「ローストビーフ丼」
なか卯
小盛590円、並盛790円、大盛1200円、豪快盛1500円
https://www.nakau.co.jp/jp/news/712
ローストビーフを豪快に盛りたい
変わらない退屈な日々を、なんとなくで過ごしていませんか? 刺激がほしくありませんか? そこで肉です。肉を食べれば日常に大きな変化が訪れます。
丼ぶりと京風うどんの「なか卯」では、「ローストビーフ丼」を11月26日から発売中。小盛590円、並盛790円、大盛1200円、豪快盛1500円。
低温でじっくり加熱調理したというローストビーフをのせた丼です。ローストビーフは上品な脂の甘みと赤身肉の旨みがたっぷりの、プレミアム感あふれる仕上がりだそう。
ブラックペッパーをきかせた専用醤油ダレと、別添えの肉専用のきざみわさびを加えれば、ピリッとした風味がローストビーフの旨みをさらに引き立たてるとか。「こだわり卵」や「こだわり温たま」のトッピングもオススメとのこと。
さっそくなか卯を訪れました。通常の並盛でもよいのですが、せっかくなので、並盛の2倍をうたう豪快盛にしましょう。どれだけ豪快なのかが、気になるじゃないですか。いざ実物が出てきてがっかり、というのは避けたいところですが……。
ローストビーフのクオリティー、悪くないじゃない
というわけで、ローストビーフ丼、豪快盛が出てきました。
どこまで豪快というかは人によりますが、手で数えたら、23枚乗っていました。23という数をどう考えるかどうかですが、広報画像と違うじゃないか! と怒るほどではありません。なか卯でこのボリュームは豪快といってもよいでしょう。
さて、ローストビーフ丼がぜいたくに見えるのはなぜか。薄く切れる分、たくさんのせられるからではないでしょうか。大量の肉がのっているビジュアルは、数年前に大ブームを巻き起こしました。かなりプレシャスでリュクスな外見であるわけです。
味ですが、ちゃんとしています。ローストビーフの出来が、(失礼かもしれませんが)存外に悪くない。ちゃんとしっとりしているし、ボソボソしてしんどい、なんてことはありません。タレの味もなかなか際立っています。ブラックペッパーが効いており、その上で濃すぎる、ということもない。うん、悪くないじゃない!
しかし、ローストビーフ丼が流行りだした頃からずっと思っていたのですが……あくまで、個人の感想なのですけれども、ローストビーフとお米ってなかなか絡まないですよね。
なぜかというと、ごはんの上にのっているものに汁気がないからだと考えています。牛丼、カツ丼、天丼(タレ)、焼肉丼(タレ)。海鮮丼も魚に水気がありますし……。汁気があるから、米粒に絡む。ローストビーフ丼は、どうしても肉と米がバラバラという感じ。
だから、タレをかけるのは必然なんですよね。ローストビーフと白米を接着させるような役割を持ってくれます。その点、肉がパサついておらず、タレをたくさんかけても味のバランスが壊れないなか卯のローストビーフ丼、出来はなかなかのものです。
そうそう、わさびなのですが、もちろん相性は悪かろうはずがない薬味です。ただ、かなり鼻にくる刺激があるので、付け過ぎには注意してください。
日常と地続きにある刺激、豪快盛
ローストビーフ丼として、なかなかのものであることはわかった。豪快盛を選んでいるのだから、肉の量が多いのは当たり前。では、それに1500円も払ってよいのか、ということになりましょう。
なか卯で1500円も払えば、「ずいぶんと使っちゃったな」という気分になれることは間違いない。親子丼(並)が3つ食べられますから。それぐらいのぜいたくさということです。
ただ、外食チェーンで1500円を使うのはゴージャスですが、だからといって親子丼を3つ食べるのがいいのかというと、ちょっと違いませんか? たとえば、年俸5000万円のスポーツ選手3人で、年俸1億5000万円の選手と、3対1のトレードが成立するかと言われると、そうではないですよね。……逆にわかりにくくなったでしょうか。
やっぱり、日頃は500〜600円、ちょっといいものでも800円ほどを払うお店で、1500円を払うというのが、刺激なんです。あ、お店にずっと滞在するのはちょっと……という人は、ウェブ予約で弁当にもできることをお忘れなく。
なか卯のローストビーフ丼、中でも豪快盛は、刺激がほしい人におすすめです。1500円という価格も強烈ですし、肉の量も刺激的。でも、それは、あくまで日常と地続きにある刺激なのですよ。3000円! 5000円! みたいな飛び抜けた価格でもないし、肉が50枚のってまぁす! という飛ばしすぎかもない。
なか卯なのに、けっこう使っちゃったな。おお、それなりにローストビーフがのってるじゃん。毎日の延長線上にある刺激といえましょう。これだけ肉がのっているのに、808kcal。罪悪感も少ないかもしれない。
あるいは、常識的な範囲でのぜいたく、といえばいいのかな。ちょっと思い切れば、ぜいたくをした気分になれる豪快盛。刺激が足りない年末にどうでしょうか。
もちろん、そこまでしたくない、という人には、並盛でもよろしいかと思います。チェーン店のローストビーフ丼として、クオリティーの低いものではありませんので。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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