あっさりした醤油と塩の奥深さ、“お手頃価格”にもこだわる注目店 麺笑 巧真(東京・八王子)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第52回
2021年04月12日 12時00分更新
今回のオスス麺は、京王八王子駅から徒歩2分ほどの甲州街道沿いにある「麺笑 巧真」。昨年オープンしたばかりの新店ながらも、既に確立された人気店となっています。
ご主人は、数ある「八王子ラーメン」の中でもトップクラスの人気を誇る西八王子の行列店「中華そば 吾衛門」店主のご子息で、更に東京都内にある某有名店で修業された「サラブレッド」とも言えるような方で、オープン当初から話題となっていました。
ただ、そういう経緯を知っていると、どうしても先入観によって「美味しい」と思い込んでしまったり、話題先行で実が無い事になってしまうことも少なくありません。しかしそれも杞憂に過ぎず、足を運べばこのお店の素晴らしさをすぐに実感する事が出来ます。
お客さんを気持ち良く迎え入れたいという思いが伝わってくる明るい笑顔の接客と、清潔感のある店内やご主人のラーメンを作る姿勢を目の当たりにすると、外野が「サラブレッド」と囃し立てているだけで、ご主人自身にそんな傲りは一切無く、「お客さんに美味しく食べてもらいたい」という気持ちがオーラとなって出ているような気がします。
ちょっと誇張した表現のような気もしますが、おそらく食べに行った事がある方なら間違いなく頷いて貰えると思います!
先述の通り、ご主人のお父様は名店「吾衛門」を営んでいて、ご主人にとって「ラーメン店」というものは常に近い存在にありました。
ご主人は高校卒業後、調理師学校に行き「幅広い年齢層の人が気軽に食べに行ける飲食店はなんだろう」と考えた時にラーメン店が一番に浮かび、お父様の姿を常に傍で見ていた影響もあって「沢山の人を幸せにできるラーメン店を作りたい」と思い立ち、更には「父を超えられるような息子になりたい」との思いから、2017年に東京都内の某有名店にて修業を開始し、翌年には新店の店長を任せられるなどの経験を積まれました。
2019年にその某有名店を退職し、ご実家である「吾衛門」にて第二の修業を開始。表舞台には立たず、仕込みなどの裏方で修業を積んだとの事。
某有名店を退職後、そのまま「吾衛門」を継ごうか独立して自身でお店をやろうか迷っていた最中、お父様から「絶対に自分でやってみた方がいいよ!」と背中を押されて独立を決意し、2020年5月7日「麺笑 巧真」を八王子にオープンさせました。
屋号の「麺笑」は、ご主人自身も笑うことが一番好きで、お店に来てくれたお客さんはもちろん、少しでも多くの人を笑顔にしたいと思って名付けたとの事。
「沢山の人を幸せにできるお店を作りたい」との思いは、お店の確固たるコンセプトとなっていて、幅広い年齢層の方が食べられるあっさりした醤油味と塩味を作り、価格設定も抑えて「650円というお手頃価格で食べられる『うまいラーメン』」がウリとの事。
個人的に高いラーメンが悪いとは思いませんし、1000円を超える高価格帯のラーメンも全く否定しないどころか賛成派ですが、「巧真」のご主人のように何故このお手頃価格で提供するのかという意思がハッキリしていて、その価格設定の中で思いがしっかり伝わり美味しいラーメンを作り上げているのには感嘆致します。
まず目を引くのがこのビジュアル!
綺麗に折りたたまれた麺やシンプルながら均整の取れた盛り付けで、美味しそうなオーラが感じられます。しかも麺が縦に並べられているので、箸をすっと入れて食べられるという、食べ手が食べやすいように計算されたような盛り付けなのが素晴らしい。
熱々のスープは、鶏ガラ・豚ガラ・宗太鰹節・ウルメ節・昆布などを使用したというもので、節系が優しくふんわりと香る旨味たっぷりの出汁に、厚みのある醤油ダレがバランス良く合わさった雑味の無い味わい。
合わせる麺は、「吾衛門」でもお馴染みである相模原「赤池製麺」の中細ストレートを使用。
硬めな茹で加減で、パツンとしたハリと少しムッチリした食感で細麺ながらも存在感があり、スープをしっかりと持ち上げてくれます。
トッピングのチャーシューは、低温調理されたもの。
最近は低温調理が流行っていて似たような淡泊な味わいのものも少なくないですが、ここのチャーシューは風味が凄く良く、肉の旨味もしっかりしていて、しっかりと「美味しく」仕上がっています!
ワンタンは大粒なもので、餃子にも通ずるような下味のしっかりしたもので、食べ応えのある味わい。
ハマる人はハマる味なので、「特製醤油らーめん」で少し試して、ハマった人にはたっぷり食べられる「ワンタン醤油らーめん」もオススメ!
割ると黄身がトロっと流れ出るような半熟を楽しめる味玉も、間違いない味わいの鉄板トッピング!
基本的な出汁は変わらないようですが、表情が全く変わるのが「塩」の凄いところ!
より出汁の旨味や風味を顕著に感じる事が出来ながらも、そのバランスの取れた味わいは出汁云々関係なしに「美味しいスープ」と一言で伝えられるような完成形となり、ハラリとかけられた山椒がアクセントとなっています。
新店とは思えないほどの完成度で、味覚(味わい)・嗅覚(香り)・視覚(ビジュアル)・聴覚(接客)・触覚(食感)という五感の全てで心地良さを感じられ、「このお店に行って良かった」「このラーメンを食べて良かった」と老若男女問わず幸せな気持ちにさせてくれるオススメのお店です!
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/Menshow_Takuma)をご確認ください
ZATSU
2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。
本人ブログ(https://zatsu-ke.blog.jp/)
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