東映アニメーションは3月12日、Preferred Networks(プリファード ネットワークス:PFN)と共同でAI技術を活用してアニメ制作を効率化する実験的な取り組みを発表した。
東映アニメでは創立以来60年以上にわたって日本のアニメーションを作り続けている一方、最新のデジタル技術も積極的に取り組んでいる。PFNは機械学習・深層学習などの最先端技術の実用化を目指しており、イラストやアニメ、ゲームといった分野にもキャラクター生成や自動着色、高精度3Dスキャンといった技術開発を行なっている。
今回、深層学習による画像変換技術やセグメンテーション技術など、映像制作に活用する実験的な取り組みを行ない、東映アニメの新規IP研究開発チーム「PEROs」が2月に公開した佐世保市を舞台にした実験映像「URVAN」(ウルヴァン)の背景美術制作として、PFN開発の背景美術制作支援ツール「Scenify」(シーニファイ)を活用したという。
実在する佐世保の風景を撮影された写真からアニメ調・サイバーパンク調の2つの画風で表現してアニメ背景素材に自動変換。美術クリエイターが画像の前処理工程に要する時間を従来のおよそ1/6に大幅短縮。同作品で制作した背景美術のおよそ2/3に使用されているという。
また、Scenifyの開発においては、背景美術の制作に必須となる背景画像からキャラクターに接する部分・手前にくる部分を自動的に切り出す「BOOK分け」機能、画像の一部を除去した後の空白を自然に塗りつぶす「スマート塗りつぶし」機能、さらに、Scenify をクリエイターの制作ワークフローに組み込みやすくするためのプロトタイプUIの開発も行なったという。
今後、TVアニメーションやアニメ映画制作にScenifyを適用することを目指して、さらに機能開発を進めてるとしている。