仕事に差がつく!阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第14回
議事録作成にぴったり! 音声ファイルから文字を起こすWord Onlineのトランスクリプト
2021年01月12日 09時00分更新
本連載は、マイクロソフトのソリューション「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Office 365」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。
Office 365を使いこなして仕事を早く終わらせたい皆様にお届けする本連載。今回はWord Onlineのトランスクリプト機能に注目する。
もう1つの音声テキスト化機能「トランスクリプト」とは
以前の記事でもご紹介したように、デスクトップ版Wordは音声から文字を書き起こす「ディクテーション」機能を備えているが、他方でWebブラウザーから使用するWord Onlineはディクテーションとは別に「トランスクリプト」機能を用意している。
ディクテーションは音声コマンド(本稿執筆時点では日本語未対応)や音声による文字入力を目的としているが、トランスクリプトは文章を原物どおりに写し取る“複写”が目的だ。本機能の[サポートページ]は「レコーディングの議事録を作成する」というタイトルで機能を紹介し、Microsoftの[公式ブログ]でも「インタビューから完璧な引用を引き出したい」といった場面でディクテーションを使うことを薦めている。
読者諸氏の関心は「トランスクリプトは使えるか」という点だろう。そこで実際に試してみることにした。ちょうど本稿を執筆している前日に日本マイクロソフトのオンライン発表会が開催されたため、そちらの音声ファイルを冒頭10分に短縮。ノーマライズをかけてからMP3形式で出力した。ビットレートは90kbpsである。
アップロードから解析完了までに要した時間は2~3分程度。広報担当者を「話者2」、登壇者を「話者1」として認識して、ウィンドウ内にタイムスタンプと発言内容が並ぶ。当然ながら解析結果を、Wordファイルに取り込むことも可能だ。
結果はご覧のとおり。最初の文章である「時間になりましたので、開始させていただきます。絵本実は日本マイクロソフト記者が説明」は、「~本日は日本マイクロソフト側が説明」が正解。次の文章「ええこちらからの40分ほどご説明させて頂きます。その後、失業との時間を」は「~その後、質疑応答の時間を」が正しい内容だ。全体を見ると、音声認識の多くが苦手とする「あのー」「えー」といったフィラーは本機能も不得手らしい。ただ、本機能はAzure Cognitive Servicesの音声をテキスト化するSpeech to Textや、話者を識別するSpeaker Recognitionを利用しているようなので、段階的に改善されるだろう。
本機能で興味深いのが、再びWord文章ファイルを開いても解析結果を呼び出せる点。音声ファイルはOneDrive for Businessのルートに「トランスクリプト ファイル」フォルダーを作成して格納されているが、解析結果自体は見当たらない。試しにWord文書ファイルを展開してみたが、解析結果と思われるデータは含まれていなかった。
筆者の個人的見解だが、トランスクリプトは「使える」機能である。現在アップロード可能な音声ファイルはMP3形式に加えてWAVE形式、MP4オーディオ形式で、サイズは200MBまで。月に5時間の制限がある。Microsoft Teamsも録画したオンライン会議の音声を書き起こす[機能]を備えているが、使用できるのは開催者のみ。任意のソリューションでオンライン会議に参加し、書き起こしが必要な方は本機能を試す価値がある。
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