コロナ禍で社会に貢献した、3Dプリンター
次のセッションでは、HPが提供する3Dプリンターを用いた、製造工程の変革や製品開発の事例について、日産自動車やSOLIZES Productsからゲストが登壇して、ディスカッションを交わした。
最初に、3Dプリンターの活用事例について、HPのアジア太平洋地域や日本で、3Dプリンターのディレクターを務めるAlex Lalumiere氏が「3Dプリンターの需要はどんどん高まっている。コロナ禍においては、マスクや呼吸器などの医療機器も3Dプリンターで製造された」と紹介した。
日産自動車のToshikazu Nanbu氏は、自動車産業においても、製造工程で3Dプリンターが活用されていると話す。
「3Dプリンターを使うことにより、より柔軟な開発ができるようになった。従来、自動車製造は金型から作る大量生産モデルだったが、さまざまな形状のパーツを低コストで製造できるようになり、少量生産が可能になる。自動車は今後ますます電子化が進み、より軽量化や小型化のニーズが高まっていく。軽くて強度が高いパーツを作れる3Dプリンターは、自動車業界でも重要性が増していくだろう」
SOLIZES ProductsのMizuki Tanaka氏は、同社でシールドを作って医療機関に寄付した際の事例を話した。
「コロナにより医療機器が世界中で不足する中で、弊社はフェイスシールドを医療機関に無償提供している。製造時には、エンジニアが医療業界の関係者に要件をヒアリングすることで、フェイスシールドのフレームをカスタマイズできた。3Dプリンターは、設計データの変更内容を都度反映して、迅速に製造できるのが便利なポイントだ」
聞き手のPatel氏は、3Dプリンターについて、経済成長を加速させるポテンシャルがあると話す。
「SOLIZES Productsの事例と同様、製造に携わらない業界ともコラボレーションが必要で、デジタル製造技術を周りの関係者がいかに受け入れるかが重要になる」。
日産自動車のNanbu氏も、「テクノロジーを世に出すには、パートナーと共同で実施する必要がある。お互いに問題を提起して解決策を導き出すことが、商品開発を加速させる」と見解を語った。