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アップルイベント「春の祭典」有識者はこう見た 第6回

2021年春のアップルイベントを観て膨らむ妄想【柴田文彦】

2021年04月23日 09時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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iPad Proにスタンドが付いたようなiMac

 今回の発表で新しいiMacが出るというのは、少なくとも筆者にとっては意外だった。しかも、思いもよらなかった7色のボディカラーをまとっての登場だ。もともとパソコンのボティカラーに多色展開を導入したという点でも、まだブラウン管時代だが、iMacがパイオニア的な存在だった。そう考えると、今回の7色展開は、ある意味原点回帰なのかもしれない。あるいは、色の数はともかく、一種のレインボーカラーであることから、アップルとしてLGBTをサポートする姿勢を色に込めたのではないかという気もしてくる。

 今回のiMacが大きく変わったのは、もちろん色だけではない。本体の形状も、液晶モデルがバックパネルにアルミニウムを採用して以降、もっとも大きく変わったと言える。どこでも厚さが変わらない薄い板状のボディは、あたかも大盤のiPad Proにスタンドを取り付けたような印象だ。iPad Proの中身がMacに近付けば、iMacの外観はiPad Proに近付くという不思議な展開だ。

 ディスプレー部分のベゼルの幅の狭さも、iPad Proを彷彿とさせる。ただし、それも左右と上の3辺に限ってのことだ。下辺については、本来のベゼルの下に従来と同様、かなり幅広の本体フレームが出っ張っている。この部分は、iMacのデザインの1つのアイデンティティでもあり、今回もそれを維持したと見ることもできる。実際にその内側には、M1チップを搭載したロジックボードと、その冷却機構、さらにはスピーカーシステムなどが収まっているようだ。M1チップの発熱を考えると、このアルミフレームの出っ張りはやむを得ないのかもしれない。

 しかし、そんな寛容な考えもM1チップを搭載した上で、従来同様の薄さと4辺とも幅の狭いベゼルを実現したiPad Proを見せられてしまえば、吹き飛ばざるを得ない。ユーザーとしては、旧来のiMacのデザインの継承などにはこだわらず、実質的に狭いベゼルを実現して欲しかったところだ。ついでに言えば、本体とカラーコーディネートされたスタンドも、そろそろ高さ調整を可能にしてくれても良かったのではないかと思う。

 高さ調整に関しては、今回もスタンドの代わりにVESAマウントアダプタを搭載したモデルも用意されている。そちらを選択することで、高さ調整の問題はある程度解決する。今回から、標準スタンドモデルとVESAマウントモデルの価格が同じになったのもうれしい変更だ。ただし、ディスプレー下部の本体フレームの出っ張りはそのままなので、VESAモデルでも卓上ギリギリにディスプレーを配置することができないのが残念な点だ。

 今回の24インチというのは、もちろん、これまでにないサイズだ。アップルストアのラインアップを見ても、従来の21.5インチモデルを置き換えるものだろう。現状では、21.5インチも低価格モデルが1つだけ残っているが、やがて完全に置き換えられる運命だと考えられる。確かに、これまでのiMacは、21.5インチではちょっと小さいが、27インチでは大きすぎる、と感じていた人が多かったのではないだろうか。24インチというのは、少なくともそうした人にとってちょうどいいサイズと考えられる。

 となると気になるのが、現行の27インチモデルがどうなるかだ。筆者の勝手な予想では、これは16インチのMacBook Proと同じような扱いになるのではないかと考えている。つまり、ディスプレーが小さい方のモデル、MacBook Proで言えば13インチモデルが先にApple Silicon化され、大画面のモデルは次にApple Silicon化されるタイミングを待っているという状況だ。

 iMacもMacBook Proも、どちらかと言うと画面の小さい方はエントリーモデルで、画面の大きい方がよりハイエンドのユーザー向けという位置付けとなっている。それを考えると、まだ画面サイズがどうなるかわからないものの、iMacの27インチやMacBook Proの16インチモデルは、M1よりも高性能のApple Siliconチップを搭載して登場する可能性が高い。それがM2と呼ばれるのか、何と呼ばれるのかはわからないが、おそらく遅くとも今年中には何らかの動きがあるはずだと期待は高まる。

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