリティ対策」「事業継続/災害対策」がテーマ
デル、中小企業が「今すぐ始められる」ITソリューション6つを発表
2021年06月07日 07時00分更新
デル・テクノロジーズは2021年6月4日、中小企業向けに6つのソリューションパッケージを発表した。「テレワーク環境整備」「セキュリティ対策」「事業継続性(BCP)/災害対策(DR)」をテーマにしており、同社では「今すぐ始められる中小企業向け6つのITソリューション」と位置づけている。
わかりやすく、利用しやすいようソリューションをパッケージ化
記者発表会に出席したデル・テクノロジーズ ビジネス営業統括本部 営業部長の井上孝宏氏は、中小企業経営者やIT担当者の関心が「セキュリティ」「事業継続性」「テレワーク」の3点に集中しており、それぞれ2つずつのユースケースを想定して6つのソリューションパッケージを提供することにしたと説明した。
「これまでにもテレワーク、セキュリティ、ITインフラに関する個別ソリューションを提供してきたが、今回は顧客が抱える具体的な課題を切り口としてパッケージ化した。顧客にとってわかりやすく、利用しやすくなり、さらに中小企業が本業のビジネスに注力できることをサポートする」(井上氏)
テレワーク環境整備においては、テレワークを導入したいというニーズに対応する「テレワークすぐ始められるソリューション」を用意。ノートパソコンやマウス、ヘッドセット、「Microsoft Office」をセットにした「テレワーク応援モデル」や、「Microsoft Teams」「One Drive」をセットにした「リモートワークスターターパッケージ」で構成している。
テレワークに関してもうひとつ、兼任情シス担当者の負担を減らす目的で「テレワーク保守・運用お手伝いソリューション」もラインアップしている。このソリューションでは、リモートから複数のサーバーを一元管理できる同社の「Open Manage Enterprise」および「Open Manage Mobile」を含む「サーバーテレワークソリューション」、ワンストップ保守体制を提供する「デルサポートアシスト」を提供する。
2つめのセキュリティ対策においては、セキュリティに強いPCを探している企業向けに「法人専用設計の堅牢性の高いPCシリーズ」を提供する。具体的には、セキュリティ機能に強みがある「Latitude」シリーズのノートPC、「Vostro 3000」シリーズのデスクトップパソコンをラインアップする。また、ネットワークセキュリティへの不安を抱える企業向けには「ネットワークセキュリティ見直し支援ソリューション」を用意した。これは、多層防御を行う次世代ファイアウォールや、スマホおよびタブレットといったデバイスからも社内のIT環境に安全にアクセスできるセキュアモバイルアクセス環境を提供する。
3つめのBCP対策/災害対策では、データバックアップを手軽に行いたい場合の「緊急に備えるバックアップ基礎ソリューション」を提供する。フリーランスやSOHOから中規模企業までの幅広い事業規模に対応するサーバーソリューションを用意した「攻めのデジタル化キャンペーン」と「バックアップソフトウェア」が含まれる。さらに、ITインフラ管理の効率性や簡易な拡張性を実現したいというニーズに対応する「オンプレ・クラウドいいとこどりソリューション」もラインアップし、限られた予算内でもクラウドサービスを無理なく組み込むことができる「ちょい足しクラウド」や、仮想化インフラの導入やリプレース、仮想化統合などを実現する「Dell EMC Integrated System for Microsoft Azure Stack HCI」も提案する。
ギークプラス「価格、提案力、レスポンスのすべてにおいて満足した」
発表会には、ロジスティクスソリューションを開発/提供するギークプラス 代表取締役社長の佐藤智裕氏がゲスト出席し、デル・テクノロジーズのITソリューション導入事例を紹介した。
ギークプラスは、物流倉庫向けの商品搬送ロボットなど、ITやロボティクスを活用したロジスティクスソリューションを提供する企業だ。中国・北京に本社があり、2017年設立の日本法人は東京に本社を、千葉県印西市に24時間サポートを行うテクニカルセンターを持つ。日本法人の従業員はおよそ50名。
ギークプラスが提供するAI物流ロボット(自律型協働ロボット)は、世界約200社で1万5000台以上が導入されている。国内ではアスクルが約2500平米の倉庫で約100台を、またナイキ(NIKE)が約1万平米の倉庫で約200台を、それぞれ導入しているという。
ギークプラス佐藤氏は、日本法人の事業がスタートした際、社内ITインフラの整備に関してデルテクノロジーズアドバイザーに相談したところ、スペックや価格などの要望を反映した提案がその日のうちに出てきたと語る。「価格、提案力、レスポンスのすべてにおいて満足した。そこでデルとお付き合いしようと決めた」(佐藤氏)。PCやモニター、サーバー、ネットワーク機器まで、保守窓口まで含めて一本化できるため、運用も効率化されたという。
「いまは、デルのノートパソコン、タッチパネル対応モニター、サーバーを標準機として採用している。倉庫は24時間365日稼働しており、サーバーの信頼性は譲れない部分であった。複数のサーバーを検証した結果、信頼性、可用性の高さからデルに決定した。それ以来、顧客に対する処理の遅延が発生したことは一度もない。プロサポートを契約しているが、それを利用したことがないほどだ。それがわれわれのサービスの価値の向上、顧客の安心感にもつながっている」(佐藤氏)
国内スモールビジネス市場でPC、x86サーバーともNo.1シェアを獲得
発表会では、デル・テクノロジーズ 常務執行役員 コンシューマー&ビジネス事業統括本部長の渡邊義成氏が、中小企業向けのビジネスと取り組みについて説明した。
IDCによる最新四半期(2021Q1)調査では、国内スモールビジネス市場(従業員99名以下)において、デル・テクノロジーズはPC、x86サーバーともナンバーワンシェアを獲得している。渡邊氏は、コロナ禍によって在宅勤務が増加し、ノートPCや外付けモニター、ヘッドセットといった製品への需要が高いこと、今年に入ってからは大型投資を控えてきた企業がサーバーなどのIT投資を再開していることなどを挙げた。
「デルでは2009年からテレワークを導入しており、全社員の90%が在宅勤務を行える環境を実現している。生産性を維持しながらテレワークを実施しており、こうしたノウハウも共有できる。デバイスの評価も含めて、デルが中小企業の成長に貢献できる」(渡邊氏)
さらに渡邊氏は、グローバルスケールでの製品供給体制、中小企業向け製品であるVostroのラインアップ拡充、安心できる国内サポート体制、中小企業向け専任アドバイザーの育成、顧客との関わり方を重視した営業組織体制への変更、日本を優先投資国と位置づけた人員/マーケティング予算の強化、デルテクノロジーズアドバイザーの認知/理解促進といった取り組みを進めていることを紹介した。
「中小企業のビジネス成長を支援するために、顧客の声を聞き、ニーズを満たす製品、サービス、ソリューションを提供しており、それがデルの好調ぶりにつながっている。今回の新たなソリューションパッケージは、課題をピンポイントでサポートし、顧客が求めることを実現する実効性のあるソリューションになる」(渡邊氏)
テレビCMの影響もあり、デルテクノロジーズアドバイザーの認知率は全国で50%以上に達しているという。顧客ごとの専任担当者が1対1でサポートすること、PCからサーバー、ストレージ、ネットワークをワンストップで提案すること、また国内中小企業市場における30年以上の成功実績に基づく信頼できるアドバイスを行うことが、顧客から高く評価されているとした。
一方で渡邊氏は、世界的な部品不足や材料コスト高騰の影響についても触れた。部品供給の遅れによって一部モデルで納期遅延が発生しているという。 「部品の供給状況も引き続き、制約を受ける可能性があるが、デルか持つグローバルサプライチェーンの強みを生かした調達力によって、お客様のニーズにしっかりと応えていきたい。できる限り迷惑をかけないように、状況変化を捉えながら、情報を共有し、納期スケジュールなどを含めて対応したい」(渡邊氏)