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第一弾はLINEとインフォマートと提携でConcur Invoiveの入力部分を強化 

請求書処理のための出社をなくすコンカーの「デジタルインボイス構想」

2021年02月10日 16時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年2月10日、コンカーは請求書のデジタル化を通じて業務改善を実現する「デジタルインボイス構想」を発表した。アナログな請求書処理のプロセスをConcur Invoiceとパートナー製品の組み合わせでデジタル化し、コロナ禍で課題となった経理部門のリモートワークを実現するという。

コンカー代表取締役社長 三村真宗氏

入力部分をパートナーが強化し、請求書処理のプロセスを自動化

 「デジタルインボイス構想」はコンカーとパートナー企業が連携することで、請求書のデジタル化、経理部門のリモートワークの実現、そして高度な請求書管理やガバナンス強化などを実現するもの。第一弾のパートナーとして、「BtoBプラットフォーム請求書」を手がけるインフォマートとAI OCRサービス「CLOVA OCR」を提供するLINEとの提携が発表された。

 インフォマートの「BtoBプラットフォーム請求書」は企業間の請求書の発行・受け取りをクラウド上で行なるサービスで利用者数は国内で53万社を数える。今回コンカーの請求書サービスである「Concur Invoice」と連携することで、データ入力作業やチェック作業の効率化を実現する。

 また、LINEの「CLOVA OCR」は紙や手書きの文書からテキストを抽出するAI OCRサービス。今回は請求書に特化したバージョンによって、高度な請求書の読み取りを実現し、Concur Invoiceと連携する。事前のAIの学習や請求書フォーマットの設定は不要で、手入力や項目分類などの業務を大幅に削減する。

旧来の請求書処理とデジタルインボイス

 「BtoBプラットフォーム請求書」と「CLOVA OCR」がおもに請求書の入力の部分を担い、Concur Invoiceでは紙の請求書の回覧や押印に当たるワークフローや既定・予算のチェック、電子帳簿保存法に基づいたデータ保存、データ分析による不正やコスト削減の検出などを担当する。アナログ処理だった請求書処理プロセス全体のデジタル化が推進されるという。

「請求書業務のために出社」というコロナ渦ならではの課題が顕在化

 デジタルインボイス構想発表の背景には、紙の請求書がボトルネックとなり、経理部門のリモートワークが妨げられているという課題がある。

 同社が日本の財務幹部を中心に行なった「リモート経理に向けた請求書の電子化に関する実態調査」(2020年12月22日~1月18日)では、まず87%が請求書業務に負担を感じていると答えている。こうした請求書業務が効率されていない理由として、「紙業務の多さ」「システム化されていない」「チェック業務」「入力業務」などが挙がったという。

 そして今回のコロナ禍においては、「請求書業務のための出社」という新しい課題も浮き上がってきた。リモートワークが推奨される中、請求書業務のために出社したことがあると応えた人数は「多く」「しばしば」あわせて75%に及んでいる。また、請求書のデジタル化が10%未満と答えた割合は半分に達しており、デジタル化の比率と在宅勤務の割合は強い相関関係が見られるという。企業での請求書電子化のニーズ自体も高く、調査では92%が3年以内にペーパーレスを実現したいと考えている。

請求書のための出社は75%におよぶ

 2010年の設立以来、コンカーは経費精算・経費管理の「Concur Expense」や出張管理「Concur Travel」、請求書管理のConcur Invoiceなどのクラウドサービスを手がけてきた。ただ、従来は現場部門における経費や出張の要望に応えることが多く、経理部門が対象となる請求書業務に関してはあまりフォーカスが当ってこなかった。しかし、コンカーのWebサイトを調べたところ、コロナ禍を通じて「請求書」の需要が初めて「経費精算」の需要を上回ったという。

 今回、デジタルインボイス構想で請求書のデジタル化に積極的に踏み込んだ背景は、請求書業務をリモートワーク化したいという意識の高まりに加え、パートナーとの提携によってソリューションとしての完成度上がったことがあるとのこと。AI-OCRや電子請求書と連携した第一弾以降、入力の代行のBPOサービスのほか、リモート監査やVAT還付、ECサイトとのパートナー連携も進め、Concur Invoiceを成長に柱にしていくという。

デジタルインボイス構想

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