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オヤジホビー-ワタシが好きな物はみんなも好き、かもしれない- 第280回

中古のモトコンポにレギュレーターを取り付けるケーブルを改造

2021年05月23日 17時00分更新

文● むきみ(@TK6506) 編集● ASCII

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過充電に弱いシールドバッテリー

 数ヵ月前に購入したホンダの原付バイク「モトコンポ」。もう40年も前の製品で、そのころの原付は6Vのバッテリーが使われていることが多く、モトコンポのバッテリーも6Vです。

 モトコンポの純正バッテリーはバッテリー液を入れたり水の補充をしたりする開放型と呼ばれるタイプですが、入手したモトコンポには社外品のシールドバッテリーが付いていました。密閉型とも呼ばれるもので、バッテリー液や水を入れる必要がないメンテナンスフリーなのが利点です。

 その反面、開放型に比べると過充電で発生する水素ガスを逃すのが苦手。ある程度は内部で吸収できるようになっているし、ガス抜きの安全弁は付いているものの、過充電が続くと破裂する可能性もあります。

レギュレートレクチファイヤーを購入しました

 バッテリーの過充電を防ぐため、今どきのバイクにはレギュレーターという電圧制御回路が付けられています。しかしモトコンポにはありません。発電機(オルタネーター)から出てきた交流電流を直流に変換しているだけで、電圧は出力そのまま。エンジンの回転が上がれば上がるほど発電電圧も上がってしまいます。

 でもそれではスピードを出すと灯火類の電球が高電圧で切れてしまいますよね。そうならないのはなぜかというと、バッテリーがレギュレーターの代わりをしてくれているためです。

 「それならレギュレーターなんていらないじゃん」と思ってしまいますが、そんなことはありません。

 充電の適正電圧を超えた分の電力は、バッテリー液(希硫酸)に含まれる水の電気分解に使われます。そのためバッテリーを通したあとの電圧は出力電圧である6Vに抑えられますが、これはまさに過充電状態そのもの。バッテリーを過充電状態にすることでなんとかしのいでいるというだけなんです。

 本来のバッテリーの使用方法ではなくバッテリーにめちゃくちゃ負担がかかっているし、電気分解で水素ガスが発生します。また、バッテリーがダメになると6Vを超える電気がそのまま電装系に流れてしまうため、電球が全滅してしまいます。

レクチファイヤーをレギュレートレクチファイヤーに交換するキットを購入しました。本来はモンキー用です

 そんなわけで適正な充電電圧を維持するため、真っ先に6V車用のレギュレートレクチファイヤーを購入しました。電圧制御のレギュレーターと交流を直流に変換するレクチファイヤーが一体になった製品で、既存のレギュレートレクチファイヤーと置き換えて使用します。

分岐ケーブルを作ります

 本体のみとハーネス付きのモデルがあったので、めんどくさがり屋のワタシは迷わずハーネス付きにしました。6Vモンキー用ですがモトコンポに取り付けた例を見たことがあり、ハーネスもそのまま流用できるようです。

レギュレートレクチファイヤー本体とハーネスのほか、エレクトロタップ(分岐させるためのコネクター)、ハーネスを固定するタイラップまで入っている至れり尽くせりっぷり。導電グリスは使っていません

 さっそく取り付けたいところですが、その前にオルタネーターからの出力を分岐させるケーブルを自作します。なんで? ハーネス付きなんじゃないの? って思いますよね。

 そう、自作は必須ではありません。付属のハーネスとオルタネーターから出ているコードを、付属のエレクトロタップでパチンと挟み込んでつなげばそれでオーケーです。

 ただ、エレクトロタップは簡単に取り付けられる反面、接触不良や断線が発生することがあり、あまり好きじゃないんですよね。それでハーネスとオルタネーターのコードをつなぐ部分のケーブルを自作しようと思ったのです。

コードにギボシ端子を取り付けます

 幸い、オルタネーターから出ているコードはメインハーネスに直結されているのではなく、ギボシ端子でつながっていました。つまりギボシ端子の付いた分岐ケーブルがあればその部分に割り込ませることが可能というわけです。

太さ0.75mm2のコードと電工ペンチを用意。ダブルタイプのギボシ端子セットを新たに購入しました

 コードはたまたま家にあった太さが0.75mm2のもの。ちょうどいいサイズです。分岐させるには差し込み口が2つあるダブルタイプのギボシ端子を使います。片側をオス、片側をダブルのメスにしてあげれば分岐させられます。ダブルのギボシ端子は持っていなかったので新たに買いました。

まずコードの片側に圧着ペンチでオスのギボシ端子を圧着。圧着するのは苦手なんですが、ゆっくりやったら、わりと綺麗にできました

 ギボシ端子は電工ペンチというツールで取り付けます。コードの先端の被覆を剥いて端子のツメ部分に差し込み、電工ペンチの1.25と書かれた広い部分でツメを軽く潰します。次にINSという狭い部分でググッと潰すとツメが丸まってコードに食い込みます。

 この作業が昔から苦手で、ツメが斜めに潰れてしまったり、付いたと思ったのにコードを引っ張ると抜けてしまったりと、散々だったんですよね。でもそれは、作業を一度で済ませようとしていたせいのようです。広い部分と狭い部分の二段階でやるようにしたらきれいにできました。やっぱり手抜きはだめですね。

分岐ケーブルの完成です

 コードの反対側にダブルのメス端子を取り付けます。

スリーブというカバーを忘れずに通したあと、メス側の端子を圧着します

 端子にはスリーブという透明なカバーを付けるんですが、後からでは入れられないのでメス端子を付ける前に通しておきます。

割り込み用の分岐ケーブルができました

 これで分岐ケーブルの完成です。オルタネーターからの出力を2つに分けて、片方は元どおり車体のハーネスにつなぎ、もう片方はレギュレートレクチファイヤーのハーネスにつなぎます。

付属のハーネスにもギボシ端子を取り付けます

 分岐させるケーブルができたら次は付属ハーネスの改造です。

ハーネスの黄色いコードの先端にもオスのギボシ端子を取り付けます

 エレクトロタップでつなぐはずだった黄色いコードの先端にオスのギボシ端子を取り付け、分岐ケーブルに差し込めるようにします。ここもスリーブを忘れずに先に通しておきます。

オルタネーターの出力のコードの途中に分岐ケーブルを挟み、そこからレギュレートレクチファイヤーのハーネスに分岐させます

 ハーネスと分岐ケーブルをつないでみました。分岐ケーブルはオルタネーターから出ている黄色いコードに割り込ませます。ハーネスの上の黒い部分はレギュレートレクチファイヤーを取り付けるコネクター、左下の白いコネクターは元々レクチファイヤーが付いていたコネクターに差し込みます。黒い細い線はアース。車体の金属部分に取り付けます。

バッテリーのマイナス端子を外して作業開始

 取り付け作業に入ります。

 電装系をいじる時は、必ずバッテリーのマイナス端子を外します。作業中にうっかりショートさせてしまうとバチッと火花が飛んだりして危ないし、ヒューズが切れたり何かが壊れたりしかねないですからね。

 クルマやバイクは車体の金属部分をマイナスの電線代わりにしているため、車体全体がマイナス端子みたいなもの。なので、バッテリーが繋がったままだとプラスのコードが車体に触れた時にショートしてしまいます。

ボディーの横に付いている黒いプロテクターを外し、カウルも外します

 バッテリーは左側にあるので、左のサイドプロテクターとカウルを外します。サイドプロテクターは上下のツメがはまっているだけですが、カウルはボルトで固定さているのでソケットレンチを使います。

作業を始める前にバッテリーのマイナス端子からコネクターを外します

 バッテリー部分のハーネスはバッテリー端子に差し込まれているだけなので引き抜けば外せます。この時、外すのはマイナス端子。バッテリーを交換する時も必ずマイナス側を先に外します。

 なぜマイナス側を外すのかというと、プラス側を外した場合、万が一金属製工具などがバッテリーのプラス端子と車体の金属部分に触れたりしたら、バッテリーのプラス端子→工具→車体→バッテリーのマイナス端子と電気が流れてショートしてしまうためです。

 マイナス側であれば、バッテリーのマイナス端子と車体の金属部分がつながってしまったとしても、通常の状態になるだけで何の影響もありません。

 また、バッテリーとの接続部分にはカバー付いているので、プラス側は外さない方がいいです。せっかくカバーがあるのに、外すと両端子がむき出しになってしまい、それもまたショートの原因になりかねません。

レクチファイヤーを外します

 作業の準備ができたら、車体からレクチファイヤーを取り外します

白いコネクターの先端にはめ込まれているのがレクチファイヤー。バッテリーの横に固定されています

 レクチファイヤーは奥に見えている枠にはめ込まれています。うちのはバッテリーの横にあるスペースに垂れ下がっていましたが(笑)。

取り外したレクチファイヤー。一応保存しておきます

 レクチファイヤーはコネクターに差し込まれているので、引き抜きます。外したレクチファイヤーはもう不要ですが念のため保存。空いたコネクターにハーネスの白いコネクターを接続します。次回はその取り付け作業です。

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