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八楽が翻訳マーケットプレイスを開設 AIとプロの力で翻訳ニーズに応える

2021年03月10日 11時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年3月10日、オンライン翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」を提供する八楽は、大手翻訳会社の「ポストエディット」サービスをワンストップで利用できる「翻訳マーケットプレイス」を開始した。発表会では、翻訳コストの大幅な削減を実現するマーケットプレイスの概要や翻訳業界の最新動向について八楽の坂西優代表が説明した。

八楽 坂西優代表

AI翻訳の不備をプロが補なうポストエディットで品質を確保

 2015年にローンチしたヤラクゼンはAI翻訳を活用した法人向けの翻訳プラットフォーム。シンプルなインターフェイス、使えば使う機械学習によって賢くなるデータベース、大手企業のチェックを通過した高いセキュリティなどを持っており、メーカーやECサイト、インバウンド関連企業など、のべ1000社以上の企業に導入されている。

 今回提供されるポストエディットとは、AI翻訳による出力結果をプロの翻訳者が修正・編集する作業にあたる。マーケットプレイスでは、ヤラクゼン上でAI翻訳した結果のポストエディットの見積もり・発注を、川村インターナショナル、翻訳センター、ヒューマンサイエンス、SCREENクリエイティブコミュニケーションズ、トヨタテクニカルディベロップメントの5社の提携企業に依頼できる。これにより、原文をイチから翻訳会社に依頼するケースに比べ、コストを最大90%削減、スピードを最大70%アップすることができるという。

最大で90%のコスト削減を謳う翻訳マーケットプレイス

 ヤラクゼンがポストエディットサービスをワンストップで管理するため、ユーザーは翻訳会社との間で個別に見積もりや発注のやりとりをしなくて済み、作業中の翻訳データも、ヤラクゼン上で一括管理できる。また、翻訳の用途や形式に応じて、それぞれ得意分野を持つ翻訳会社を選ぶことも可能になる。なお利用に際しては、別途ヤラクゼンのカンパニーアカウントが必要になる。

多種多様な翻訳ニーズにワンストップで応える

 八楽の坂西氏によると、世界の翻訳市場は約5兆円で、このうち日本市場は3000億円程度。コロナ禍においても5~10%の成長市場だが、翻訳会社は平均5人/1億円以下の中小企業がほとんどで、典型的な労働集約型の産業。昨今は新型コロナウイルスの影響で企業の予算がカットされ、大企業を中心にコスト削減のニーズが高まっているという。

 こうした中、安価で高速なAI翻訳に注目が集まっているが、商業レベルで利用するまでの品質はまだまだ担保できていないというのが課題。1日あたり翻訳されている1400億の単語のうち、人が確認している割合はわずか0.28%の4億程度だという。「多くのユーザーは翻訳をあきらめるか、誤訳の可能性を我慢して、利用している」と坂西氏は指摘する。AI翻訳以外の選択肢としては、バイリンガル人材が空き時間で翻訳を行なうクラウド翻訳もあるが、品質面でのばらつきに課題があり、グローバルでは下火だという。

単語数で見た需要満足度は全体の0.28%

 これに対して、ヤラクゼンとしては以前からAI翻訳にポストエディットを組み合わせたサービスを展開してきたが、今回の翻訳マーケットプレイスによってコスト削減や品質管理、スピードアップを実現するという。坂西氏は、「多種多様な翻訳のニーズに対して、人と機械が協調することで、ワンストップで応えられる」とアピール。マーケットプレイスに参加する翻訳会社は今後とも順次拡大する予定となっている。

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