「ほぼ日手帳」で知られる(株)ほぼ日より、「ほぼ日のアースボール(セカンドモデル)」が11月5日から発売されました。直販価格は3960円。
スマートフォンをかざすことで、さまざまな地球の情報が楽しめる地球儀です。前のモデルとの違いは、小ぶりなサイズになり(直径およそ15センチ)、国境の表示や、国名の文字などが消えたこと。そして、リアルな色合いに変更されたことでしょうか。
地球儀の材質がソフトからハードに替わり、より球体になったことにより、少し大人っぽいアイテムになった気がしています(前のモデルのアースボールの記事「AR成功の鍵はアナログとデジタルのマリアージュ」)。
えっ! アカデミックじゃなくてエンターテインメントなの?
まず手にして気がついたのは、製品のジャンルが「エデュケーション(教育)」や「アカデミック(学研)」ではなく、「エンターテインメント(娯楽)」になっていること。前からそうだったのかもしれませんが、今回初めて気がつきました。「なに! 筆者の仕事のマジックと同じジャンルかあ……」と、ムクムクとライバル心が頭をもたげます。
考えてみると、目の前で地球に「ハンズオン(手を触れる)」できる驚きや感動は、観客のすぐそばで不思議を見せるマジックと似ているかもしれません。
アースボールが、そんなサプライズを生む理由は前のモデル同様、AR(拡張現実)技術を使っていることにあります。スマホやタブレットでさまざまな地球のシーンを再現できます。手の中の地球にAR技術を用いることで、リアルタイムに雲が動くところなどを見ると、かなり新鮮な感動があります。まるでマジックみたい……。
なんとなく、宇宙の中の地球の存在を実感してみたり、自分が住んでいる惑星として認識できたりする。または、同じ地球にいる人々や文化、動物たちに思いを寄せてみる。そんな自由さは、エデュケーションやアカデミックを超えた遊び心なのかもしれません。なるほど、これはエンターテインメントですね。
地球を征服したい人、世界で活躍したい人向け!
はっきり申し上げますと、これはもう神の視点で優越感を味わいたい人、地球を征服予定の人ならマストバイなアイテム(笑)。そんな意味では、軽々と片手で持てるこのサイズ感はとってもいい感じ、いい気分です。
冗談はさておき、これは世界で活躍したいアーティストや起業家にはピッタリなアイテムかもしれません。
たとえば、アースボールには自分の写真を地球上に配置できる機能があります。ミュージシャンなら演奏した世界中の場所を記録したり、起業家や企業人ならインターナショナルな取引先や支社を増やしていったり、旅行好きなら訪れた観光地を記録したりするなど、楽しみ方は無限にありそう。
世界で活躍する写真家の作品集に使っても素敵なはず。筆者なら、アースボールとデジカメを片手に、世界中の野良猫を撮影して回りたいなぁ……。
アースボールは手の中にあるチルドレンズ・ミュージアム
米国や欧州には「チルドレンズ・ミュージアム」という施設があります。作品に手を触れてはいけない一般的な博物館や美術館とは違い、子供たちや大人が展示物に手を触れたり、動かしたりすることができるミュージアム。「触れて、感じて、遊んでみて」がコンセプトです。来場者、特に小さな子供にとっては、「触る」という行為が「知る」と深い関係があるという考えに基づいて運営されています。
たとえば、メリーランド州にあるチルドレンズ・ミュージアムではガソリンスタンドが再現され、子供たちが安全に配慮された環境で、給油やタイヤの空気圧の調整などが擬似体験できます。今なら「インタラクティブな展示」とでも言うのでしょうか。
近年、スマートフォンを始めとするデジタル機器の新作発表会を「ハンズオン・イベント」と呼ぶことがあります。その「ハンズオン」という単語とコンセプトを初めて打ち出し、世界中に広めたのはボストン・チルドレンズ・ミュージアムだといわれています。1913年に設立されました。
ちなみに、このボストン・チルドレンズ・ミュージアムでは、過去に日本の地下鉄の駅が再現されたことがあり、銀座線の旧車両が展示されました。来場者は、自由に乗車でき、子供達はつり革にぶらさがったり、記念撮影をしたりと来場者に大人気だったそう。大人にとっても、電車をいじくり倒すことは普段できないので、少しうらやましくもあります。
これから活躍する若者、子供たちのギフトに最適
話をアースボールに戻すと、これから社会で活躍する若者や、未来を担う子供たちに最適なギフトだと思っています。
というのも、YouTubeやニコニコ動画、Vimeoなどの動画サイトを通じて世界を知ることもできますが、机の上などに置かれた地球儀があれば、すぐに触れます。そんな体験がキッカケになり、世界を飛び回る人生を送る……。これって、自分や誰かの未来の夢を後押しするアイテムなのかも。
ただ、筆者にとっては、アースボールを片手に、過去を振り返ることのほうが多めですが……(笑)。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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