今回も最上位の「Ultra」は
その名に恥じないテクノロジーの塊
最上位モデルのGalaxy S21 Ultraはよりパワフルな性能を搭載している。しかし発表会ではその性能の前に、特徴的であるカラー「Phantom Black」が紹介された。さまざまな素材や仕上げを試したのちに完成したPhantom Blackカラーは真の黒さを実現。そして指紋の付かない仕上げとしており、重厚感かつ高級なイメージが「Ultra」という名のモデルの魅力を引き上げているようだ。
Galaxy S21 Ultraは6.8型ディスプレーを搭載。解像度は3200×1440ドットで、Galaxy S21/Galaxy S21+の2400×1080ドットより性能を高めている。ディスプレーのリフレッシュレートは10Hzから120Hzまでの可変。Galaxy S21/Galaxy S21+の48Hzから120Hz可変より広い範囲で自動変更が可能だ。そしてカメラは1億800万画素の広角に1200万画素の超広角、1000万画素の光学10倍(ペリスコープ式)、1000万画素の光学3倍を搭載する。過去の「Ultra」モデル、Galaxy S20 UltraとGalaxy Note20 Ultraは中倍率の望遠部分が弱かったが、Galaxy S21 Ultraでは3倍望遠の搭載で弱点をカバーしている。
ペリスコープカメラはデジタルで100倍にも対応するが、手振れしてしまうため実際の使い勝手はいいものではなかった。Galaxy S21 Ultraは100倍撮影時にAIが20枚の写真を撮影しそれを合成することで、ブレの少ない仕上げの超高倍率ズーム写真を生成してくれる。スマートフォンのカメラが苦手とする高倍率域撮影も、AIの力により徐々にいい仕上げの写真が得られるようになったわけだ。
一方、近距離撮影もカメラが自動的に切り替わる。超広角カメラで近寄り被写体が40cm以内の距離に近づくと、自動的にマクロモードに切り替わり5cmまで近寄って撮影することができる。Galaxy S21 Ultraにはオートフォーカスのためのレーザーセンサーが搭載されており、食事の撮影時などピンボケのない写真を撮ることができるわけだ。マクロから100倍ズームまでどの領域でも確実に写真を撮ることができるGalaxy S21 Ultraのカメラは、これからのスマートフォンのカメラに必須の性能と言えるだろう。
このようにカメラ機能に優れたGalaxy S21 Ultraには、Galaxy S21 / Galaxy S21+だけではなく過去のGalaxy Sシリーズが搭載していなかった新しい機能が採用された。Galaxy Noteシリーズでおなじみのスタイラスペン、Sペンへの対応だ。Sペンは手書きするのであれば充電不要なスタイラスペンで、最近のGalaxy Note向けのSペンはBluetoothを内蔵しておりカメラのシャッターリモコンなどに利用できる(Bluetooth内蔵タイプは本体に刺すと常に充電される)。
Galax S21 Ultraは本体にはSペンを挿入する穴は開いていないため、Sペンは単独で持ち運ぶ、あるいは別途販売されるSペン収納可能なケースに入れることができる。また本体に収納する必要が無いことからか、Galaxy Noteシリーズ用の細いタイプではなく、より太く実際のペンの大きさに近い「SペンPro」も販売される予定だ。これらのペンはGalaxy Noteシリーズでも使えるだろう。サムスンはペン対応モデルを増やすことで、スマートフォンのクリエイティブツールとしての使い道をより強くアピールしていくのだろう。
なおサードパーティーによるSペンの展開も発表された。三菱の鉛筆ブランド「Uni」や製図用品でおなじみのステッドラー、高級ボールペンのLAMYにワコムとSペンの種類も増える。アップルがApple Pencilの対応をiPadだけにとどめている間に、サムスンとしてはスマートフォンのペン利用を促して製品拡販につなげたいところだろう。
Galaxy S21シリーズのスペック表や製品案内を見ると、ほかにも進化した機能は多数ある。しかしサムスンがこの春モデルで最もアピールしたいのは、冒頭でRoh社長が述べたように「高付加価値と最高のユーザー体験」の提供だ。被写体にカメラを向ければどんな環境でも美しい写真が撮影でき、またエレガントな本体は手に持っているだけで高い満足感を得られるだろう。「新しい時代のスマートフォン」。Galaxy S21シリーズはそう感じさせる製品なのだ。
