独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第21回
【M1搭載Mac miniレビュー】小型デスクトップの新パフォーマンススタンダード
2021年03月22日 12時00分更新
I/O性能は発展途上?
上で述べたように、CPU/GPUを除けば、インテルMac miniとM1搭載Mac miniの最大の違いはThunderboltポートの数と仕様にある。まず数については、リアパネルを見れば明らかなように、M1搭載Mac miniには2つしかない。片やインテルMac miniには4つある。これらのThunderboltポートには仕様の違いもあるが、間違いなく数は半分になっている。同時に発売されたMacBook AirやMacBook Proを見ても分かる通り、Thunderboltポートが2つというのは、今のところM1チップの限界と考えていいだろう。
M1搭載Mac miniの場合には、ほかのM1搭載搭載機にはないUSB-Aポートが2つ付いている。その点で、拡張性が少しだけ高いようにも見えるが、当然ながらMac miniには外部のキーボードとマウス、トラックパッドなどのポインティングデバイスを接続する必要があることを思い出すべきだ。MacBookのキーボードとトラックパッドに内部でUSB接続されていた分が不要なので、それをUSB-Aポートとしてリアパネルに配置したものと考えればいいだろう。
ここで、参考までに歴代のMac miniのリアパネルに配置されたポート類の変遷を、年代順に整理しておこう。Thunderboltポートは、ビデオ出力ポートとして利用する場合もあるので、過去のマシンも含めてビデオ専用出力ポートもカウントしている。
●Mac mini拡張ポートの変遷
発売年 | 世代 | ポート |
---|---|---|
2005年 | 1 | USB 2.0 × 2 FireWire 400 × 1 DVI-I |
2006〜2008年 | 2 | USB 2.0 × 4 FireWire 400 × 1 DVI-I |
2009年 | 2 | USB 2.0 × 5 FireWire 800 × 1 Mini DVI Mini Displayport |
2010〜2014年 | 3 | USB 2.0 × 4 FireWire 800 × 1 HDMI Mini Displayport |
2018年 | 4 | USB 3.0 × 2 Thunderbolt 3(USB-C 3.1 Gen 2) × 4 HDMI 2.0 |
2020年 | 5 | USB 3.0 × 2 Thunderbolt 3(USB-C 4) × 2 HDMI 2.0 |
なお、世代の数え方には異論もあるかもしれないが、ここではボディ形状や内蔵光学式ドライブの有無によって分ける一般的なものに倣っている。ざっと見渡してみると、Mac miniは、第2世代の2009年モデル以降は、複数ディスプレイの接続に対応していることが分かる。当初は、Mini DVIとMini Displayport、あるいはHDMIとMini Displayportのように、2つのビデオ出力専用ポートを装備することでデュアルディスプレイに対応していた。それが第4世代以降は、標準のHDMI 2.0ポートに加えて、Thunderbolt経由のビデオ出力をサポートすることで、複数ディスプレイの接続に対応している。
ここで最初に示したスペック表に戻って比較すると、2018年発売の第4世代モデル(インテル)の場合、HDMIで1台、Thunderbolt経由で2台、合計3台のディスプレイを接続できる。ただし、その場合の解像度は4Kが最大となる。Thunderbolt経由では5K出力も可能だが、その場合はThunderbolt経由では1台となり、HDMIと合わせて合計2台の出力が可能だ。
それに対して、今回のM1搭載モデルではThunderboltポートは2つあっても、ビデオ出力は、そのうちの1方のみで可能で、HDMIと合わせて合計2台となっている。ただしThunderbolt経由の場合の最大解像度は6Kとなっているので、数は減っても解像度は高くなっている。というわけでM1搭載モデルは、ビデオ出力を含めた拡張性が、必ずしも2018年のインテルモデルに劣っているとは言い切れない。とは言え、現状ではMac miniというマシンの性格を考えると、一般的な用途で5K以上のモニターを接続して使う機会はそれほど多くないと考えられるので、解像度が上がったメリットよりも、数が減ったほうのデメリットのほうが大きく感じてしまうという人も多いだろう。
なお、2018年のインテルモデルの公式スペックには、Thunderbolt経由でeGPUが利用できるとは記載されていないが、利用可能なアクセサリーとして「Blackmagic eGPU」と「同Pro」が挙げられていることから、eGPUの利用も可能だと判断できる。それに対してM1搭載モデルではeGPUに関する記載はいっさいなく、少なくとも今のところは利用できないと判断できる。これは、2020年のインテル版MacBook Airと、M1搭載MacBook Airの関係と同じだろう。CPU内蔵のGPUは、インテルモデルよりもM1搭載モデルの方が優れているが、その気になればeGPUを利用することで形勢を逆転できる可能性があるというわけだ。
もちろん、Thunderboltポートの数が減れば、それだけ外部機器接続のやり繰りに苦労する機会が増えることになる。今のところ、M1搭載Mac miniがインテルMac miniの下位クラスに位置づけられると考える理由のもっとも大きなものは、ここにある。
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