『リネージュ2M』が最大4K高解像度で楽しめる「PURPLE」の動作をゲーミングスマホやRyzen搭載PCで検証!

2021年04月14日 11時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII
提供: NCSOFT

スマホの性能によって快適度は変わるが
ゲーム側で上手くバランスを取っている

 さて、そんな『リネージュ2M』だが、実際にどれぐらいの性能のスマホで快適にプレイできるのだろうか。最近では、ゲームはスマホで初めてプレイするという人も増えてきているが、日本では最初にゲームを遊んだのはコンシューマーゲーム機という人が圧倒的に多いだろう。

 そのため、あまり意識する人は少ないが、スマホやPCといった年々性能が向上する端末で遊ぶゲームは、その配信時期に即した性能のスマホやPC性能を活かし、より美麗な描画で描かれ、ド派手な演出で表現される。そのため、前述でも少し触れたが、どれぐらいのスマホやPCで快適に動作するかの指標となる推奨環境が設けられている。モバイル版『リネージュ2M』の推奨環境と端末例は以下の通りとなっている。

区分 必要環境 推奨端末例
iOS iOS:12.0以上
iPhone 8 Plus以降の端末
iPhone 11 Pro Max、iPhone 11
Android Android:7.0以上
メモリー(RAM)3GB以上
Galaxy Note 10、Galaxy S10

 必要環境は、動作する最低限保証するもので、ゲームによって基準の差異はあるが、快適にプレイできる水準と考えてはいけない。推奨端末を見てみると、iPhoneもAndroidスマホも2年前に発売されたスマホ以降が望ましいとしている。そのため、『リネージュ2M』を快適にその美麗映像を存分に楽しむには、最低2年前に発売されたスマホが必要という訳だ。

 こうした情報は、ゲームのインストールページのゲーム概要欄に記載されているが、ゲーム内容の詳細を開かないと見られないため、気づいていない、あまり意識していない人が多い。

 では実際のところ本当にこの必要環境、推奨環境の性能のスマホで、どこまで快適にプレイできるのかは、気になるところ。そこで、スマホをいくつか用意してゲームプレイ時のフレームレートを計測してみたい。

 用意したスマホは、筆者の私物である昨年9月に発売されたゲーミングスマホのASUS「ROG Phone 3」(ZS661KS-BK512R16)、3年前に発売された初代「ROG Phone」(ZS600KL-BK512S8/A)、4年前に発売された「ZenFone AR」(ZS571KL-BK128S8)のストレージが128GBのモデル。

 すべて同じメーカーで揃えてみたが、編集部に保管されていた5年前に発売されたASUS「ZenFone Zoom」は、OS対応バージョンがAndroid 6.0までだったので除外した。メーカーや端末にもよるが4年前くらいに発売されたスマホが動作対象となるようだ。

比較的新しいゲーミングスマホのASUS「ROG Phone 3」は、CPUに「Qualcomm Snapdragon 865」を備える。今年3月にSnapdragon 888を搭載する最新の「ROG Phone 5」が発表されたが、国内での発売はまだ未定なため、現在入手できるの中では最高クラスの性能を誇る。その他、同じASUSの端末を2機種用意した

 検証機器のベンチマーク計測に関係するような主なスペックは以下の通り。

検証端末の主なスペック
機種名 ROG Phone 3 ROG Phone ZenFone AR
ディスプレー 6.59型(2340×1080ドット、144Hz) 6型(2160×1080ドット、90Hz) 5.7型(2560×1440ドット)
CPU Qualcomm「Snapdragon 865 Plus」(3.1GHz、オクタコア) Qualcomm「Snapdragon 845カスタムバージョン」(2.96GHz、クアッドコア) Qualcomm「Snapdragon 821」(2.35GHz、クアッドコア)
グラフィックス Adreno 650 Adreno 630 Adreno 530
RAM 16GB 8GB 8GB
ROM 512GB(UFS 3.1) 512GB(UFS 2.1) 128GB(UFS 2.0)
通信機能 5G LTE、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 4G LTE、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0 4G LTE、Wi-Fi 5、Bluetooth 4.2
検証時OSバージョン Android 10 Android 9.0 Android 7.0

 「ROG Phone 3」は推奨環境以上で、「ROG Phone」は推奨端末であるSamsung「Galaxy S10」(Snapdragon 855)よりも1世代前のCPUを搭載しているが、CPUがカスタムされているうえ、CPUのクロックを上げたり、メモリーを解放し、ゲームのパフォーマンスを向上させる「Xモード」を備える。そして、「ZenFone AR」は必要環境ギリギリの端末ということになる。

 ただし、いずれの端末も筆者が長年普段使いをしていたため、新品よりは性能が落ちている可能性が高いので、参考までに定番のグラフィックス性能を計測するベンチマークソフト「3DMark」の「Sling Shot Unlimited」のスコアーも示しておく。

 ROG Phone 3とROG Phoneは、「Xモード」を有効にしている。また、付属の外付けクーラーは使用していない。

 ROG Phone 3のスコアーは、ROG Phoneの倍、ZenFone ARに至っては3倍の差が付いている。Graphics test 1のフレームレートは、ROG Phone 3が80fpsを超えるところ、ROG Phoneだと約50fps、ZenFone ARが約30fpsになっていた。このスコアーがゲームプレイ時のフレームレートにおいて、どれぐらいの差となって現れるかが注目すべきポイントになる。

 では『リネージュ2M』のフレームレートを計測していきたい。ゲーム内環境設定には、端末の性能からグラフィックを最適化する機能をいくつか備えているが、その機能のオン/オフで大きくフレームレートに影響は出なかった(長時間プレイした場合は変わるかもしれないが)ので、プレイヤーの普段の環境に合わせるため、すべてオンにしてみた。

 次世代APIで、GPUを効率化して負荷を軽減する「Vulkan」はデフォルトだとオフだったが、今回最も性能の低い「ZenFone AR」において、オンにすることで描画の表示が安定化し、フレームレートの安定性もやや向上したように感じたので、これもオンにしている。また、グラフィック品質は、いずれも「上」に設定した。

グラフィックの環境設定。発熱減少をオフにすると画面解像度など、さらに細かく調整できるが、グラフィック品質と連動するため、これはデフォルトのオンのままにしている

 計測方法は、パソコンとスマホをUSBケーブルで接続してscrcpyというアプリを使用して、パソコンにスマホの画面を表示。その状態で『リネージュ2M』をプレイ。「グルーディオ城の村」の広場から始め、「絶望の廃墟」にいる敵を1体倒すまでを1ローテとして、CapFrameXで1分間フレームレートを計測した。この検証でも「3DMark」の時と同様に「Xモード」は有効にしている。

scrcpyの表示をCapFrameXで計測したフレームレート(左上のFPS)が、多少はラグがあり、やや遅れて反映されたりするものの、中央上部に示したROG Phoneに備わっているリアルタイム情報の示すフレームレートとおおよそ同じ値を示していることを確認している

 スマホの画面を無線LAN経由でパソコンに表示させるサービスやアプリよりは、scrcpyの方が有線で接続している分、安定して実際のフレームレートを測定できると思われるが、多少はラグがあるはずなので、あくまで参考値として欲しい。また、最小フレームレートは通信ラグにより瞬間的に大幅に落ちている数値を拾っているようなので、平均フレームレートのみを採用している。

 Android版の『リネージュ2M』のフレームレートの上限は30fpsのようなので、ROG Phone 3はほぼその30fps(小数点は誤差)に張り付いている。ROG PhoneとZenFone ARの差は、1~2fpsとほぼ差がないように思えるが、アプリ側で補正をかけているのか、ZenFone ARの方は3Dモデリングが崩れるようなことが頻繁に起こっていたので、実際の快適度はROG Phoneの方が上だ。

 では、グラフィック性能の自動管理機能をすべてオフにして比較すれば、フレームレートの差は広がるのかと言えば、目に見えて数値が変わることはなかった。もちろん、数時間、それ以上と長くゲームをプレイし続けた場合の体感は、変わるのかもしれない。

 しかし、グラフィック品質設定を「上」から「下」にしたとしても、ユーザーが不快に思わないレベルでやや画質が落ち、少しだけ高いフレームレートを維持するような動きも見せたが、逆に落ちることもあった。もしかしたら、フレームレートと描画のバランスを取っているのかもしれない。

グラフィック「上」(左)に比べ、「下」(右)は、髪の影や鎧の模様の精細さが欠け、全体的にややボンヤリとした画像になる。性能が低いスマホでもゲームはプレイできるが、やはりできるだけ性能の高いスマホで、高品質な映像で楽しみたいところだ

 ともすれば、性能が低いスマホでもゲームができるだけ快適に遊べるバランスを、ユーザーにあまり意識させずに上手く取っているとも言える。

 今回は性能比較の条件を揃えるため、手動で設定を揃えているが、普通に『リネージュ2M』をインストールしてプレイすると、そのスマホの性能に合わせてデフォルトの設定は自動で低く設定される。そうした場合は、性能の低いスマホでプレイしていると、上の画像のように知らず知らずのうちに低いグラフィック設定で遊んでいる可能性がある。

 さらに、その低い設定でも追いついていない場合は、動作が重くなり、描画が崩れて、せっかくの美麗な映像が楽しめていないこともある。スマホはしばらく買い換える予定がないが、ビデオカードを搭載したPCは持っているという人には、ぜひPURPLEを使ってPCでプレイすることをオススメしたい。

 MMORPGの場合、情報量も多いので、ディスプレーサイズが大きいほど、解像度が高いほど、高精細で美しい映像でゲームが楽しめる。文字も大きく見やすくなり、フレンドとのコミュニケーションもはかどることだろう。そのうえ、スマホでは30fpsだったフレームレートも、60fpsとより滑らかな表示になるため、最新ゲームにふさわしい映像美と動作で快適に『リネージュ2M』が楽しめるはずだ。

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