ファーウェイ幹部は1月にAndroidとは違うと主張
ArsTechnicaの記事のタイトルは「成功するまで、成功しているふりをせよ」(Fake it till you make it)というもので、このフレーズは通常は実現までのモチベーションを高めるのに用いられるが、「OS開発でこの考えを応用した例を知らない」とAmadeo氏は皮肉っている。
ここで付け加えるなら、Androidのフォークであること自体が問題というわけではない。記事でも触れているように、Androidのフォークは可能だし、たとえばAmazonもAndroidのフォークである「Fire OS」を自社のタブレット製品に用いている。
しかし、AmazonはFire OSがフォークであることを明示しているのに対し、ファーウェイはそうではない(ドキュメントで「Android」を検索したところ、FireOSでは67件ヒットしたのに対し、HarmonyOSは0件だったそうだ)。ただ、ファーウェイのコンシューマーソフトウェア事業プレジデントのWang Chenglu氏は1月に、ファーウェイは「2016年5月からOSの開発を進めている」「IoT時代に幅広い機会をもたらす(点が異なる)」などと語っているという。
GizChinaが、ファーウェイが示したという3つのOSの違いを中国語で説明したチャートを掲載しているが、ハードウェアプラットフォーム、成長分野、長所、短所、アプリ開発の5つで位置付けを比較しているに過ぎない(https://www.gizchina.com/2021/01/13/huawei-here-are-the-main-differences-between-harmonyos-ios-and-android/)。
なお、HarmonyOSの公式サイト(英語版)では、「HarmonyOS 2.0(ベータ)は新しく、分散型OSの改善バージョン」と銘打ち、すべてが繋がった世界で”スーパーデバイス”体験をもたらすとしている(https://www.harmonyos.com/en/version-harmonyos2/)。
Wang氏は、HarmonyOSを2021年中に2億台以上のファーウェイデバイスに実装することを目指していると語っている。また、サードパーティーデバイスでも、1億台以上の実装を目指すそうだ。中国外でのデバイスのシェアが落ちる中、ArsTechnicaの記事によりHarmony OSは出鼻をくじかれた格好だ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ