「お粗末」という烙印がついてしまった厚労省による新型コロナウイルス接触確認アプリの「COCOA」。一方で、他国では感染者の増加を多少抑えることができているという調査結果も出ている。
接触確認アプリを入れておけば良かったのだが……
すでに多くの読者がご存じだろうが、COCOAは厚生労働省によって提供されているスマートフォン用の接触確認(追跡)アプリだ。このアプリを端末に入れておくことで、1メートル以内、15分以上など特定条件の下で自分の周囲にいた人が後に陽性と分かった場合に、接触していたことを通知してくれるものだ。
このCOCOAに不具合があり、Android版では昨年9月から濃厚接触者に通知がされない状態が続いていたことがわかった(iOS版ではiOS 13.5搭載端末で不具合)。
私事だが、1月に家族の1人が新型コロナ陽性となった。陽性になった家族はCOCOAを入れておらず、発熱して2日してからPCR検査を受けた。もしCOCOAを入れていればと思ったものだ。感染の経路が辿れて早くPCR検査が受けられただけでなく、知らず知らずに接触していた人に自動で通知が行くからだ。
結局、保健所から電話がかかってきて、感染者が発症から2日前までに15分以上一緒にいた人を聞き取り、濃厚接触と思われる人に電話をするということが手作業でなされていた。情報に漏れがあるとその都度に電話が入るので、効率がいいとは言えない。これではパンク状態になるはずだ。
しかし、その後明らかになった「COCOA」の不具合を考えると、Androidユーザー全体でダウンロードは3割程度とはいえ、あるべき形で機能していたとは言えなかったようだ。
効果があるという推定が出ている英国の接触確認アプリ
このCOCOAが登場するにあたっては、アップルとグーグルが手を組みAPIを開発した。それから10ヵ月近くが経過する。この仕組みを利用して、日本のCOCOAだけでなく、各国の保健当局などが接触確認アプリを作成し、国民にダウンロードを促している。
日本のCOCOAについては残念と言わざるをえない状況だが、他国ではどうか? 英国ではアプリにより、数十万人が陽性になるのを阻止できたという推定が出ている。
英国(イングランドおよびウェールズ)では、政府が運営するNHS(National Health Service)が、「NHS COVID-19」としてアプリを公開している。仕組みは基本的には同じようだが、陽性判定を入力すると最短15分でアラートがいく点を強調している。
このアプリの効果について、オックスフォード大学とアラン・チューリング研究所が、2020年10~12月の3ヵ月のデータを調べた結果を公表している(https://www.ox.ac.uk/news/2021-02-09-nhs-covid-19-contact-tracing-app-averted-between-200000-and-900000-infections)。それによると、対象エリア内の3370万人のスマートフォンユーザーのうち、2100万台以上でダウンロード。陽性と判定を受けた人が出したアラートは平均で4.4件。この期間に英国では200万人が新たに感染したそうだが、もしアプリがなければ感染者は20~90万人多かったと予想している。また、アプリを使うユーザーが1%増えるごとに、0.8~2.3%の感染件数を減らすことができるとも導き出している。
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