理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」が、世界のスーパーコンピュータに関するランキングである「TOP500」、「HPCG」(High Performance Conjugate Gradient)、「HPL-AI」、「Graph500」の4部門において、2位に大差をつけて、1位を獲得した。
これは、オンラインで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティングに関する国際会議「SC20」において発表されたものであり、2020年6月の発表で、世界1位を獲得したのに続き、2期連続の4冠となる。
2位に対して5.5倍の差を示すケースも
理化学研究所では、「これら4つのランキングすべてにおいて、2期連続で第1位を獲得したことは、富岳の総合的な性能の高さを示すものである」とし、「新たな価値を生み出す超スマート社会の実現を目指すSociety5.0において、シミュレーションによる社会的課題の解決や、AIの開発、情報の流通および処理に関する技術開発を加速するための情報基盤技術として、富岳が十分に対応可能であることを実証した」と位置づけている。
今回の測定に使用した富岳のシステムは、432筐体、15万8976ノードの構成で、フルスペックによるものとなっている。
多くの科学技術計算や産業アプリケーションで使用される倍精度浮動小数点数の演算能力を測り、これをスーパーコンピュータの性能ランキングとして発表している「TOP500」では、富岳は、LINPACK性能は442.01PFLOPS、実行効率は82.3%を達成。今年6月の415.53PFLOPS、実行効率80.87%の結果を上回っている。2位となったのは、米国のSummitで、148.6PFLOPSとなった。富岳は、2位に約3倍の性能差をつける結果となった。
産業利用をはじめとした実際のアプリケーションの実行で、よく用いられる共役勾配法の処理速度をランキングした「HPCG」では、16.00PFLOPSを達成した。
2位は米国の「Summit」の2.93PFLOPSであり、約5.5倍の性能差をつけている。富岳は2020年6月のランクキングでは13.40PFLOPSとしていたが、それをさらに上回る格好となった。
人工知能(AI)の深層学習に用いられる単精度や、半精度演算処理に関する性能ベンチマークである「HPL-AI」においては、2.004EFLOPS(エクサフロップス)を達成した。2 位のSummitの0.55EFLOPSに比べて、約3.6倍の性能差がある。HPL-AIは、2019年11月に制定された新たなベンチマークで、2020年6月の富岳の性能は1.421EFLOPS であった。