横に人を乗せて実走セッティングもできる
設定方法も簡単。HKSのホームページから無料ソフト「Easy Writer」をダウンロードし、WindowsPCにインストール。その後、パワーエディターとWindowsをUSB接続して設定を変更するのみです。USBケーブルはリアウインドウから室内へと引き込みました。なお、USBケーブルは設定終了後にパワーエディター側にあるコネクターから取り外します。また、Easy WriterはmacOSには対応しておりません。
Easy Writerアプリを起動すると、2つのグラフが出てきます。そのグラフの下にある0~5Vまで0.25Vステップで刻まれた圧力センサーの閾値に対し、各電圧ごとに何%減らすか、を設定だけ。このパーセント値をマイナス方向へふるほど、ブーストアップします。グラフは標準状態(X+Y=0)に対し、どれだけ減らしているかを可視化するものです。パワーエディターは2チャンネル分の圧力センサーに対応しているので、それぞれの値を変更できますが、基本的には同値を入れた方がよい模様。S660の場合、圧力センサーは1個しかありませんが、間違えないように2チャンネルとも同じ値を入力します。
変更できる値ですが、HKSによるとS660の場合、-10でエンジンから異音(ノッキング)を確認したとのこと。レギュラーガソリンの場合、-3あたりが安心して使える範囲だそうです。ただ、この場合は少し体感できる程度の補正量。もともと自己責任で楽しんでくださいというアイテムですが、-3だと足りないなぁとブースト圧を景気よくあ上げていくと、エンジンを壊す恐れが発生します。また、2V以下の数値は0のままにしないとECUが異常と判断し、エンジンチェックランプ点灯の可能性がありますので、注意が必要です。とりあえず不明点があれば、販売店に尋ねることを強くオススメします。
あとは走りながら様子をみて、設定を書き換えていくだけ。素晴らしいのは「走行中でも書き換えができる」という点です。フラッシュエディターの場合は停車して、書き換えに3分ほどかかりますから、リアルタイムではないものの、値を少しいじって走中に書き換えて、また様子を見るということができるのです。自分で変更するのはもちろん、助手席に人を乗せて「5000回転のブーストをもう少しの上げてみて」という、湾岸ミッドナイトによく出てくる「実走しながらの現車合わせセッティング」ができるというわけ。まるで自分がアキオになり、隣に「ジェッティングの富永」や「RGOのリカコ」が座っているような気分が味わえます。
さらに、値を変えるとどのように変化するのか、という好奇心を押さえることができません。S660は2000回転あたりからブーストがかかりはじめるのですが、その領域でのトルクが増しますので、街乗りがとてもラク。値によっては、2000回転以下からもブーストしているのを体感できます。さらにスロットルを開けると吸気音が、アクセルオフすれば「バシュー!」というブローオフバルブ音が増大。否応がなくテンションが上がります。さらに回転数が上がると、今度はタービン音が盛大に聞こえてくるではありませんか! 吸気音にタービン音に排気音にメカノイズ……。背後から聞こえるエンジンの大合唱には、思わず笑ってしまうほど。
もちろんパワーアップは確実に体感できるもの。フラッシュエディターでハイオク専用マップに書き換えた時ほどのパワー感はないものの、レギュラーガソリンでも車線変更からの追い抜きなどで「おぉ!」という効果をしっかり感じ取ることができます。気になる燃費ですが、残念ながら悪化傾向を示しました。ですが、それは回すのが楽しくなって悪くなっているためでしょう。
今回はS660に搭載してみましたが、ハーネスさえ合えば、他のターボエンジン搭載車でも搭載可能です。フラッシュエディターの設定がないN-BOXやN-VANでもパワーアップできる、というわけです。さらに国産車に限らず、ニュルブルクリンクFF市販車最速ホルダーであるルノー・メガーヌR.S.にも対応。
カンタンに取り付けできて楽しめるパワーエディター。試してみる価値のあるアイテムです。ですが、ブーストを上げすぎてエンジンを壊しても、地獄のチューナー・北見淳から「エンジンブローは無知ゆえの結果。助ける必要などない」と言われてしまいます。あくまで自己責任の範囲で楽しんでください。
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