パソコンとは異なる3つの違いとは?
富岳のCPUユニットには、パソコンの基板と比べて、3つの違いがあるという。
第1に水冷であること。松岡センター長は、富岳のような大型マシンで密度が高い場合には水冷が適していると説明。「一般的なデータセンターのコンピュータでは空冷が使われているが、富岳は一般的なコンピュータの5倍の密度があり、空気では冷やせず、冷やしたとしても効率が悪い。高密度のコンピュータを動かすために水冷を採用した」と述べた。
富岳の消費電力は、通常でも20MW、最大では30MWに達するが、それを20度弱の水温の水で、15万8976ノードのすべてのコンピュータを冷やしており、そのための冷却設備を備えているという。
第2にCPUメモリユニットの前面に光モジュールのコネクターを搭載している点だ。
松岡センター長は、「富岳はひとつひとつのノードも高速だが、ノードの間も高速ネットワークでつながっている。基板に直接、搭載された光モジュールコネクタを通じて、光ネットワークに接続。400Gbpsの速度が実現でき、一般的な家庭で利用されている光ネットワークに比べて、約400倍の速度を発揮する」と説明した。
第3に基板上にメモリーを搭載していないことだ。メモリーは、CPUパッケージに搭載されており、中央にLSIを配置し、その周辺に最先端積層メモリのHBM2を実装。シリコンインターポーザーにより、高速に接合されており、パソコンの10~20倍の性能を実現しているという。
「富岳は、最先端のITの産物であり、最先端のアプリケーションを活用することができる。今後は、様々な課題を解決するSociety 5.0を実現するためのツールとして、実用性を高めていくことになる」と述べた。