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Apple M1搭載で大幅性能アップの「iPad Pro」&カラフル7色「iMac」特集 第27回

【レビュー】M1搭載iMacは異次元のデスクトップコンピューターだ!

2021年05月18日 22時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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Ethernetポートを電源に内蔵した究極のレスケーブル設計

 新しいiMacのデザインがシンプルさを極めていると感じられるのは、上で述べたような各部分の単純な形状からだけではない。そこには、「接続」というものを見直して、ケーブルをできるだけ排除し、少なくともユーザーから遠ざけようという意図が見える。もちろん、それはアップル製品には以前から見られる特徴だが、今回のiMacで、これまでよりもさらに一歩前身したものとなった。

 それが如実に表れているのが、ギガビットEthernet(有線LAN)ポートを本体ではなく、電源アダプターに設けていること。iMacをWi-Fiでネットワークに接続する場合には不要だし、新しい24インチiMacがEthernetポートを省いてたとしても、それほど不自由は感じないというユーザーも多いだろう。しかし、アップルとしては、デスクトップコンピューターにはEthernetポートは不可欠なものと、今でも考えているのだろう。それでも、そこに接続するLANケーブルは、デスクの上を這い回せるには太く、じゃまものに感じられる。せっかくのレスケーブル設計が台無しになってしまう。

 そこで、電源ケーブルがLANケーブルも兼ねるようにするために必要な信号を通し、そのためだけに特殊なコネクターを開発するという英断を下してまで、Ethernetポートを電源アダプターに移動させた。いろいろな意味でそのコストを想像すると、そこまでするか、というのが正直な感想だ。しかし、その効果は絶大で有線LAN接続でも、ユーザーはケーブルを目にすることなく使用できるようになった。

 言うまでもなく付属のキーボードとマウスは、Bluetoothによる無線接続で、充電時以外はケーブルとは無縁のものだ。新しいiMacのキーボードには、指紋認識によるTouchID機能まで搭載されているが、それも含めて完全な無線で機能する。

 なお、一般的なWindows PCでは、デスクトップモデルの場合には、ほぼ例外なくテンキー付きのキーボードが付属しているだろう。確かに、数字を入力する機会の多い人には、iMacの標準キーボードのようにテンキーがないのは不便に感じられる。実はApple Storeで購入する場合には、わずか+3000円でテンキー付きのTouch ID搭載Magic Keyboardに変更できる。テンキーがないと不安だという人は選択すべきオプションだろう。もちろん、標準キーボードと同様、本体と同色のカラーリングが施されたキーボードとなる。

 タイトルの「異次元のデスクトップコンピューター」という表現は、少し大げさなものに感じられるかもしれない。しかし、これまでに体験したことのないような内蔵スピーカーの音質、ほとんど2次元の平板を組み合わせたようなシンプルなデザイン、それでいて微妙にトーンを変化させた表情の豊かなカラーリング、レスケーブル化のさらなる追求など、「異次元」を感じさせる部分は多い。

 今回は、あくまでもファーストインプレッションということで、本当に強い印象を受けた部分にだけ、泣く泣く話を絞った。まだ言い足りないことは山ほど残っている。すでに、基本的なベンチマークテストなども実施しているが、概してこれまでのM1チップ搭載のMacと、ほとんど同じ性能レンジに入る結果を示している。そのあたりも含めて、詳しいことは改めてレビュー記事としてお届けする予定だ。

 

筆者紹介――柴田文彦
 自称エンジニアリングライター。大学時代にApple IIに感化され、パソコンに目覚める。在学中から月刊ASCII誌などに自作プログラムの解説記事を書き始める。就職後は、カラーレーザープリンターなどの研究、技術開発に従事。退社後は、Macを中心としたパソコンの技術解説記事や書籍を執筆するライターとして活動。近著に『6502とApple II システムROMの秘密』(ラトルズ)などがある。時折、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として、コンピューターや電子機器関連品の鑑定、解説を担当している。

 

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