GeForce RTX 3080はPCIe 4.0で本領発揮!? 3.0との違いに迫る
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2020年10月28日 19時00分更新
ゲームからCGレンダリング、GPGPU用途まで
PCI Express 4.0の実力を探る
PCI Express 4.0のメリットは速度。この速度がものをいうSSDではわかりやすい実力差があるものの、ビデオカードではこの速度メリットが活かせるのかが気になるところ。PCI Express 3.0でも十分余裕があるようなら、PCI Express 4.0になったところで性能に違いが出ないからだ。
ビデオカードで行なえる処理といえば、ゲームに使う3D映像の描画や、CGレンダリングなどで使うGPGPUとしての利用がまず思いつく。そこで、こういった用途別にどのくらいの効果があるのかを検証してみよう。
試してみたのは、純粋なゲーミング性能、GeForce RTXシリーズで導入されたリアルタイムレイトレーシング、そしてGPGPUの3パターン。それぞれ2種類のベンチマークソフトを使い、どのくらい性能に差が出るのかを調べてみた。
まずはゲーミング性能から。こちらは定番の「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチ)と「Borderlands 3」のベンチモードを使用。どちらも解像度はフルHD(1920×1080ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、4K(3840×2160ドット)の3パターン試してみた。なお、画質設定はプリセットで最高となるものを選んでいる。具体的には、FF15ベンチは「高品質」、Borderlands 3は「バッドアス」(Direct X12)とした。
なお、スコアは3回計測し値が大きく外れていないことを確認したうえで、3回の中で最も高い数値を採用している。
「FF15ベンチ」では、PCI Express 4.0の方がわずかながらリード。といってもその差はフルHD環境で約1.6%、WQHDで約1.4%、4Kでは約0.9%程度のものだった。解像度が高くなるほど扱われるデータが大きくなるため、PCI Express 4.0の効果があるかと思いきや、データ転送よりもデータ処理の割合の方が高くなるのか、効果は若干薄れる傾向にあった。
「Borderlands 3」のベンチモードは、連続して動かすとfps値が低くなっていく傾向があったので、熱による影響が若干ある点には注意。一応、毎回3分ほどの休憩を挟んで計測したが、その影響が皆無になっているとは言い難い。
結果は、フルHDで約1.5%、WQHDで約1.4%ほどPCI Express 4.0が速いというものになっていた。4Kでは約4%ほど高速。これだけ効果が大きかったため再度計測してみたものの、似た結果になっていた。回数を繰り返せばまた違った結果になりそうだが、少なくとも、PCI Express 4.0が高速だという事だけは確かなようだ。
続いて、同じゲーミング性能でもGeForce RTXシリーズから搭載されるようになった、リアルタイムレイトレーシングに関するものを試してみよう。
対応するゲームは少しずつその数を増やしているが、今回はベンチマークということで、「World of Tanks enCore RT」と、「Bright Memory Infinite Ray Tracing Benchmark」の2つを試してみた。
World of Tanks enCore RTは、「World of Tanks」用グラフィックスエンジンの新バージョンを使ったベンチマークソフト。ハードウェアレイトレーシング機能は使わず、GPUのシェーダー演算によって実現されているため、GeForce RTXシリーズの機能ではなく、GPU性能の高さが結果に大きく影響する。
GPUの内部処理の負荷が大きいだけに転送速度の速さは活かせず、結果はPCI Express 4.0も同3.0もほとんど変わらないものになっていた。独自実装のレイトレーシング機能では効果が見込めないようだ。
Bright Memory Infinite Ray Tracing Benchmarkは、近日リリース予定の「Bright Memory: Infinite」をベースに、レイトレーシング技術を試すために作られたベンチマークソフト。ガラスや水への映り込みがこれでもか、というほど盛り込まれており、レイトレーシングの効果を体感するのにピッタリなテストだ。
結果は見ての通りで、フレームレートの差はわずかに1。これも場合によって32fpsなどに落ちることがあり、誤差の範囲となっていた。リアルタイムレイトレーシングに関するテストでGeForce RTXを使っても、PCI Express 4.0のメリットはないようだ。
次は少し用途を変えて、GPGPUでの実力を見ていこう。試したのはCGレンダリングの「V-Ray Benchmark」と、ゲームエフェクトやCGレンダリングなど複数のテストを行なってくれる「CompuBench 2.0 Desktop」の2つで試した。
V-Ray Benchmarkは、CPUとGPUのそれぞれでCGレンダリング性能を測れるベンチマークソフト。今回はこのうち、GPUを使ったテストで性能を比較した。なお、性能が高いGPUほど、結果の数値が高くなる。
結果は数値がほとんど変わらず、誤算の範囲内。CGレンダリングは内部処理は膨大なものになるものの、データそのものはあまり大きくないようで、PCI Express 4.0の効果はほとんどないようだ。
CompuBench 2.0 Desktopでは、APIの違いでOpenCLとCUDAの2つが試せるが、今回はCUDAを採用。また、ジャンルとして大きく「Advanced Compute」「Game Effects」「High Quality Computer Generated Imagery and Rendering」「Computer Vision」の4つがあるが、ゲームやCGレンダリング以外のテスト結果を知りたかったこともあり、Computer Visionのテストとして用意されている「TV-L1 Optical Flow」の数値で比較した。
結果は多少揺らぐこともあるが傾向は同じで、PCI Express 4.0の方が有利という結果になっていた。その差は約1.5%ほどなので、ゲームの性能向上とほぼ同じだ。
以上の結果を見ると、ビデオカードにおいてはPCI Express 4.0が明確に有利になるといえるほどではなく、わずかながら性能が上昇することがある、というのが正直なところだろう。とはいえ、これはあくまで現状の話。近い将来、膨大なデータを処理する用途が登場してくれば、間違いなくPCI Express 4.0が活躍してくれるはずだ。